時間外労働の計算方法について教えて下さい・・・。
【質問】
起業して3年目になるのですが、この度、初めて従業員を雇用することとなりました。
従業員を雇用すると労働基準法等の様々な法律の制限を受けることとなりますが、わからないことだらけです。
特に給料の関係で、割増賃金の計算、が最も不安です。割増賃金はどのように支払えば良いのか計算方法等を教えて下さい。
【回答】
割増賃金の計算方法の基本は、法定労働時間を超えた分に対して割増賃金を支払う必要があります。
【解説】
どの経営者の方も、時間外労働の計算には直面されるかと思いますので、是非ご理解いただければと思います。
労働基準法では、法定労働時間というものが定められています。
法定労働時間とは、労働者にこの時間を超えて労働させた場合には割増賃金が必要となってくる時間の事を言います。
具体的には1日8時間、1週間40時間(一定規模以下の一部業種は44時間)となっています。
つまり、従業員の方にこの法定労働時間を超えて労働させた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。
もし、割増賃金を支払わなかった場合には明らかな法律違反となってしまいます。
では、実際にどのような形で割増賃金を計算するかについてお話していきたいと思いますが、その前に所定労働時間について説明します。
所定労働時間とは、会社が定めた労働時間を言います。
ですから、会社で1日の就業時間を7時間と定めれば、7時間がその会社の所定労働時間となります。
つまり、所定労働時間は、当然会社によって違ってきます。
では、具体的にみていきたいと思います。
ある会社の所定労働時間が8時間で、ある日9時間労働したとします。
この場合、法定労働時間の8時間を1時間超えていますので、この1時間について割増賃金を支払わなければなりません。
ここでは、わかりやすく時給1,000円で説明してみたいと思います。
割増率を25%とすれば、法定労働時間を超えてた1時間については、1,000円×1.25×1時間=1,250円となり、1,250円の時間外手当、つまり残業代を支払う必要があります。
ところで、割増賃金が必要なのは、あくまで法定労働時間を超えた場合となります。
では、所定労働時間が7時間会社で従業員に2時間時間外労働させた場合にはどうでしょう?
割増賃金を支払わなければならないのは、あくまで法定労働時間を超えた分についてだけです。
ですから、所定労働時間が7時間の場合、1時間残業したとしても、まだ法定労働時間の8時間以内に収まっていますので、この1時間については割増賃金を支払う必要がありません。
ただし、もちろん労働はしているので、その分の賃金は支払う必要はあります。
あくまで割増賃金を支払う必要がないだけです。
具体的な計算方法は、時間外労働2時間のうち1時間については、1時間×1,000円=1,000円、そしてもう1時間については法定労働時間を超えているので、1時間×1.25×1時間=1,250円となり、合計で2,250円の時間が手当が必要となります。
ここのところを誤って認識されている事業主の方が結構います。
もちろん所定労働時間が7時間で、その所定労働時間を超えた分すべてに割増賃金を支払ってももちろん問題はありません。
しかし、一度そのような計算方法をしてしまうと、いくら法律通りに戻すといっても、従業員にとっては既得権となってしまっているので、変更するには従業員の合意が必要となってきます。
法律に違反している場合は強制的に法律遵守が求められるのに、法律の水準を超えていたものを法律の水準へ戻すのも勝手にできないのは、確かに不合理に思えます。
しかし、現実はそのように取り扱われてしまうが事実なのです。
ところで、これまで、1日の法定労働時間を超えた場合についてお話ししましたが、法定労働時間は1週間でも計算されます。
1週間40時間を超えた場合にも割増賃金の支払いが必要となってきます。
ここからは、1週40時間を超えた場合、についてお話したいと思います。
まず、1つ例を挙げたいと思います。
ある週、月曜日から土曜日まで毎日7時間働いたとします。(ちなみに日曜日は休日です)
1日の労働時間は7時間なので、法定労働時間である8時間以内となっていますので、この点では割増賃金は必要ありません。
しかし、1週間でみると、7時間×6日=42時間となり40時間を超えているため、2時間については割増賃金を支払う必要があります。
このように、1日8時間以内の労働時間の場合でも、割増賃金が発生する場合があります。
まず、この点をご理解いただきたいと思います。
もう1つ例を挙げたいと思います。
月曜から土曜まで毎日9時間労働した場合はどうでしょう?
1日の労働時間が9時間なので法定労働時間である8時間を超えていますので、超えた1時間については当然割増賃金の対象となります。
従って、1時間×6日=6時間の時間外労働となります。
では、1週間の労働時間はどうでしょう?
9時間×6日=54時間となり、法定労働時間である40時間を14時間超えています。
このような場合、時間外労働時間はどうなるのでしょうか?
一見、6時間+14時間で20時間となるかと思われますが、これでは1日8時間を超えた部分と1週40時間を超えた部分とでダブって計算されてしまう時間が発生してしまいます。
従ってこのよう場合には、まず1日8時間を超えた部分を計算します。
これは先程書いたとおり1時間×6日=6時間となります。
そして、1週40時間の法定労働時間を超えているかを計算する場合は、既に1日8時間を超えている時間は計算に入れないで計算します。
つまり、1日の労働時間の9時間のうち1時間は既に時間外労働としてカウントしているので、1週40時間を計算する場合は、8時間として計算します。
従って、8時間×6日=48時間となり、1週40時間の法定労働時間を超えている時間は8時間となります。
時間外労働時間は、6時間+8時間の14時間となります。
このように、1週40時間の法定労働時間を超える時間を計算する場合は、1日8時間の法定労働時間を超えた分を控除して計算することとなります。
実際には、より複雑な場合も考えられますし、また労働時間は日や週によって違う変形労働時間制の場合も考えられます。
しかし、今回でお話した計算方法が考え方の基本となりますので、まずこの基本の部分をご理解いただければと思います。
【まとめ】

労働基準法では、法定労働時間が1日8時間、1週40時間(特定業種は44時間)と定められており、これを超えた労働には割増賃金が必要です。
一方、会社が定める所定労働時間は企業ごとに異なり、所定労働時間を超えても法定労働時間内であれば、通常の賃金のみ支払えばよいとされています。
例えば、所定労働時間が8時間の会社で9時間働いた場合、1時間分の割増賃金が発生します。
一方、所定労働時間が7時間の会社で2時間残業した場合、1時間分は通常賃金、もう1時間は法定労働時間を超えるため割増賃金が必要です。
また、法定労働時間は1週単位でも適用され、1日の労働時間が8時間以内でも、1週40時間を超えた場合は超過分に割増賃金が発生します。
例えば、1日7時間・週6日勤務(合計42時間)の場合、2時間分の割増賃金が発生します。
1日9時間・週6日勤務(合計54時間)では、まず1日超過分6時間(1時間×6日)を算出し、その後、1週40時間の超過分を計算する際に既に時間外とした部分を除外し、追加で8時間分の割増賃金が必要となります。
このように、時間外労働の計算には1日と1週の基準を考慮し、重複計算を避ける必要があります。
変形労働時間制など特殊なケースもありますが、まずこの基本的な考え方を理解することが重要です。

