Q 有給休暇を取ったアルバイトの給料の計算方法は?

【質問】

 

先日、来月のシフト表を作成しようとしたところ、アルバイト社員から有給休暇を取得させて欲しいとの申し出がありました。

 

アルバイトでも有給休暇が発生するということは、以前ネットで見て知っていたので、有給休暇を取得してもらうことはいいのですが、ただ、その日については、シフトから外すこととなります。

 

ところで、そのアルバイトの社員の勤務時間は、特別1日何時間と決めているわけではないので、日によって勤務時間がバラバラです。

 

となると、そのアルバイトは時間給制なのですが、有給休暇を取得した日についての給料の計算はどのようにすればよいのでしょう。

 

 

【回答】

 

今回のご質問のケースでは、もし、有給休暇を希望したアルバイト社員が、健康保険に加入していないのであれば、平均賃金日額を支払うこととなります。

 

 

【解説】

 

有給休暇を取得した場合の給料は、労働基準法で次の3つから選択することが定められています。

 

① 所定労働時間(働くべき時間)労働した場合の給料

② 平均賃金

③ 健康保険の標準報酬日額相当額

※標準報酬日額:健康保険の標準報酬月額を30で除した額

 

ですから、時間給制のアルバイト社員であっても、有給休暇を取得した日の所定労働時間(働くべき時間)分の給料を支払えばよいこととなります。

 

 

しかし、特に学生アルバイトの場合、各労働日の労働時間が特別決まっていないケースは、多々あります。

 

また、シフト表を作成する場合、アルバイト社員が有給休暇を取得する日がわかっているのであれば、当然、その社員をシフト表に入れることはありません。

 

その結果、有給休暇を取得した日の所定労働時間(働くべき時間)が、わからないこととなってしまいます。

 

このような場合、所定労働時間が不明ですから、①を使用することはできなくなります

 

 

となれば、②か③のどちらかを用いて、有給休暇を取得した日の給料を計算することとなります。

 

有給休暇を取得したアルバイト社員が健康保険に加入していれば、③の標準報酬日額相当額を使用できますが、アルバイト社員の場合、健康保険に加入していないケースも多いので、もし、今回のご質問のアルバイト社員が健康保険に加入していない場合には、結果的に②の平均賃金を用いて給料を計算することとなります。

 

平均賃金は簡単に言えば、過去3ヶ月間の給料の平均額となります。

 

なお、平均賃金の計算方法については、ここでは割愛させていただきますので、計算方法についてはこちらをご参照下さい。

 

>>平均賃金の計算方法について(オフィスまつもとブログ)

 

 

平均賃金は、過去3ヶ月分の給料を基に計算されるため、有給休暇を取得する月によって、その額は変動することとなります。

 

つまり、有給休暇の給料を平均賃金で支払う場合には、毎月毎に金額を計算する必要があります。

 

これは事務的には非常に煩雑となってしまいますが、有給休暇の給料は、法律で先に挙げた①から③までのどれかで支払わなければならないと規定されているため、やむを得ないこととなります。

 

 

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【ここがポイント】

 

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有給休暇取得の給料の計算で注意しなければならないのは、その都度ごとに計算方法を決めるのではなく、会社のルールとして計算方法を決める必要があります。

 

これは、例えば、アルバイトの有給休暇の給料を平均賃金によって計算すると決めたら、全ての場合に平均賃金を用いる必要があります。

 

仮に、8時間労働する日に有給休暇を取得すれば、もし、①であれば8時間分の給料が支給されますが、平均賃金を使用することによって、平均賃金が、5時間分の給料にしか相当しなくても、平均賃金で支払う必要があります。

 

 

これは、労働者にとって不条理に思えてしまいますが、法律上やむを得ないこととなりますので、有給休暇の給料を平均賃金によって計算する場合には、このようなことが起こり得ることを事前に説明しておく必要があるかと思います。

 

なお、有給休暇取得した際の給料の計算は、必ずしも全社員一律にする必要はなく、正社員は、①の所定労働時間(働くべき時間)労働した場合の給料で、アルバイトは、②の平均賃金というように社員の区分によって変えることは可能です。

 

 

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