労働トラブルを防ぐポイント⑥ ~定額残業代制度~

【説明】

 

定額で残業代支払う場合には、就業規則等でその旨を明記する必要があります。また、定額残業代制度であっても、実際の残業代と間に不足が生じた場合には、その支払いが必要です。

 


【ここがポイント!】


定額残業代制度についてお話ししたいと思います。定額残業代制度とは、法律で定められている制度ではありませんが、営業職等において、営業手当等を残業代とみなし、残業代を定額で支払う制度として多くの会社で利用されています。


ところで、実は、この定額残業制度ですが、残業代を定額で支払うこと自体は、違法とはされていないのですが、いくつかの守るべきポイントあります。


逆に言えば、そのポイントが守られていないと、法律違反になってしまうので注意が必要となります。

 

 

まず、手当等で残業代を定額で支払う場合、就業規則等でその手当が、残業代として支払われる旨を明記する必要があります。


もし、明記されていないと、その手当は、単なる手当に過ぎなくなってしまうのです。


つまり、どんなに「うちでは、営業手当を残業代と支払っている」と主張しても、就業規則等にその旨が、明記されていなければ、通常の手当となってしまい、結果的に残業代は、1円も支払われていないこととなってしまいます。


ですから、定額残業制度を利用する場合には、必ず就業規則等にその旨を明記して下さい。

 

 

定額残業代制度のもう1つ重要なポイントは、実際の残業代と間に不足が生じた場合には、その不足額を支払う必要があります。


つまり、仮に定額残業代として毎月5万円支給していたとして、ある月、実際の残業時間により計算した残業代が、5万円を超えていた場合には、その差額を支払う必要があります。


つまり、たとえ定額残業制度を利用していても毎月、正しく労働時間の管理を行う不足額が生じた場合には、その差額を支払う必要があるのです。

 

 

ただし、逆に、実際の残業代が予め決められた額以内、極端な例で言えば、残業代が、ゼロであっても、予め決められた額は支払わなければなりません。


定額残業制度は、今回、お話しした就業規則等への明記と、不足額の支払いを支払うことによって、初めて合法となります。


ですから、誤った運用をすると、結果的に、多額の残業代不払いとなってしまう可能性がありますので、制度を導入する際にはご注意下さい。

 

 

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