年間休日の日数の設定は・・・?

【質問】

 

当社では、今回、初めて従業員を雇用します。

 

ただ、当社は、年中無休で営業しています。

 

これまでは、休日という概念が無かったのですが、従業員に対しては一定の休日を与える必要があると思うのですが、どのような形で休日を与えれば良いのでしょうか?

 


【回答】

 

労働基準法では、休日は、1週間に1日又は4週間に4日与えれば良いのですが、法定労働時間との関係にも注意が必要です。

 

 

【解説】

 

休日について労働基準法では、最低でも7日間に1日の休日または4週間に4日の休日を与える事を求めています。

 

これだけ読むと「1週間に1日休みを与えれば法律違反にならないのか」と解釈できます。

 

しかし、労働基準法では別に労働時間について1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはいけないと定めています。

 

この2つの法律を同時にクリアさせる状態を考えてみると、1日の労働時間が約6時間40分以下ならば、1週間に1日の休日であっても、労働時間は、1日8時間以下、1週間40時間以下になります。

 

パートタイマーやアルバイト社員ならこれでも良いのでしょうが、正社員において1日の労働時間が6時間という事は、現代社会では考えられないでしょう。

 

ですから、正社員の場合、1週間に1日の休日といった契約で雇用する事は、通常は法律違反となってしまう事をまずご理解いただきたいと思います。

 

 

 

では、具体的にはどのようにすべきか、ですが、もし仮に1日の労働時間を8時間とした場合には、1週間のうち5日労働した時点で、週の労働時間は40時間となってしまいます。

 

従って、最も単純に法律をクリアする方法としては、完全週休2日制にすることです。

 

ちなみに、休日の曜日についてですが、休日は必ずしも日曜日や祝日にする必要はありません。

 

1週間のうち必要な日数を与えれば、それば何曜日でも良くまた土曜日、日曜日といった連続している必要もありません。

 

 

 

ところで、完全週休2日となるとすべての企業で実施できるわけではないのが実情と言えるでしょう。

 

そのような実情を考慮して変形労働時間制という制度が定められています。

 

この制度は、1年間の総労働時間を平均して1週間の労働時間を40時間以内に収めれば良い、というものです。

 

 

 

例えば、1日の労働時間8時間の会社で、年間休日数を105日とします。

 

この会社の1年間の総労働時間は、365日-105日(年間休日数)=260日×8時間=2,080時間となります。

 

年間の週の数を365日÷7日=52.14週とすると、2,080時間÷52.14週=39.89時間となり、1週間の労働時間が40時間を下回る事となります。

 

従って、1日の労働時間が8時間の会社で変形労働時間制を用いた場合、年間の休日日数を105日以上に設定すれば法律をクリアできる事となります。

 

 

 

ここで、注目すべき点は、この105日は、1週間に1日の休日さえ確保されていれば、後はどのように設定しても良いのです。

 

普段なかなか休日が取れない場合でも、年末年始、お盆等ある程度まとまった休日の日数を設定できれば、週休で2日確保できない週があっても、1年間を平均すれば週の労働時間を40時間以下にすることができます。

 

ちなみに、1日の労働時間を7時間20分にすると、必要な年間の休日日数は、85日以上となります。

 

 

 

では、1日の労働時間をもっと少なくすれば、年間休日日数は減るか?

 

と言いますと、そうではなく、詳しい説明は割愛しますが、法律で変形労働時間制を用いた場合、1年間の労働日数の上限が280日と定められているため、最低でも年間85日(閏年は86日)以上の休日が必要となります。

 

 

 

また、法律では1ヶ月を単位にした変形労働時間制も定められています。

 

ただ、この変形労働時間制には様々な制約や条件も付帯されていますので、必ずしも使い勝手が良いとは言えないところもありますが、休日と労働時間については、厳格に法律で定められていますので経営において非常に重要な問題となってきますので、このような制度を活用して法令遵守することは大切なことかと思います。

 

是非、今後のご参考にしていただければと思います。

 

 

【まとめ】

 

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労働基準法では、7日間に1日または4週間に4日の休日を与えることが求められていますが、同時に1日8時間・1週間40時間を超える労働は認められていません。

 

このため、1日の労働時間が約6時間40分以下でない限り、週1日の休日のみでは法律違反となる可能性があります。

 

特に正社員の場合、現実的には完全週休2日制が労働時間の上限を守る最も単純な方法です。

 

 

 

ただし、すべての企業が完全週休2日を導入できるわけではないため、「変形労働時間制」という制度が利用できます。

 

これは、一定期間の総労働時間を平均して1週間の労働時間を40時間以内に収める制度です。

 

この制度を活用する際には、条件や制約を十分に理解し、法令遵守を徹底することが重要です。