ハローワークを通じて雇用した場合に支給される助成金について教えて下さい

【質問】

 

先日、同業者の方から、ハローワークを通じて労働者を雇用すると支給される助成金があると聞きました。

 

もらえる額も何十万円となるとのことです。

 

具体的にはどのような助成金なのでしょうか・・・?

 


【回答】

 

一定の障害者や母子家庭の母等の就職困難者をハローワークを通じて雇用した場合に支給される特定求職者雇用開発助成金等を初め、助成金には、ハローワークを通じての労働者雇用を支給の要件にしている助成金がいくつかあります。

 

 

【解説】

 

助成金制度は、雇用保険の制度の一環として行われていて、雇用機会の維持及び増大を図った事業主に支給されます。

 

助成金は、融資制度とは違うため、一度、受給した助成金は、返済する必要がありません。

 

また、支給された助成金の使用目的も問われません。

 

 

 

ところで、冒頭で書きましたように、この制度は、雇用保険の制度の一環として行われているため、助成金の支給の要件として、雇用保険への加入に関する要件が盛り込まれます。

 

ですから、助成金を活用したい場合には、事業所が、雇用保険の事業所となる必要があります。

 

ちなみに、雇用保険への加入の手続きは、ハローワークで行うこととなります。

 

 

 

ところで、助成金制度は、雇用の増大を図る事業所に支給されるため、助成金は、障害者等を新規に雇用する場合や創業時おける新規雇用に対して支給される場合があります。

 

最もよく利用されている助成金は、特定求職者雇用開発助成金という助成金で、これは、障害者や母子家庭の母等をハローワークを通じて雇用した場合に支給されます。

 

 

 

ところで、この特定求職者雇用開発助成金のように、助成金制度では、助成金の対象労働者をハローワークを通じて雇用するという要件が定められる場合が多々あります。

 

ですから、助成金の活用を考える場合には、ハローワークへこまめに求人を出すことが有益な手段の1つと言えます。

 

ちなみに、ハローワークへの求人は、当然、無料ですし、実際に求人を出す場合には、インターネットでも求人を出せるようになっており、事務負担はかかりませんので、これまでハローワークへ求人を出されたことが無いのであれば、一度、検討されると良いかと思います。

 

 

 

ところで、ハローワークへ求人を出す際に注意すべき点があります・・・。

 

これは、助成金の活用にも関係してくるのですが、ハローワークへ求人を出す場合には、事業所が、法律の基準を満たしている必要があります。

 

これはどういうことかと言いますと、例えば、休日や労働時間が、労働基準法の基準に適している必要があり、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が必要な事業所の場合には、社会保険へ加入しているか、などがチェックされます。

 

もし、法律の基準を満たしていない場合には、ハローワークは、原則、求人を受け付けないこととなっています。
 

 

 

ただ、これは助成金にも同じことが言えて、助成金を受給するには、適正な労務管理を行うことが前提となります。

 

ですから、助成金を活用するということは、自社の労務管理の適正化に目を向けるきっかともなりますので、その意味でも、積極的に活用していただきたいと思います。

 

 

 

最後に、ハローワークを通じて、助成金の対象者を雇用する際に絶対にやってはいけないことがあります。

 

先ほど、少しご紹介した特定求職者雇用開発助成金ですが、この制度は、ハローワークを通じて、一定の障害者や母子家庭の母等、及び60歳以上の高齢者を雇用した場合に支給されます。
 
 
ところで、現実的には、これらの助成金の対象となる労働者を、直接雇用等、ハローワーク以外で経路で雇用するケースもあります。

 

助成金の支給要件では、ハローワークを通じて雇用以前に、雇用の予約等が行われていた場合には、助成金が支給されないこととなっています。

 

 


 
つまり、助成金の対象労働者の雇用を予定しており、その時点で、ハローワークへ求人を出し、その労働者にハローワークへ行ってもらい求職の手続きをさせ、対象労働者をハローワークを通じて雇用したように見せかけ、助成金を受給することは、明らかな不正受給となってしまいますので、ご注意下さい。

 

なお、助成金制度は、非常に複雑な制度ですので、活用する場合にはハローワーク等の行政官庁か私どものような社会保険労務士といった専門家に積極的にご相談することも助成金を活用する上で重要なポイントと言えますのでご参考になさって下さい。

 

 

【まとめ】

 

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助成金制度は雇用保険の一環として実施され、雇用機会の維持や増加を図る事業主に支給されます。

 

融資とは異なり、返済の必要はなく、使用目的も問われません。

 

ただし、助成金を受けるには雇用保険に加入していることが要件となります。

 

 

 

助成金は、新規雇用や障害者・母子家庭の母・高齢者の雇用促進を目的としたものが多く、特定求職者雇用開発助成金などが代表的です。

 

助成金の申請には、ハローワークを通じての雇用が条件となる場合が多いため、こまめに求人を出すことが有益です。

 

 

 

また、助成金を受給するには、労働基準法の基準を満たし、適正な労務管理を行うことが求められます。

 

不正受給を防ぐため、ハローワークを経由せずに事前に雇用を約束し、形式的にハローワークを利用することは禁止されています。

 

助成金制度は複雑なため、活用を検討する際はハローワークや社会保険労務士などの専門家に相談することが重要です。