フレックスタイムのメリットとデメリットとは・・・?

フレックスタイム一度は、聞いたことがあるかと思います。

 

フレックスタイムは、大手企業を中心に導入されていますが、中小企業の経営者の方からも、「フレックスタイムはどうですか?」と聞かれることがあります。

 

今回は、フレックスタイムのメリットとデメリットについてわかりやすく解説していきたいと思います。

 

 

フレックスタイムは、残業時間削減に効果的な面があります

 

s_e42ee14a63bc53a887b96c8f9cd04c8b_s.jpg

 

フレックスタイムは、最大で3か月間の総労働時間を予め決めておき、従業員は、その範囲の中で出社時間と退社時間を自由に決めることで、効率的に働き、労働時間を短縮しようとするものです。

 

通常の場合には、1日の所定労働時間が決められているので、その時間内は、従業員は、事業主の支配下にいなければなりません。(逆に事業主は、所定労働時間分の給料を支払う必要があります。)

 

 

ところで、日によっては、必ずしも所定労働時間の全てを働かなくても、その日に関しては、特別支障が出ない場合もあります。

 

例えば、ある仕事について、取引先に依頼した業務が完成しなければ、次の業務に進めない、ような場合もあります。

 

仮に、終業時刻を午後6時の場合で、取引先が、その仕事を完成し、納品することが、その日には不可能で明日の午前9時になる、ということが、その日の午後1時にわかったとします。

 

その仕事以外にも特段急を要する仕事がなければ、その日の午後1時に退社しても、業務に特別支障をきたすことはないと言えます。

 

 

 

しかし、所定労働時間が、予め決められている場合には、業務の状況にかかわらず、終業時刻まで、事業主の支配下にいなければなりません。

 

そして、次の日に、その仕事が納品され、時間外労働を5時間強いられたとします。

 

1日の所定労働時間を8時間とした場合、2日でトータル、21時間(8時間+13時間)労働したこととなります。

 

事業主サイドから見れば、当然に5時間分の時間外割増賃金を支払う必要があります。

 

 

 

しかし、フレックスタイムであれば、従業員が、出社及び退社の時間を自由に決めることができるので、前日は、午後1時に退社することもできるわけです。

 

もし、午後1時に退社していれば、その日の労働時間は、3時間(8時間-5時間)となります。

 

となれば、次の日に5時間時間外労働をして、13時間働いても、2日間のトータルでは、18時間となります。

 

結果的に5時間労働時間が短縮され、事業主も5時間分の時間外割増賃金の支払いを要しなくなります。

 

このようにフレックスタイムのメリットとして、制度を導入することにより、労働時間の短縮が可能になり、その結果、人件費削減の効果が期待できます。

 

 

フレックスタイムは、残業時間削減以外にもメリットがあります

 

s_78d37bf100fef700dbf7799e66d1d1d2_s.jpg

 

また、フレックスタイムのメリットとして考えられるのは、従業員が、出社、退社の時間を自由に決めることができるため、通勤時間をずらすことにより、満員電車での通勤や渋滞の時間帯を避けることが可能となったり、また、プライベートの用事等がある場合でも、気兼ねなく帰ることができ、従業員の精神的なストレスが削減される可能性が高く、その結果として、従業員のモチベーションの向上が期待できます。

 

確かに、日本経済においては、長時間労働や通勤時のストレス等は、大きな問題と言えます。

 

 

 

特に、長時間労働に関しては、上司の目を気にして、実際は用が無いのに、なかなか帰れない、といケースが多々あり、それが従業員の健康状態に悪影響を及ぼしているのは周知の通りです。

 

ですから、フレックスタイムは、現在の日本経済が抱える問題を解決するには、有効な手段の1つであることは事実だと言えます。

 

 

 

しかし、その一方で、フレックスタイムは、一部の大企業を除いて、なかなか浸透していないのも事実です。

 

それは、フレックスタイムには、メリットもありますが、当然、デメリットもあります。

 

フレックスタイムを検討する場合には、デメリットの面を正しく理解することが重要となってきます。

 

では、次にフレックスタイムのデメリットについてお話したいと思います。

 

 

フレックスタイムの場合、全体会議等の問題が生じる場合があります

 

s_94b57cc58b0eddbbff5a141eaaf5bd25_s.jpg

 

繰り返しになりますが、フレックスタイムは、従業員が、出社及び退社の時刻を自由に決めることができるために、労働時間の短縮に繋がり、人件費の削減及び生産性の向上の効果が考えられます。

 

しかし、その反面、従業員が、出社及び退社の時刻を自由に決めることができるため、従業員全体での会議等が行いづらくなります。

 

また、朝礼や早朝の打合せに全員が参加しないことが考えられるため、連絡事項等が、従業員全員に正確に伝わらない危険性があります。

 

 

 

ところで、フレックスタイムの場合、出社及び退社の時刻を完全に従業員が自由に決めるのではなく、この時間帯は必ず在籍しなければならない、コアタイムを設定することができます。

 

ですから、会議等をコアタイムに行うことができれば、フレックスタイムのデメリットは、ある程度防ぐことが可能となってきます。

 

ただし、フレックスタイムは、本来、従業員が、自由に出社及び退社の時間を自由に決めることができることが、制度の趣旨ですから、コアタイムをあまり長くしすぎると、実質的にフレックスタイム制度の趣旨が損なわれてしまいます。

 

一般的には、4時間程度までをコアタイムとすることが多いようです。

 

 

 

ところで、コアタイムを設ける場合、常識的には、勤務時間の中心に定めることとなるかと思います。

 

もちろん、必ずしもそうしなければならないわけではないのですが、もし、コアタイムを、午前9時15分からとかとすると、従業員が、出社の時間を決めることができなくなってしまい、従業員にとってメリットが感じられなくなります。

 

また、コアタイムを午前又は午後の偏った時間に設定しまうと、一定の時間には、社内に従業員が誰もいなくなってしまう時間帯が発生しまう可能性も出てきてしまいます。

 

ですから、コアタイムを設ける場合には、どうしても正午前後の時間帯に設ける必要が出てきます。

 

 

 

となると、早朝や夕方しか、従業員全員が揃わないような会社では、フレックスタイムを導入すると、会議等が行うことが困難となってしまいます。

 

このようにフレックスタイムは、労働時間短縮の効果が期待できるメリットがある反面、会議等がやりずらくなってしまうデメリットがあります。

 

 

 

それに付随して、何時に取引先の所へ行くように、といった指示も出しずらくなってしまいます。(原則、コアタイム以外の時間帯に業務命令が出さないこととなります。)

 

ですから、フレックスタイムは、業種によって導入することで、恩恵を受けることができる場合、逆に、業務に支障が生じてしまう場合とに分かれてしまうと言えます。

 

 

フレックスタイムは従業員の一部にのみ適用することもできます

 

s_09e347b162d4720a773cd161f1d2db8c_s.jpg

 

ところで、フレックスタイムは、必ずしも全従業員に適用させる必要はありません。

 

ですから、社内において、一部の従業員にだけフレックスタイムを導入することも可能です。

 

ただし、フレックスタイムでは、月曜から水曜は、通常の勤務体系で、木曜及び金曜をフレックスといった曜日単位での導入はできません。

 

 

 

このように、フレックスタイムは、労働時間の短縮、人件費削減のメリットもありますが、逆に言えば、労働時間に関する権限の一部について、事業主から従業員に譲ることになります。

 

こうしたことにストレスを感じる事業主の方や、フレックスタイムより業務に大きな支障が出る会社の場合は、導入を見送った方が良いと言えます。

 

今回、お話しましたように、フレックスタイムには、メリットとデメリットがあります。

 

フレックスタイムの導入を検討される場合には、是非、ご参考になさって下さい。

 

 

まとめ

 

31354382_s (1).jpg

 

フレックスタイム制度は、従業員が出社・退社時間を柔軟に決められる仕組みで、労働時間の短縮や人件費の削減、通勤ストレスの軽減、従業員のモチベーション向上などのメリットがあります。

 

特に、業務の進行に応じて働く時間を調整できるため、無駄な残業を減らすことが可能です。

 

 

 

一方で、全体会議や連絡の共有が難しくなるといったデメリットもあり、コアタイムを設定することでその課題を一定程度解消できますが、設定方法を誤ると制度の柔軟性が損なわれる恐れもあります。

 

また、業種や勤務スタイルによっては導入が困難なケースもあり、全従業員に一律で適用する必要はないものの、曜日単位での運用はできない点に注意が必要です。

 

フレックスタイム制度の導入にあたっては、そのメリットとデメリットを正しく理解し、自社の業務形態に適しているかを見極めることが大切です。