Q アルバイトには慶弔休暇を与える必要があるのでしょうか?

【質問】

 

先日、アルバイト社員より「自分の兄が結婚するので、慶弔休暇を取得させて欲しい。」と申し出がありました。

 

これまでアルバイト社員から慶弔休暇を取得させて欲しい、と言われたことがなく、慶弔休暇は正社員のための制度と考えていました。

 

法律的にアルバイト社員にも慶弔休暇を与える必要はあるのでしょうか?

 

 

【回答】

 

慶弔休暇に関しては法律に規定がないため、アルバイト社員に慶弔休暇を与えるか否かは就業規則の規定内容によります。

 

 

【解説】

 

慶弔休暇に関しての法律は全く無いため、慶弔休暇制度を設けるか否かの判断は、経営者の任意となります。

 

そのため、慶弔休暇を設けた場合でも、与える日数、対象とする労働者、有給か無給か等について、経営者が全くの自由に決めることができます。

 

従って、ご質問にありますように、慶弔休暇を正社員だけに与えるということ自体法律上問題ありません。

 

 

ところで、慶弔休暇は、就業規則において相対的必要記載事項と言いまして、制度を設ける場合には就業規則に必ず記載しなければいけない事項となっています。

 

ですから、アルバイト社員に慶弔休暇を与えるべきか否かの判断は、就業規則の記載内容によります。

 

もし、就業規則に、慶弔休暇は正社員だけに適用する旨の記載があれば、当然、アルバイト社員に慶弔休暇を与える必要はありません。

 

しかし、その旨の記載がなければ、アルバイト社員にも慶弔休暇は適用されると解されますので、アルバイト社員でもあっても慶弔休暇を与える必要があります。

 

 

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【ここがポイント】

 

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就業規則を作成する場合、その就業規則がどの社員に適用するのかを明確にする必要があります。

 

通常、就業規則は全社員に適用すると考えられます。

 

ですから、もし、就業規則の内容を特定の社員にのみ適用させたい場合には、その旨を記載する必要があります。

 

例えば、慶弔休暇の条文に、「慶弔休暇は正社員のみに適用し、正社員以外の社員には慶弔休暇は適用しない」といった条項を盛り込めば良いのです。

 

また、別途、アルバイト社員用の就業規則を作成し、「アルバイト社員には慶弔休暇は無い」といった条文を規定する方法でも構いません。

 

 

これは、慶弔休暇に限ったことではないのですが、就業規則の各規定において、法定労働時間や休憩時間、有給休暇、定年年齢といった労働基準法等の法律の制限を受けない規定について、特定の社員にのみ適用させたい場合には、必ずその旨を明確にできる規定を定める必要があります。

 

もし、そのような特段の規定がない場合には、就業規則の各規定は、全ての社員に適用されることとなりますのでご注意下さい。

 

 

ところで、先程も書きましたが、慶弔休暇は法律に特別の定めがないので、慶弔休暇制度を設ける否かは、経営者の自由となります。

 

しかし、一度、制度を設けてしまえば、就業規則への記載義務が生じ、社員にとって既得権ともなります。

 

 

もし、その場合において、特定の社員にのみ適用される旨の記載が無ければ、アルバイト社員を含む全社員の既得権となります。

 

そのような状況で、正社員のみといった特定の社員に限定して慶弔休暇を適用させるような内容に就業規則を変更することは、不利益変更となり、変更するには、基本的に社員全員の同意が必要となります。

 

 

慶弔休暇制度を設けること自体は、福利厚生の面から考えても決して悪いことではありません。

 

しかし、安易に規定を作成してしまうと、経営者にとって大きな負担となってしまう可能性もありますので、十分ご注意下さい。

 

 

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