キャリアアップ助成金活用のための就業規則の記載例等について
助成金を活用したい?と考えている経営者の方は多いかと思います。
しかし、具体的にどうしたら良いのか?
そもそも、自分の会社でも助成金をもらうことができるのか?といった悩みをお持ちの経営者が多く、そのため、助成金は、ごく一部の企業にしか利用されていません。
助成金制度は、40種類ほどありますが、その中で利用しやすい助成金の1つにキャリアアップ助成金 正社員化コースがあります。
「キャリアアップ助成金 正社員化コースについて知りたい」「今後、活用したい」とお考えでしたら、是非、この記事をお読み下さい。
キャリアアップ助成金 正社員化コースの概要について誰よりもわかりやすく説明します。
なお、末尾では当事務所の助成金無料相談もご案内してありますので、是非、最後までお読み下さい。
助成金は、雇用保険に加入していればどの企業でも利用できます
助成金は、返済不要で使用目的も問われないので、経営者にとっては非常に魅力的な制度です。
しかし、経営者の中には「使えるのは、大企業とかごく限られた会社だけでしょう」とか「うちは個人事業主だから・・・」といった間違った認識を持たれている方も多くいます。
助成金は、雇用保険制度の一環として行われていて、雇用機会の増大や維持を図った企業に支給されるため、雇用保険に加入していることが大前提となりますが、逆に言えば、風俗等のごく一部の業種を除いて、雇用保険に加入していれば、どの企業でも利用が可能です。
また、個人事業主であっても、雇用保険の加入条件を満たしている労働者を雇用すれば、雇用保険に加入しなければならないので、個人事業主であっても助成金を利用できます。
キャリアアップ助成金 正社員化コースは、何故利用しやすい?
先程、キャリアアップ助成金 正社員化コースは、助成金の中でも利用しやすい助成金の1つ書きましたが、ここではそれについて少しお話ししたいと思います。
キャリアアップ助成金 正社員化コースは、有期雇用労働者(雇用期間に定めのある労働者)等を正社員等へ転換すると支給される助成金です。
多くの企業では、正社員以外にパートタイマーやアルバイトといった、いわゆる非正規労働者を雇用しています。
そして、非正規労働者が正社員等へ転換されるケースは多々あると言えます。
例えば、子育ての関係で、フルタイムで働くことができなかった労働者が、子供が成長して手が離れ、フルタイムで働くことを希望する場合は、どの会社でも考えられます。
会社にとっても、新たな労働者を雇用するよりは、はるかにリスクは少ないですし、また、一から業務を教える必要もありません。
また、労働者にとっても、新たな職場に行けば、そこでまた新たに業務を覚える必要もありますし、人間関係で悩むリスクもあります。
しかし、慣れ親しんだ職場であれば、そういった心配もまずありません。
つまり、非正規労働者を正社員等にすることは、会社にとっても労働者にとっても大きなメリットがあるのです。
しかも、正社員等への転換には試験や面接等を課すことができるので、会社は全ての希望する非正規労働者を正社員等にする必要はありません。
この点も、企業にとってはリスクがほとんどなく助成金を活用できるポイントと言えます。
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キャリアアップ助成金 正社員化コースを活用するには?
では、キャリアアップ助成金 正社員化コースを上手に活用するにはどうすれば良いでしょうか?
その前に、まずこちらのパンフレットをご覧下さい。(ざっと、スクロールして下さるだけで結構です。)
>>キャリアアップ助成金パンフレット(厚生労働省)
いかがでしたが?
実は、キャリアアップ助成金には、正社員化コース以外にもいくつかのコースがあり、このパンフレットでは、全てのコースについて解説してあります。
そのため、ページ数が70ページ以上にもなっています。
内容も非常に複雑で専門用語が並び、まず普通の人では、何が書いてあるのかを理解するのは、まず不可能でしょう。
何を言いたいかといいますと、経営者の方が、いきなりキャリアアップ助成金 正社員化コースをこのパンフレットを読んで活用しようとしても、まず、助成金を活用することは出来ないと言えます。
では、どうすれば良いのでしょうか?
1つの方法にハローワーク等の行政官庁や社会保険労務士等の専門家に聞くという方法があります。
しかし、もし、この助成金についてほとんど知識を持っていなければ、経営者の方は、一体何を聞いたらいいのかがわからない、と思います。
そんな状況で、行政官庁に出向いたり、専門家に電話を掛けたりするのは、経営者にとって非常にハードルの高いことと言えます。
私は、経営者の方が、キャリアアップ助成金 正社員化コースをより活用するには、まず、助成金の概要(主な支給条件や申請のポイント等)を経営者の方がある程度理解し、自分の会社でも活用できそうだと判断したら、その時点で行政官庁や専門家等に相談するの流れが一番良いのではないかと考えています。
そこで、経営者の方にキャリアアップ助成金の概要をつかんでいただくために、3つのポイントについてお話ししたいと思います。
3つのポイントとは以下となります。
① 助成金の対象となる労働者と正社員等への転換時の注意点
② キャリアアップ計画書の提出
③ 就業規則の整備
そして、これらを踏まえて、実際にキャリアアップ助成金 正社員化コースを実際に活用する場合の申請の流れについてお話ししたいと思います。
転換前の対象労働者について
この助成金のポイントの1つは、有期雇用労働者を正社員へ「転換」する、というように「転換」つまり、労働者の身分(区分)を変更するところにあります。
ただ、「転換」と聞くと難しい印象を受けますが、あまり難しく考える必要はなく、要は、「パートタイマーから正社員になった」というようなイメージを持っていただければ結構です。
ただし、助成金を受給する上で問題となるのが、転換前と転換後、先程の「パートタイマーから正社員になった」で言えば、転換前のパートタイマーと転換後の正社員が助成金の条件の基準を満たしている必要があります。
もう少し言えば、転換後ももちろん重要ですが、それ以前に、そもそもこの助成金を活用するには、助成金の条件の基準を満たしている転換前の労働者を雇用している必要があります。
ところで、この助成金の難しいところは、最も重要なポイントである転換前の労働者の条件の基準が非常に複雑でわかり難いのです。
ですから、多くの経営者の方が、「一体当社ではこの助成金を利用できるのだろうか?」と思考がストップしてしまいます。
確かに転換前と転換後の労働者について正確に説明しようとすると、どんなに分かりやすく書こうとしても、難解な文章となってしまいます。
しかし、ここでは、あくまで助成金を活用しやすくする、という目的を前提としているので、このブログをお読みのあなた様が、転換前の労働者をイメージしやすいように、労働者の区分を単に正社員と正社員以外の2つの区分で分けてみたら良いのではないかと考えました。
つまり、この助成金は、転換後の労働者の身分(区分)が正社員となれば良いわけですから、現時点で正社員以外の労働者を雇用していれば、助成金を利用できる可能性があることとなります。(あくまで可能性ですが)
では、ここでイメージしやすいように、正社員を以下のように定義付けしてみたいと思います。(なお、労働者の定義については法律で規定があるわけではないので、ここでの定義は、あくまで一般的で広く用いられているものです。)
・給料が月給制
・フルタイムで勤務(会社の始業時刻から終業時刻まで勤務)
・雇用期間の定めがない(定年まで勤務)
このように正社員を定義した場合に、3つの条件のどれか1つでも該当しなければ、正社員ではないこととなります。
もし、正社員でない労働者を雇用していて、その労働者を正社員へ転換すれば助成金の可能性があるということとなります。
可能性があるのであれば、後は行政官庁や専門家に細かい条件が当てはまるかを相談すれば、キャリアアップ助成金 正社員化コースを利用できる可能性は、グッと高まると言えます。
さらに、助成金の支給条件は様々ありますが、次の3点に注意するとより具体的に助成金の概要が理解できるかと思います。
① 対象労働者は、雇用後3年未満の労働者
② 転換前6ヶ月以上の雇用
③ 正社員へ転換時に給料の3%アップが必要
それぞれ簡単にご説明したいと思います。
①の「雇用後3年未満の労働者が対象」についてですが、この助成金では、転換前の労働者が、転換時に雇用期間が3年未満である必要があります。
つまり、雇用後3年以上経過している労働者を正社員へ転換しても、キャリアアップ助成金 正社員化コースの対象とはなりません。
②の「転換前6ヶ月以上の雇用」についてですが、この助成金は、対象労働者を正社員へ転換する前に、最低でも6ヶ月以上雇用している必要があります。
例えば、4月1日に雇用したパートタイマーを正社員へ転換して助成金を利用したいなら、転換時期を10月1日以降にする必要があります。
それ以前に転換した場合には、法的には何の問題も無いのですが、助成金を受給することはできなくなります。
③の「転換時に給料3%アップ」ですが、これは正社員へ転換時に給料を転換前と比較して3%上げる必要があります。
つまり、転換前と転換後の給料が同額の場合には、助成金の対象とはなりません。
また、転換前が、パートタイマー等で労働時間が正社員より短く給与が時給で支給されていた場合には、月の支給総額では転換前の給与を上回っていても、正社員転換後の給与を時給単価にした場合に、転換前の時給単価と同じ場合には助成金の対象とはなりません。
なお、給料3%アップについては、手当によっては対象とならないものがあるなど少し複雑ですので、詳細については行政官庁や専門家に確認して下さい。
ここでは転換時に給料を上げる必要がある、ということをご理解いただければ十分かと思います。
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キャリアアップ計画書の提出
正社員化コースに限らず、キャリアアップ助成金を利用するにはキャリアアップ計画書を提出し行政官庁の認定を受ける必要があります。
キャリアアップ計画書と聞くと、「何か難しそう」と思われるかもしれません。
しかし、決してそうではありません。
キャリアアップ計画書は、要は会社の概要と、今後、どんな労働者をどんな方法で正社員へ転換していくかなどの計画書です。
ただ、行政官庁への提出書類に慣れていない場合には、どんな内容を書いたらいいのか戸惑ってしまうかもしれませんが、基本的にはこちらの記入例と同じような内容で問題ありません。
※なお、こちらの記入例には、正社員化コース以外のコースについての計画も記載されていますが、利用する助成金が正社員化コースだけであれば、他のコースについての記入は不要です。
なお、キャリアアップ計画書で手間取ってしまう場合には、ハローワークへ相談することをお勧めします。
先程も言いましたように、キャリアアップ計画書自体の内容は決して難しいものではないので、ハローワークの担当者に相談しながらなら、経営者ご自身でも十分作成できます。
ところで、キャリアアップ計画書について1つ覚えておいて欲しいポイントがあります。
キャリアアップ計画書には、計画期間を記載します。
計画期間は最大で5年とされていますが、助成金の対象となるには、対象労働者をこの計画期間内に転換する必要があります。
例えば、対象労働者を令和1年10月1日に正社員へ転換したい場合には、キャリアアップ計画期間の始期は、必ず令和1年10月1日以前とする必要があります。
そして、このキャリアアップ計画書は行政官庁の認定を受ける必要があるので、例えば、計画期間が令和1年10月1日から5年間の計画書を、令和1年10月2日以降の提出は当然認められませんので、計画書は遅くとも計画期間の始期までに提出する必要があります。
つまり、キャリアップ計画書は、遅くても最初に対象労働者を転換する日までに提出する必要があります。
従って、対象労働者を正社員へ転換した後に計画書を提出しても、その労働者は助成金の対象とはならなくなってしまいます。
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就業規則へ転換制度の導入について
ここでは、キャリアアップ助成金 正社員化コースと就業規則との関係についてご説明したいと思います。
この助成金にとって就業規則は不可欠な要素となります。
キャリアアップ助成金 正社員化コースを利用するには、単に対象労働者を正社員へ転換するだけでは駄目で、就業規則へ転換制度を定める必要があります。
つまり、就業規則の転換制度の規定に則り、対象労働者を正社員へ転換して初めて助成金の対象となってきます。
そのため、常時労働者数が10人未満の就業規則の作成義務の無い事業場であっても、対象労働者を初めて正社員へ転換する前までに就業規則を作成する必要があります。
ただ、初めて対象労働者を転換する前までに就業規則へ転換制度を導入すれば良いわけですので、現時点で就業規則が無い場合でも、助成金の利用は十分可能です。
なお、常時労働者数が10人以上で、本来であれば就業規則を作成してあるべき事業場で就業規則が無い場合でも、転換前までに就業規則を作成し、転換制度を導入すれば助成金の利用は可とされています。(就業規則を作成していなかったという法律違反行為によって、基本的に助成金の不支給にはならないということです。)
では、次に転換制度について具体的にご説明したいと思います。
転換制度と言っても決して難しく考える必要なく、以下のような条文を就業規則に規定すれば良いのです。
第〇〇条(正規社員への転換制度)
1.パートタイマー等雇用期間を定めて雇用されている社員は、雇入れ日から6ヶ月経過した以降、雇用期間の定めのない正規社員への転換を申し入れることができる。
2.転換時期は随時とする。
3.転換させる場合の要件および基準は下記の通りとする。
① 正社員同様の勤務期間・日数が可能な者
② 所属長の推薦があり、入社後の勤務態度、業務能力を考慮し、事業主との面接試験に合格した者
この記載例をそのまま就業規則に規定しても良いのですが、それぞれの会社の事情に合わせて変更することも可能です。
例えば、転換時期は必ずしも随時とする必要はなく、毎年4月1日とか毎月1日というような規定でも問題ありません。
また、記載例では「事業主との面接試験」とありますが、必ずしも面接試験にする必要はなく、筆記試験でも、筆記試験と面接試験の併用でも問題ありません。
キャリアアップ助成金 正社員化コースの申請手順
さて、これまでキャリアップ助成金 正社員化コースの概要を理解していただくためのポイントをいくつかお話してきましたが、ここではそれを基に助成金を利用する流れを実際の日付を入れてご説明したいと思います。
まず、助成金を利用するには、正社員以外の従業員を雇用している必要があります。
仮に令和1年6月1日に有期雇用労働者であるパートタイマー労働者を雇用したとします。
この労働者が正社員になることにより助成金を活用するには、6ヶ月以上の雇用が必要ですので、正社員へ転換できるのは、令和1年12月1日以降となります。
そして、令和1年12月1日までにキャリアアップ計画書と就業規則に転換制度を導入する必要があります。
また、正社員へ転換する際に、給料を5%以上アップする必要があります。
なお、この助成金は、正社員へ転換してすぐ申請できるわけではなく、正社員へ転換後6ヶ月雇用して、6ヶ月目分の給与を支給した後に初めて申請することができます。
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これはNG!
キャリアアップ助成金 正社員化コースを利用する際に1つ注意すべき点があります。
この助成金は、正社員以外の労働者を正社員へ転換させた場合に利用ができますが、雇用時から正社員への転換を約束して正社員以外の労働者として雇用するのは助成金の支給対象外となります。
ところで、正社員以外の労働者を正社員へ転換する場合に、特別行政官庁への届出は必要ありません。
この助成金では、転換の事実の確認は、雇用契約書等のみで行われます。
ですから、本来は最初から正社員として雇用するつもりであっても、初めに、正社員以外の労働者としての雇用契約書を作成し、途中で、正社員に転換した雇用契約書を作成すれば、形の上では、助成金の条件を満たしたこととなります。
しかし、これは明らかに不正受給となります。
昨今、助成金の不正が多発しているため、罰則や事業所調査が厳しくなっています。
役所の調査員が、突然、事業所を訪問して、対象労働者に聞き取り調査が行われることもあります。
不正が発覚すると、助成金の返還だけでなく、事業所名の公表や最悪、詐欺罪で刑事告発される可能性もあり、企業としての社会的ダメージは計り知れません。
ですから、助成金の趣旨を正しく理解して、正しく活用するようご注意下さい。
キャリアアップ助成金 正社員化コース意外な盲点
キャリアアップ助成金 正社員化コースに限ったことではありませんが、助成金には様々な支給条件が規定されています。
助成金を受給するには、全ての条件を満たす必要がありますが、支給条件の中には意外と意識されずに、申請後審査段階で初めて条件を満たしていないことに気が付いて、その結果、不支給となってしまう場合もあります。
ここでは、キャリアアップ助成金 正社員化コースの支給条件の中で、盲点と思える条件についてご紹介していきたいと思います。
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対象とならない労働者等
キャリアアップ助成金 正社員化コースでは、そもそも対象とならない労働者等をいくつか定めています。
従って、以下に該当する労働者等を正社員等へ転換しても、本助成金の対象とはならないので注意が必要です。
ここでは代表的なものをご紹介いたします。
● 正社員等へ転換した事業所の事業主又は取締役の3親等内の親族
● 正社員等への転換日より過去3年以内に、転換が行われた事業所又は経済的、資本的等から判断して密接な関係のある事業所において正規雇用されたことがある者又は取締役、監査役等の役員であった者
● 定年制が適用される場合、正社員等へ転換された日から定年年齢に達する日までの期間が1年以内の者
● 転換が行われた事業所又は経済的、資本的等にから判断して密接な関係のある事業所において定年を迎えた者
労働保険料の滞納
あまり知られていないのですが、助成金の原資は雇用保険料の一部が使われています。
一般の保険では、保険料を支払わなければ、保険が適用されることはありません。
助成金も同じような考えをするところがあり、労働保険料を支払っていない事業所は助成金を利用できないこととなっています。
しかし、助成金の場合には、滞納即利用不可という形を取っているわけではなく、多少の猶予期間を設けています。
規定では、支給申請の属する年度の前年度より前のいずれかの年度の労働保険料を滞納している場合とあります。
少し分かり難いので、具体的な数字を挙げてご説明したいと思います。
なお、労働保険料の年度は、4月1日より翌年の3月31日までとなります。
例えば、支給申請が令和1年8月にされた場合、前年度は平成30年度(平成30年4月1日より平成31年度3月31日)となりますので、その前の年度となると、平成29年度(平成29年4月1日より平成30年3月31日)となります。
つまり、平成29年度以前の労働保険料に未納がある場合には、助成金を利用することはできないこととなります。
なお、労働保険料が一定期間滞納の場合、延滞金が発生しますので、助成金を利用するには、労働保険料だけでなく延滞金の支払いも必要となります。
また、労働保険料の滞納は、他の助成金においても支給条件となっていますのでご注意下さい。
転換日について
キャリアアップ助成金 正社員化コースにおいて注意すべき点の1つに転換日があります。
助成金自体の支給条件では、正社員へ転換できるのは、有期雇用労働者等で6ヶ月以上雇用した後となっています。
ですから、助成金だけの条件から見れば、有期雇用労働者として雇用し、6ヶ月以上経過したらいつでも正社員へ転換できることとなります。
しかし、ここで注意しなければならないのは、就業規則へ規定した転換日との整合性です。
つまり、就業規則に、転換日として特定の日時が規定されている場合には、その日以外で転換してしまうと、就業規則の規定と整合性が取れなくなってしまい、結果的に助成金も不支給となってしまいます。
例えば、就業規則に転換日を規定する場合、賃金締切日の翌日とする場合が多いです。
しかし、有期雇用労働者を雇用する場合、必ずしも賃金締切日の翌日からとは限りません。
例えば、賃金締切日が毎月月末の会社で、平成31年10月20日から6ヶ月間の雇用期間で労働者を雇用し、契約期間満了時に正社員へ転換しようとした場合、転換日が、令和1年4月20日となり、転換日が就業規則に規定されている日時と異なってしまいます。
正社員へ転換するのは、必ずしも契約期間終了時とする必要はないのですが、この場合、契約期間満了時以前の賃金締切日(平成30年3月31日)では、雇用期間が6ヶ月未満となってしまいます。
ですから、6ヶ月以上の雇用という条件を満たすには、再度、例えば、6ヶ月間の有期での契約を更新し、令和1年5月1日に正社員へ転換するという手続きを取る必要があります。
もちろん、このような手続きを取れば、助成金の支給条件も満たし、就業規則との整合性も取れるのですが、実務上においては、就業規則へ記載された転換日が意識されず、契約期間終了日に正社員へ転換してしまい、助成金が不支給となってしまうケースがあります。
ですから、本助成金を利用する場合、有期雇用労働者等での6ヶ月以上の雇用を満たすと共に、必ず就業規則に規定された転換日に転換することにご注意下さい。
なお、このような事を防ぐには、就業規則の規定の転換日を、可能な限り「随時」とすることをお勧めします。
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まとめ 行政官庁、専門家への相談
さて、これまでキャリアアップ助成金 正社員化コースについての概要についてご説明してきましたが、全体的なイメージを掴んでいただけたでしょうか?
先程もご説明しましたが、当助成金は、非常に制度が複雑です。
もし、経営者の方が、申請を全て1人で行おうとすると、先程ご紹介したパンフレットを全て正確に理解しなければなりませんが、それは、決して得策ではありません。
これは私の個人的な見解でもありますが、助成金を上手に活用するには、経営者の方が助成金についての概要を理解した上で行政官庁や専門家に相談するのが1番良いのではないかと考えています。
というのは、これは私も経験があるのですが、ある程度助成金の概要を理解した上で相談していただけると、相談の内容が具体的になり、もし、助成金を利用できる場合でしたら、確実に利用できる可能性が高まります。
ですから、今後、キャリアアップ助成金 正社員化コースにご関心がおありでしたら、是非、本ブログで助成金の概要を理解して、もし、ご自分の会社でも利用の可能性があるようでしたら、是非、行政官庁や専門家にご相談してみてください。
なお、当事務所でも助成金の無料相談を行っておりますので、お気軽にご利用下さい。
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実は、相談された方で、実際に助成金受給に繋がるケースは、意外と多いです。
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