休憩時間は、60分でなく45分でも大丈夫ですか・・・?
【質問】
当社では、1日の勤務時間が、8時間で、休憩時間を1時間としています。
先日、同業者の方から、勤務時間が8時間の場合、休憩時間は、45分でも大丈夫、ということを聞いたのですが、本当でしょうか?
もし、45分間で良いのなら、15分でも従業員は、早く帰ることができるので、社内規定を変更したいと思います。
【回答】
確かに労働基準法上では、1日の労働時間が8時間超えない場合には、休憩時間は45分間与えれば、足りるとされています。
しかし、時間外労働を考慮すると、休憩時間は1時間の方が、労働時間の時間管理は、楽となります。
【解説】
労働基準法では、1日の労働時間が、6時間以下の場合には、休憩時間を与える必要が無く、6時間超え8時間以下の場合、最低45分間、8時間を超える場合には、最低1時間の休憩時間与える必要があります。
ですから、ご質問のように、1日の労働時間が8時間であれば、45分間で足りることとなります。
しかし、ここで2つの点に注意する必要があります。
まず、労働時間ですが、これは、あくまで雇用契約上の労働時間でなく、実際に働いた労働時間を基にします。
ですから、たとえ、雇用契約上、1日の労働時間が8時間であっても、極端な話、1分間でも時間外労働をさせた場合には、1時間の休憩時間を与える必要があります。
そして、もう1つの注意点ですが、休憩時間は、労働時間中に与える必要があります。
つまり、労働を終了してから、休憩を与えるということは法律上認められないのです。
となると、ご質問のように、休憩時間を45分間に変更すると、休憩時間の管理に不都合が出て来る場合があります。
1日の労働時間が8時間で、時間外労働が、100%無いのであれば、休憩時間を45分間としても良いのかもしれませんが、もし、時間外労働が、必要となった時に、休憩時間をさらに15分間与える必要が出てきます。
また、先程、言いましたように、休憩時間は、労働時間中に与える必要があるため、例えば、30分間の時間外労働をさせる場合、30分間の時間外労働時間中の何処かで休憩時間を与える必要が出てきます。
このような場合、従業員にとっては、時間外労働を終えて早く帰宅したいのに、15分間余計に会社に残らなければならない、という印象を与えてしまいます。
その結果、労働基準法に定められた休憩を取らない、という状況がまん延してしまう可能性もあります。
ところで、労働基準法で定められている、休憩時間と労働時間との関係は、1日の労働時間が8時間を超える場合には、最低1時間の休憩を与えれば良いとされているだけです。
つまり、1日の労働時間が、何時間に及んでも1時間の休憩時間を与えてさえいれば、法律の基準を満たしていることとなります。
たとえ、1日の労働時間が、8時間であっても、最初から休憩時間を1時間と定めておけば、時間外労働が何時間に及んでも休憩についての時間管理は、必要なくなることとなります。
ですから、休憩時間に関しては、最初から1時間と規定する方が、労務管理上において管理がしやすいと言えます。
なお、休憩時間は、必ずしもまとまった時間でなくても、分割して与えても問題ありません。
例えば、1時間の休憩を午前10時から5分、昼食休憩を45分、午後3時から10分という形で与えても、法律上全く問題ありません。
ところで、休憩時間についての相談でよく聞かれるのが、「手待ち時間は、休憩時間とみなしてはいけないのですか?」といったご質問です。
手待ち時間とは、例えば、運送業で、荷物の積み下ろしが終わるまで、駐車場で待機している時間や、昼休み交替で電話番をしている時間等を言います。
確かに、駐車場で待機している間は、労働しているわけではありませんし、電話当番も電話がかかってこなければ、結果的には休憩していることと同じと考えられなくもありません。
しかし、労働基準法では、休憩時間を労働者の権利として労働から離れ、自由に利用できることが保障されている時間です。
ですから、いくら駐車場で待機をしていて実際に働いていなくても、労働者は、その場を離れることはできません。
電話当番も同じです。
つまり、手待ち時間は、実際には労働していていなくても、労働基準法上は、労働時間とみなされますのでご注意下さい。
【まとめ】
労働基準法では、1日の労働時間が6時間以下の場合、休憩時間を与える必要はありませんが、6時間を超え8時間以下では45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与える必要があります。
休憩時間は、実際に働いた時間を基に計算されるため、たとえ契約上の労働時間が8時間でも、1分でも時間外労働があれば1時間の休憩が必要です。
また、休憩は労働時間内に与えなければならず、勤務終了後に取らせることは認められていません。
そのため、休憩時間を45分に設定すると、時間外労働が発生した際に追加の休憩を労働時間内に設ける必要があり、労務管理が複雑になる可能性がありますので、最初から1時間の休憩を設定すれば、時間外労働が発生しても労働時間の管理が楽となります。
なお、休憩時間は分割して与えることも可能です。
一方で、手待ち時間(例: 運送業の待機や電話番)は、労働者が自由に利用できないため、休憩時間として認められず、労働時間とみなされます。
休憩は労働者が労働から完全に離れ、自由に使える時間である必要があることに注意が必要です。