Q 就業規則に慶弔休暇を定めないといけないのですか?

【質問】

 

当社では、現在、就業規則を作成中です。

 

ネットでの情報を参照に検討しているのですが、ネット上に公開されているモデル就業規則や無料のテンプレートには、冠婚葬祭時の慶弔休暇の規定が載っていました。

 

当社は、社員が数十人の小さな会社で、ただでさえ人手不足の状態で、有給休暇以外にも休暇を与えるとなると、会社としても人員的にも非常に苦しくなってしまうのですが、慶弔休暇は、必ず定めなければいけないものなのでしょうか?

 

【回答】

 

慶弔休暇は、法律的な義務はないので、制度を設けるか設けないかは、経営者の自由となります。

 

【解説】

 

社員本人や子供が結婚したり、家族が亡くなったりした場合に、慶弔休暇制度を設けている会社が多々あります。

 

ところで、慶弔に関しての休暇は、労働基準法等の法律で労働者に与えることを義務付けていません。

 

ですから、慶弔休暇自体が無くても法律的には全く問題ありません。

 

ちなみに、法律的な義務が無いということは、法律に規定自体が無いので、慶弔休暇という名称自体も法律用語ではありませんので、名称は、特別休暇や忌引休暇等どのような名称でも構わないこととなります。

 

 

ところで、就業規則に関して、相対的必要記載事項という、もし、定めがあるなら就業規則に記載しなければならない事項が法律でいくつか定められています。

 

その中に「休暇に関する事項」があり、慶弔休暇が、それに該当します。

 

 

つまり、慶弔休暇を設ける設けないについては、経営者の自由ですが、もし、設けるとなると、就業規則に記載しなければならないこととなります。

 

就業規則に記載すれば、それは労働者の権利となります。

 

そのため、一度、慶弔休暇を規定してしまうと、経営者が後になって一方的に制度を廃止することは出来なくなりますので注意が必要です。

 

 

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【ここがポイント】

 

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これまでお話ししてきたように、慶弔休暇は、元々、法律で義務付けされたものではないので、もし、仮に制度を設ける場合でも、その内容も自由に決めることができます。

 

慶弔休暇を設ける場合には、取得できる日数、対象となる親族の範囲、取得するための手続き、給与の支払いの有無等を明確に定めておくことが重要です。

 

 

そして、重要なのが、慶弔休暇を取得できる労働者の範囲です。

 

と言うのは、もし、慶弔休暇を取得できる労働者の範囲を限定しなければ、パートタイマーやアルバイトといった全ての労働者が慶弔休暇を取得できることとなります。

 

もちろん、会社が、それで良いと考えるならば、それはそれで良いのですが、慶弔休暇が持つ意味合いを考えれば、正社員や勤続年数が長期間にわたるパートタイマー等に限定するのが一般的と言えます。

 

しかし、その点が、明確化されていなければ、トラブルの原因になってしまうことも考えられますので、慶弔休暇を取得できる対象となる労働者の範囲の明確化は、重要なポイントとなってきます。

 

 

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