「労働トラブルの防止」の取組みは労働者に安心感を与える

「労働トラブルを防止」と言うと、何となくネガティブなイメージを持たれる方が多いと思います。

 

もちろん「労働トラブル」は事業主の方にとってはリスクなのでその対策は重要です。

 

 

 

しかし、「労働トラブル防止」には、別の意味での重要性があります。

 

今回は、「労働トラブル防止」を異なった角度から考えてみたいと思います。

 

 

権利の明確化は、安心感を与える

 

 

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労働トラブルを防止するためには、雇用契約書や就業規則等書類の完備等が大きなポイントとなります。

 

もちろん、それらを完備する事は、労働トラブル自体を防ぐ重要な要因なのですが、私はそれとは違う次元の重要性を多くのクライアント様にお伝えしています。

 

 

 

それはどういう事かと言いますと、従業員が入社する際に、しっかりとした雇用契約書、就業規則等が完備していれば、当然、従業員は、その会社をしっかりとした労務管理がされている会社と思うでしょう。

 

従業員にとって会社内のルールや決まり事が書面等で明確になっていれば、労働者としての義務に対して意識する反面、権利が守られるという安心感を持つことができるのです。

 

 

 

従業員にとって安心して労働ができる、という事は非常に重要な事です。

 

 

例えば、

 

休日は、いつ取れるのか?

 

賞与や退職金は有るのか?無いのか?

 

慶弔休暇や休職制度はどうなっているのか?

 

 

このような事が書面等で明確に定められていれば、従業員は安心して労働を提供する事ができます。

 

 

 

私が以前勤めていた会社の上司がこのような事を言っていました。

 

「従業員には、従業員が持っている権利については、権利を行使できるかどうかは別として、しっかりとその権利を伝える必要がある。」

 

私は、今でもこの言葉を忘れないのですが、非常に的を得た言葉だと思います。

 

 

私達は、「不明確なもの」について不安や不信感を覚えます。

 

それは、どんな状況でも同じです。

 

ですから、「労務管理体制を整える」ということは、それだけ義務と権利を明確にする事です。それだけ、従業員に対して安心を与える事でもあるのです。

 

 

 

もちろん、従業員に対して権利を教えてしまう事に対して不安を覚える事業主の方もいるかと思います。

 

しかし、労働基準法で定められた労働者の権利は、労働者に与えられた固有のものですので、使用者でどうする事もできないが現実です。

 

 

労働トラブル防止にはポジティブな面もある!

 

 

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これは、以前からお話している「法令遵守」の問題となってきます。

 

例えば、有給休暇や時間外手当等個々の権利についての対応については、また改めてお話したいと思いますが、ここでお伝えしたい事は、大きな観点からみて、労務管理が整備されている企業に対しては、「従業員は安心感を抱く」という事なんです。

 

 

 

従業員が安心して働けると言う事は、企業にとって非常に大きなプラスとなります。

 

つまり、労働トラブル防止というとネガティブなイメージで捉えられてしまいますが、必ずしもネガティブな面だけでなく、ポジティブな要素も十分持ち合わせていると言うことを、是非お伝えしたいと思います。

 

 

まとめ

 

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労働トラブルを防ぐためには、雇用契約書や就業規則などの書類を整備することが重要です。

 

これにより、従業員は会社が適切な労務管理を行っていると認識し、安心して働くことができます。

 

労働条件が明確に定められていれば、義務を意識すると同時に、自身の権利が守られているという安心感を持てるからです。

 

 

 

一方で、従業員に権利を伝えることに不安を感じる経営者もいるかもしれません。

 

しかし、労働基準法で定められた権利は労働者に固有のものであり、使用者が自由に変更できるものではありません。

 

労務管理の整備は、単に労働トラブルを防ぐだけでなく、従業員が安心して働ける環境を作り、企業にとってもプラスとなります。

 

そのため、労働トラブル防止はネガティブな側面だけでなく、企業の発展にもつながるポジティブな要素を持っていることを理解することが大切です。