労働基準監督署の調査を前向きに捉える!

「労働基準監督署の調査」と聞けば、全ての経営者の方は、快く思わないかと思います。

 

しかし、労働基準監督署の調査を前向きに考えてみることは、事業経営において、決してマイナスにならないと思います。

 

今回は、労働基準監督署の調査について、通常とは違った視点から考えてみたいと思います。

 

 

労働基準監督署の調査を好む人はいませんが・・・

 

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かなり前になりますが、「ダンダリン」という労働基準監督署が舞台となったドラマがテレビで放送されました。

 

私自身は、ドラマを最近は、ほとんど見ないのですが、労働基準監督署を舞台にしたドラマということで、社会保険労務士という仕事柄、興味があったので、第一話だけは見ました。

 

「何で、逮捕するのに、ほふく前進なんかするの~?。刑事だって犯人捕まえる時に、そんなことしないでしょう!」

 

「労働基準監督署の人だって、残業するぞ~!!」

 

と首を傾げたくなる所も多々ありましたが、「ドラマだから」と言ってしまえばそれまでですが、知らない人が見れば、「労働基準監督署のお役人さん達は、変な人ばかり」と思ってしまうかもしれませんね。

 

 

 

実際、あまり面白いドラマではなかったので、2回目以降は見なかったのですが、「労働基準監督署」に対して、どのようなイメージを持たれているでしょうか?

 

まぁ、経営者の中で労働基準監督署のことを「好き」と思っている人は、まずいないでしょうね。

 

税務署も同じかもしれませんが・・・(笑)

 

 

 

ところで、社会保険労務士という仕事柄、労働基準監督署について、どうのこうの言うことは、なかなか恐れ多いのですが、本ブログでは、労働基準監督署について、少し視点を変えてお話しをしていきたいと思います。

 

むしろ、労働基準監督署についての話しと言うより、経営者ご自身の経営に対する基本的な考え方のお話しと言った方が良いかもしれません。

 

ところで、ドラマにも出てきましたが、労働基準監督署は、事業所に「臨検」と呼ばれる、調査に入ることがあります。

 

ドラマにも出てきましたが、重要な案件については、突然、事業所に来ることもありますが、通常の場合には、予め日時を指定して調査に入ります。

 

 

 

さて、経営者の方に、労働基準監督署の調査は「好き?」「嫌い?」と聞けば・・・。

 

答えは、決まっていますよね。

 

調査が、好きな経営者は、まずいないですよね。

 

 

 

では、「労働基準監督署の調査は、ラッキー?それともアンラッキー?」と聞かれれば、誰もが、「アンラッキーに決まっている」と答えるでしょうね。確かに、普通は、アンラッキーと思います。

 

しかし、経営という視点からみた場合、労働基準監督署の調査は、アンラッキーなのでしょうか?

 

私は、経営者の方から「何故?」と言われてしまうかもしれませんが、決してアンラッキーとは思いません。

 

 

 

実は、経営者の方にも、むしろラッキーと思って欲しいと思っています・・・。

 

誰もが、労働基準監督署から調査されることとなったら、嬉しく思う人は、まずいないと言えます。

 

しかし、ここで労働基準監督署の調査を別の視点から考えてみたいと思います。

 

意外に調査は、「ラッキー」と思えるかもしれませんよ。

 

いえ、是非、そう思って欲しいのです・・・。

 

 

労働基準監督署の調査をラッキーと考える

 

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ここで私が実際に経験したことをお話ししてみたいと思います。

 

私のクライアントの方で、運送業を営んでいる社長様がいるのですが、この方は、非常にワンマンなところがあるかたのですが、その反面、非常に人情味に厚いところがありまして、誰でもとりあえずは入社させてしまうのです。

 

確かに、人手不足のところもありますが、「縁あって、自分の所に来てくれたのだから、いきなり断るのはなく、とりあえず働いてもらう」という考えなんです。

 

それはそれである意味正しい経営判断とも言えるのですが、無条件に入社させてしまえば、どうしてもトラブルが起こる可能性は高くなります。

 

実際、以前は、本当によく労働トラブルが起こりました。

 

 

 

とろこで、通常、ワンマンな経営者の場合、労働基準法なんて全く意に介しない経営者が結構多いのですが、この会社の社長様は、「法律を守る」ということを、非常に重要視しているんです。

 

私もこの社長様とは、何度も話す機会があるのですが、この社長様の口から、「労働基準法通りにやっていたら会社は潰れてしまう」という、他の社長様からはよく聞く言葉を、一度も聞いたことが無いのです。

 

 

 

ところで、この会社で、大きな労災事故が起きてしまったのです。

 

事故の原因は、従業員の過失によるところが多かったのですが、事故自体が大きかったので、労働基準監督署の調査が入ることとなったのです。

 

監督署の調査が入ることとなると、「先生、調査、って一体何を調査するんですか?大丈夫なんでしょうか?」と通常は、経営者の方は非常に心配され、すぐに連絡をしてくるのですが、私が、この会社に監督署の調査が入るのを知ったのは、監督署からの通知が届いてから、1週間程経ってからでした。

 

 

 

しかも、「監督署の調査が入る」という連絡を受けたのではなく、たまたま、別の用事で行った時に、社長様から「今度、この前の事故の件で、監督署の調査が入ることとなったよ」とあっさり言われたんです。

 

私も、この社長様の性格を知っていましたので、「大丈夫ですよ。心配することありませんよ。」と言うと、社長は、平然と「心配なんか全然していないですよ。」

 

実は、社長様が言った、この後の言葉に、本当に感銘を受け、まさにその通りと深く頷いてしまいました・・・。

 

 

調査によって何処を改善すべきかがわかります

 

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「たとえ、事故の原因が、従業員の過失にあったとしても、このような大きな事故が起きてしまったことは事実だから、会社にも、きっと何処かに問題があったはずだ。それを労働基準監督署が調査してくれて、指導してくれれば、何処を改善したら良いか、わかるわけだから、会社にとってはありがたいことなんだよ。」

 

 

 

労働基準監督署の調査は、出勤簿や賃金台帳も調べられます。

 

その結果、残業代の不足が指摘されたりするので、多くの経営者は、調査を好ましく思わないのが実情です。

 

 

 

ところが、この社長様は、「自分では正しいと思ってやっていることでも、実際は、正しくなかったり、勘違いをしている事こともある。それは言われなければ、自分ではなかなか気が付かないから、指導されれば、正しい知識も身に付くから、それだけ会社にとってプラスとなるんですよ。もし、残業代とかで不足があって、払わなければならないものがあれば、それは、元々払うべきものだから、払えば良いんですよ。だから、監督署の調査を受けないに越したことはないけど、受けることとなったら、それはそれでラッキー、と思えば良いんですよ。」

 

多少、時間が経過しているので、少し正確さに欠けるところもありますが、概ねこのような話しでした。

 

 

 

いずれにしても、この社長様は、労働基準監督署の調査をマイナスに考えるのではなく、会社にとってプラスになることと捉えていました。

 

私は、このような気持ちを持つ事は、経営を行う上で非常に重要だと思います。

 

ですから、もし、労働基準監督署の調査を受けることとなっても、否定的に捉えずに、前向きに捉えて欲しい、と思っています。

 

そのような、プラス的な考えは、きっと経営にも良い影響を与える思います。

 

 

前向きな姿勢には監督署も好意的です。

 

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では、労働基準監督署の調査に対して、どのように取組むべきかを書いてみたいと思います。

 

私も、これまで監督署の調査は、何回となく立ち会ってきました。

 

その経験を基にお話ししてみたいと思います。

 

先にお断りしておきますが、これまでの調査は、抜き打ちの調査では無く、予め日時が指定されている調査です。

 

実際、抜き打ちの調査に立ち会う事は、なかなか難しいので・・・。

 

 

 

ところで、実際の労働基準監督署の調査は、一般にイメージされているようなものとは少し違います。

 

経営者の方が、思っている程、身構えるようなものではないです。

 

もちろん、国の機関ですから、違法行為を見逃すというようなことはありません。

 

 

 

しかし、意外に思われるかもしれませんが、労働基準監督署は、コンプライアンス(法令遵守)に対して、前向きな会社には、決して罰してやろう、というような態度は取りません。

 

実際、多くの社会保険労務士が同じような事を言います。

 

調査受け、何らかの指導や改善命令が出ても、直ぐに改善できない場合でも、段階を踏んで改善していく、という前向きな会社には、監督署は好意的で、本来は、直ぐに改善しないといけないような事項でも、一定の期間の猶予をくれる場合があります。

 

 

 

というのは、監督署の調査の本来の目的は、会社を罰するために行われるものではなく、労働者にとって働きやすい正しい状態にすることが目的であるので、威圧的な姿勢で調査が行われるわけではないのです。

 

逆に言えば、経営者の方が、監督官に威圧的な態度を取ったり、賃金台帳やタイムカードの帳票類の提出を拒んだり、改ざんしたりして、調査に非協力的な態度を取れば、監督官もそれなりの態度で臨んでくると思います。

 

 

 

ところで、最後に「・・・思います。」と書いたのは、私の顧問先で、監督署の調査が入った時には、帳票類の改ざん等を絶対にさせないからなんです。

 

賃金台帳や出勤簿等に不備があれば、補足や訂正することはありますが、事実を改ざんしたり、一部を隠すようなことをさせたことないのです。

 

ですから、改ざんや隠匿が見つかってしまった場合を経験したことがないので、監督官がどのような態度を取るのか、わからないところがあるのでが、他の社会保険労務士に聞いてみると、非常に厳しい態度を取られるようです。

 

 

 

もし、監督署の調査を受けることとなったら、調査に協力的な態度で臨んで、会社が良くなる機会と前向きな気持ちで、むしろラッキーな事として捉えて下さい。

 

決して、事態は悪い方向には行かないと思います。

 

 

まとめ

 

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労働基準監督署の調査は、多くの経営者にとって好ましくないものですが、見方を変えれば、経営改善の機会となり得ます。

 

監督署の本来の目的は、労働者が働きやすい環境を整備することです。

 

実際、法令遵守に前向きな企業に対し、監督署は改善に向けた猶予を与えるなど、協力的な姿勢を示すことが多いようです。

 

 

 

調査に臨む際は、帳票類の改ざんや隠蔽はせず、協力的な態度で臨むことが重要です。

 

そうすることで、監督署も建設的な姿勢で対応し、会社にとってプラスとなる結果につながる可能性があります。

 

調査をネガティブに捉えるのではなく、会社をより良くするためのラッキーな機会と捉えることが大切です。