MENU

Q 過払い分の通勤手当を返還請求できますでしょうか?

2019年9月16日

難解な労務管理知識をわかりやすく解説!毎日わずか3分で1年後、専門家レベルの幅広い知識が身につく完全無料メールセミナー「労務365日」のご登録はこちら

 

 

【質問】

 

当社では、就業規則で、通勤手当を会社から自宅までの距離に応じて支給することを規定しています。

 

また、引っ越し等で会社から自宅までの距離が変更となった場合には、会社に申し出て、変更があった翌月分の給料から通勤手当の額を変更する旨も規定しています。

 

先日、ある社員が半年前に引っ越しをして、会社までの距離が近くなったにもかかわらず、申告するのを忘れていたために、本来支給する額より多く支給していました。

 

当社としては、過払い分を返還してもらいたいと考えていますが、可能でしょうか?

 

 

【回答】

 

労働者の過失によって生じた過払いですので、労働者には請求権が無く、不当に利益を得ていたこととなるので、会社は通勤手当の過払い分の返還を請求することができます。

 

ただし、返還方法については注意が必要です。

 

 

【解説】

 

今回のご質問の場合、労働者の申告ミスにより、会社は労働者に対して本来支払う必要の倍額の通勤手当を支給していたため、労働者は法律上の根拠なく不当に利益を得ていたこととなるため、会社は労働者に対して不当利得の返還請求権を有することとなり、労働者はそれに応じる必要があります。

 

ところで、過払い分を労働者から返還してもらう場合、現金払いや振込等で直接会社に支払ってもらう場合には、何の問題もありません。

 


しかし、過払い分を給料から控除する場合には注意する必要があります。

 

労働基準法第24条では、給料は全額支給しなければならないとされています。

 

つまり、本来はどんなものであれ給料から控除するのは、許されないことなのです。

 

しかし、この規定をあまりに厳格に適用してしまうと、労働者にも不便が生じてしまうため、法令に別段のある場合や組合費や弁当代等の事理明白なものについては、労使間による控除協定がある場合には例外的に給料からの控除が認められています。

 

 

ところで、今回のご質問のように、給料計算ミスにより生じた過払い金について、給料からの控除による清算については、給料計算自体の計算に関するものですので、仮に労使間による控除協定が無くても、労働基準法第24条違反とはならないと解されています。

 

しかし、このように給料から過払い金を控除する場合、その控除する金額が高額ではなく、また控除する時期も合理的に接着している必要があります。

 

 

何故このように解されているかと言いますと、たとえ労働者に返還義務があったとしても、給料は労働者の生活の糧となるものですので、労働者の生活の安定が害されない範囲で控除が行われるべきであって、つまり、労働者の生活の安定を優先させる必要がある、という考えがあるためです。

 

従って、今回のご質問のようなケースの場合で、1ヶ月分の過払い金の額が少額の場合、前月、前々月分程度を給料から控除することはできますが、それ以前の分については、接着性の観点から控除することはできない、ということとなります。

 

また、1ヶ月分の過払い金の額が、数万円以上で高額となる場合には、たとえ、前月、前々月分であっても、給料からの控除はできないこととなります。

 

ただし、これはあくまで考え方ですので、仮に1ヶ月分の過払い金の額が高額であっても、労働者が自由意思に基づいて控除を了解すれば、それまでも否認するものではありません。

 

要は、労働者と無理のない返済方法を十分に話し合うことが重要と言えます。

 

 

完全オーダーメイドによる貴社に見合った就業規則作成・変更サービスはこちら

 

 

【ここがポイント】

 

s_5ae38d9ad57118c4f7a5bc3d2d3c905c_s.jpg

 

最後にご質問の内容とは少し離れますが、途中、お話しした給料の全額払いの例外、控除協定がある場合について1つ注意点をお話ししたいと思います。

 

先程、お話ししましたように労使間で控除協定がある場合、組合費や弁当代、購買代金等を控除することができますが、控除協定があった場合でも、控除できるのはあくまで事理明白なものに限ります。

 

 

事理明白の意味は、「物事の道理があきらかで、はっきりしているさま」ですが、例えば、会社の設備や車両の修理費用等は、この事理明白なものには該当しません。

 

従って、たとえ、控除協定で、修理費用等を給料から控除できる旨の協定を締結しても、その部分については無効となり、実際に給料から控除すれば、労働基準法第24条違反となりますのでご注意下さい。

 

なお、禁止されているのはあくまで給料から控除することであって、実損害額に応じた賠償を請求することは差し支えありません。

 

 

完全オーダーメイドによる貴社に見合った就業規則作成・変更サービスはこちら

 

 

 

cta-om03.png

人気記事


オフィスまつもと ブログ

最新記事

カテゴリー

メニュー

会社情報

東京
(LMコンサルティング株式会社)

03-5962-8568

静岡
(オフィスまつもと)

053-474-8562

東京
(LMコンサルティング株式会社)
〒132-0023
東京都葛飾区東新小岩3-1-16-405

静岡
(オフィスまつもと)
〒430-0906
静岡県浜松市中区住吉4-13-9


© 2019 社会保険労務士事務所 就業規則作成・変更サービス All rights reserved.