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Q 就業規則に修理費は免責分負担規定があるのですが・・?

2019年1月6日

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【質問】

 

当社は、運送業を営んでいますが、社員の安全意識を高めるために、万一、車両事故を起こした場合には、自動車保険の免責金額を負担させており、給与から控除しております。

 

また、その旨を就業規則にも規定しています。

 

先日、ある社員から、「このような行為は、労働基準法違反であるから即刻止めて欲しい。もし、止めないのであれば、労働基準監督署に訴える。」と言われ、戸惑っています。

 

本当に自動車保険の免責金額を負担させることは労働基準法違反となるのでしょうか?

 

【回答】

 

社有車の修理代として自動車保険の免責分を給与から控除することは、労働基準法の全額払い及び賠償予定の禁止に違反している可能性が高いです。

 

【解説】

 

会社の設備・備品を社員が破損等した場合に、その修理費用を給与から控除している会社もあるかと思います。

 

特にご質問のように運送業の場合、自動車保険の免責金額分を予め修理代として負担させる規定を設けることは、慣習的に行われているようです。

 

 

しかし、このような行為は労働基準法違反となっている可能性が非常に高いと言えます。

 

まず、労働基準法では、給与を全額労働者に支払わなければならないと規定しています。(労働基準法第24条)

 

ただし、所得税法による所得税の源泉徴収や健康保険法、厚生年金保険法による社会保険料の徴収等、法令によって定めがある場合や労働者代表との労使協定がある場合の組合費、寮費、社内預金等事理明白なものに限り給与からの控除が認められています。

 

ですから、たとえ事理明白をものを給与から控除する場合には、労使協定を締結する必要があり、就業規則に規定しても給与からの控除することはできません。

 

 

では、ここで問題となってくるのが、修理代が事理明白なものに該当するかどうかです。

 

少し法律的な話になってしまいますが、会社が労働者に対して修理代を請求するということは、労働者に対して債権を有していることとなります。

 

それに対して、労働者は会社に対して給与を請求する権利、つまり給与債権(賃金債権)を有しています。

 

従って、会社が労働者に修理代を給与から控除するということは、労働者が有している債権と会社が有している債権とを相殺するということになります。

 

会社が有する債権と労働者が有する債権との相殺は、相殺が労働者の完全な自由意思による場合には許されていますが、債権が修理代のような場合には、労働者の完全な自由意思によるものとは言い難いため、相殺は許されない、という判例が出ています。

 

つまり、修理代は事理明白なものには該当しないため、たとえ労使協定を締結しても給与からの控除は認められないこととなります。

 

 

さらに、労働基準法では、賠償予定を禁止しています。(労働基準法第16条)

 

賠償予定とは、賠償すべき損害額を実害のいかんにかかわらず予め一定額を定めておくことで、「自動車保険の免責分を負担させる。」などはこれに該当します。

 

 

ですから、今回のご質問のケースでは、「全額払い」と「賠償予定の禁止」という2つの法律に違反していると言えます。

 

なお、「全額払い」違反については、30万円以下の罰金、「賠償予定に禁止」については、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という重い罰則が定められていますので、早急な改善が必要となります。

 

 

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【ここがポイント】


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ところで、今回のご質問をもう一度整理してみますと、労働基準法の違反となっているのは、修理代を給与から控除する行為と修理代の金額を予め決めておく行為です。

 

労働者に車両の修理費用のうち、実損害額に応じて修理費用を請求することは認められています。

 

つまり、事故等が起こった場合に、その都度、労働者が負担すべき金額を算定し、その金額を給与から控除するのではなく、労働者本人から直接支払うようにすれば、違法行為とはならなくなります。

 

 

ところで、労働者が負担すべき金額の算定に関して注意すべき点があります。

 

会社は、労働者を雇用することで利益を得るわけですから、当然、そこには会社が負担すべきリスクがあります。

 

 

つまり、労働者の飲酒運転による社有車の破損や私的なケンカが原因による設備等の破損のように労働者の重大な過失や故意の場合であれば、修理費用の全額を労働者に負担させることは可能でしょうが、通常に業務に従事している間の単なる不注意等による破損等の場合には、そのような事故等が起こる危険性を会社は負う必要があります。

 

ですから、単なる不注意等によって生じた破損等についての修理費を全額負担させることは、合理性に欠けると言えます。

 

もちろん、法律に明確に基準が規定されているわけではありませんので、最終的な判断は、裁判等によることとなりますが、負担額を算定する場合には、会社が負担すべき危険性という概念を考慮する必要があります。

 

最後に今回の内容をまとめますと、労働者が、会社の車両、設備等を破損等させた場合に、修理費用を負担させる場合には、事故等が発生した都度ごとに、会社が持つべき危険性と労働者との過失を考慮し負担額を算定し、給与から控除するのではなく、直接労働者から支払いを受ける形をとる必要があります。

 

 

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【関連記事】 >>Q 就業規則に社宅費を給与控除できる規定があるのですが・・?

 

       >>就業規則の不備によるトラブル事例集

 

 

  

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