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就業規則の不利益変更には社員の同意が重要

2018年11月30日

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就業規則は、作成後時間の経過と共に、様々な理由で変更する必要が生じる場合があります。

 

変更内容が、労働者にとって有利に変更する場合には、まず、問題は起こりませんが、反対に労働者にとって不利益に変更をする場合には、注意が必要です。

 

本ブログでは、就業規則の不利益変更についてお話ししたいと思います。

 

 

【関連記事】 >>固定残業代は就業規則に必ず明記を!正しい運用とリスクについて

 

就業規則の変更の必要性について

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就業規則は、作成した後でも、様々な理由で変更をしなければならないケースが多々生じます。

 

就業規則の変更が必要な主な理由としては、以下の場合が考えられます。

 

①法律が改正された場合

②社内規定が、現状と合っていないため

③労働者のモチベーション等を向上させるため、労働者にとって有利な内容に変更

④経営悪化等により労働者にとって不利益な変更

 

この中で①と③についての変更は、まず問題が起こることはありません。

 

②の社内規定の変更も、例えば、給与の締切日・支払日の変更、始業・終業時刻の変更、退職届の提出時期の変更など、変更するのにそれなりに理由があり、また、労働者への影響も限定的なものであれば、問題が生じるケースは少ないと言えます。

 

 

問題となるのは、④の労働者にとって不利益変更となる場合です。

 

今回、このブログを書くために、いくつかのサイト等を参照しましたが、就業規則の不利益変更は、経営者にとっては、非常に解り難いものと言えます。

 

と言うのは、就業規則の不利益変更には、労働基準法、労働契約法、民法等のいくつかの法律が関係してきて、それらの法律を網羅して解説しようとすると、経営者にはなかなか理解しにくい内容となってしまいます。

 

ですから、本ブログでは、あまり法律の細部にとらわれず、就業規則の不利益変更の注意点とその対策について全体的なイメージをつかんでもらうことを主眼としてお話ししていきたいと思います。

 

そのため、法律的な説明が多少不足しているところもありますが、その点は、ご了承下さい。

 

就業規則の意見書との関係について

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経営者にとって、就業規則の不利益変更の問題を解り難くしている原因の1つに、就業規則の意見書があると言えます。

 

労働基準法で、「就業規則を作成又は変更した場合には、労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならない。そして、その意見を記した書類(意見書)を添付して所轄労働基準監督署に届け出なければならない。」されています。

 

 

ところで、労働基準法で求めているのは、あくまで意見を聴取することで、同意を得ることではありません。

 

ですから、反対意見で意見であっても、その反対意見を記した意見書を添付して、所轄労働基準監督署に提出すれば、その就業規則は、有効となります。

 

ここで、意見書の性質を考えれば、就業規則を不利益に変更する場合、たとえ、労働者の同意を得られなくても、法律に適した意見書を添付すれば、就業規則が有効になるのであれば、就業規則の変更が、たとえ不利益なものであっても、経営者が、ある意味一方的にできるのでは、と思われるかと思います。

 

しかし、それは、あくまで労働基準法上有効になるだけであって、問題は別にあります。

 

不利益変更の理由に妥当性、正当性が無いと判断されたら・・・。

 

確かに、就業規則を不利益変更した場合でも、法律の基準を満たした意見書を添付して、所轄労働基準監督署に届け出れば、労働基準法上、就業規則は有効となりますが、その不利益変更に対して、労働者が、訴えを起こす場合があります。

 

もし、労働者から訴えを起こされ、裁判等で不利益変更を行う理由に正当性、妥当性が無いと無いと判断されれば、たとえ、労働基準法上は有効な変更であっても、裁判等の結果、無効となってしまいます。

 

つまり、就業規則を不利益に変更する場合、重要なことは、労働者から訴えを起こされ、裁判等で変更が無効とされないようにすることです。

 

不利益変更が無効とされないためには

 

では、就業規則の不利益変更が無効とされないためにはどうすれば良いのでしょうか?

 

就業規則の不利益変更が無効とならないためには、次の2つの考え方があります。

 

①労働者全員の同意を得る

②不利益な変更に合理性、正当性がある

 

①の労働者全員の同意が得られれば、訴えられる可能性がほぼゼロになるのは、容易にご理解できるかと思いますが、②については、少し解り難いかと思います。

 

 

就業規則の不利益変更について、労働者から訴えられた場合であっても、不利益な変更をしなければならない理由について、合理性、正当性があれば、変更は有効となります。

 

一般的に就業規則の不利益変更の合理性、正当性の判断基準は、

 

①労働者の受ける不利益の程度

②不利益変更の必要性

③変更後の就業規則の内容の相当性

④労働組合や労働者との交渉の状況

⑤その他の不利益変更に係る事情

 

などが考えられます。

 

つまり、上記の基準を満たしていれば、裁判等で不利益な変更であっても、変更の必要性を認めてくれるわけです。 

 

 

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就業規則の不利益変更は、労働者の同意を得るのが基本

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ところで、就業規則の不利益変更について調べると、多くのサイトで、不利益変更の合理性、正当性について、上記のような基準を記載しています。

 

かし、ここで誤解されないで欲しいのですが、これからの基準は、法律で定められた基準ではなく、これまでの裁判等の判例により考えられている基準です。

 

 

最終的に合理性、妥当性の有無を判断するのは、裁判等です。

 

ですから、経営者が、どんなに合理性、妥当性があると思っていても、また、実際、上記の基準を満たしていたとしても、裁判等の結果は、必ずしも経営者の考える通りになるとは限りません。

 

ですから、就業規則の不利益変更が必要な場合には、まず、労働者全員の同意を得ることを基本に考えるべきと言えます。


労働者の同意を得るための注意すべきポイントとは?

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では、ここでは労働者からの同意を得るために注意しなければならないポイントについてお話ししたいと思います。

 

労働者から同意を得る場合、個別に同意を得るか、全体集会のような形式で同意を得るかは、ケースバイケースでどちら良いのか一概に言えませんが、どちらにしても、重要なポイントは、可能な限りの情報開示と言えます。

 

 

就業規則を不利益に変更する場合、会社の財務状況の悪化が伴う場合が多いと言えます。

 

そのような場合、その事実を理解できるような客観的な証拠を示して、説明することが大切です。

 

ただ単に、「会社の経営が芳しくないから」というだけでは、労働者は、なかなか納得してはくれません。

 

 

また、退職金制度を廃止するなど、労働者にとって不利益が大きい時には、代償となるものを用意して交渉することも必要となります。

 

もちろん、威圧的な態度や解雇をちらつかせたりせず、誠意ある態度で交渉に臨むことは言うまでもありません。

 

交渉の過程が、合理性、正当性の判断に影響することもあります。

 

今、お話ししたように誠意ある態度で交渉に臨むことは、労働者の同意を得るために重要なことですが、実は、不利益変更の合理性、正当性を判断する時にも影響を与えます。

 

これはどういうことかと言いますと、先程、不利益変更の合理性、正当性を判断する基準をいくつかありましたが、その中に、「④労働組合や労働者との交渉の状況」があります。

 

 

つまり、就業規則の不利益変更を何故行わなければならないのかを、どのように労働者に説明したか、その過程が、丁寧で誠意ある態度であればあるほど、不利益変更の合理性、正当性は高まるのです。

 

 

また、合意を得られた労働者の数が多ければ多いほど、その分、合理性、正当性と判断される可能性は、当然、高まります。

 

ですから、就業規則の不利益変更を行う場合には、不利益変更を行わなければならない理由を丁寧に説明し、1人でも多くの労働者の合意を得るよう努めることが重要となります。



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法律の基準を上回る労働条件の不利益変更について

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ここでは就業規則の不利益変更について、少し別の視点からのお話をしたいと思います。

 

就業規則を作成する場合に、法律の基準を上回る規定を定める場合があります。

 

 

よくある例が、休日労働に対する割増率です。

 

休日労働に対する割増率は、法定休日の場合には3割5分以上、法定外休日の場合には2割5分以上とされています。

 

ですから、例えば、土曜日と日曜日が休日の会社で、日曜日を法定休日とした場合、土曜日に休日労働した場合には、割増率は2割5分で法律の基準を満たします。

 

 

しかし、就業規則に、法定休日と法定外休日とを分けずに、単に休日労働の割増率を3割5分と規定してしまうと、本来は法定外休日である土曜日に出勤した場合にも3割5分増の割増賃金を支払う必要があります。

 

もちろん、法律の基準を上回っているので、法的には何の問題もありません。

 

しかし、多くの場合、経営者が、意識的に法律の基準を上回る規定を定めたのではなく、法律をよく理解していなかったために、法律の基準を上回ってしまう規定を定めてしまいます。

 

 

このような場合、法律の基準に合わせるわけですから、たとえ、それが、不利益な変更であっても、問題が無いように思えますが、実は、そうではありません。

 

労働基準法の第1条第2項に「労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」とあります。

 

この中で、「この基準を理由として」とあります。

 

つまり、先程の例で言えば、法定外休日の割増率を3割5分と定めている場合に、労働基準法が、2割5分と定めているからといって、それを変更の理由することは許されない、という意味です。

 

経営者にとっては、非常に理不尽に思えるかもしれませんが、法律ではこのように取り扱われます。

 

雛型(モデル就業規則)や無料テンプレートの利用には注意が必要です

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これまでお話ししてきましたように、実際に不利益変更を行う場合には、丁寧な手続きが必要となります。

 

しかし、それ以前に重要なことは、就業規則を作成する際に、慎重に検討することです。

 

特に就業規則の雛型や無料のテンプレートを利用する場合には注意が必要です。


 

現在では、書籍やインターネット等で就業規則の雛型やテンプレートを容易に入手することができます。

 

これらを利用して就業規則を作成すること自体は、決して悪いことではないのですが、注意しなければならないのは、雛型やテンプレートの内容をよく理解しないで、そのまま利用してしまうと後々大きな負担となってしまう場合があります。

 

 

例えば、雛型やテンプレートには、慶弔休暇制度が記載されているケースが多々あります。

 

しかし、慶弔休暇は、法律的には労働者には与える義務はなく、慶弔休暇制度自体無くても、全く問題ありません。

 

しかし、「雛型やテンプレートに書かれているのだから、慶弔休暇は就業規則に入れないといけないものだ」と誤解して、雛型やテンプレートに書かれている内容をそのまま、就業規則に規定しまうケースが多々あります。

 

 

どんな理由であれ、一度、就業規則に規定してしまえば、正式な制度となり、それを廃止又は付与日数を減らせば、当然に不利益変更となります。

 

もちろん、これは、雛型やテンプレートを利用する時にだけに限ったことではありませんが、就業規則の作成を専門家に依頼せず、雛型やテンプレートを利用して経営者自ら就業規則を作成する際に多々起こり得ることですので、特に注意が必要です。 

 

 

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まとめ

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今回のブログでは、就業規則の不利益変更についてお話ししました。

 

不利益変更を行う際に大切なことは、丁寧に誠意ある態度で労働者と交渉を行い、理解を求めることです。

 

そして、それ以前に就業規則を作成する際に、安易に作成せず、内容を十分検討することが重要となってきます。

 

就業規則の不利益変更は、大きなトラブルに発展してしまう可能性がありますので、十分ご注意下さい。

 

 

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【関連記事】 >>会社を守る就業規則 7つのポイントとは・・・?

 

  

 

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