労働基準法に違反すると罰則があるのでしょうか・・・?

労働基準法違反という言葉をよく耳にするのですが、実際に労働基準法に違反した場合には、
「どのようなこととなるのでしょうか?」
「罰金等の罰則を課せられることもあるのでしょうか?」
といったご質問を受けます。
今回は、労働基準法の罰則についてお話していきます。
労働基準法の罰則には、懲役刑まであります
従業員を雇用すると、事業主は、労働基準法を遵守する責任が生じます。
これは、労働基準法に限ったことではないのですが、日本には数え切れない法律があります。
当然、その全てに精通している人はごく少数です。
しかし、私達は、法律の存在を知らなくても、法律の制限を受けますし、もし、法律を犯せば、罰則を受けることもあります。
ところで、従業員を雇用することに免許を取得する必要はありません。
労働基準法等の講習を受ける必要もありません。
つまり、労働基準法等の労務管理に関する法律知識を全く知らなくても、事業主(法律用語では、使用者と言います)になることができます。
アルバイト従業員を1人雇った時点で、法的には立派な使用者です。
しかし、その時点から、労働基準法を始め、様々な法律の制限を受けることとなるのです。
少し余談ですが、もし、初めて従業員を雇用する前に、労働基準法等に関する講習を受けることが義務化されれば、「ブラック企業」と呼ばれる企業は、もっと減少するのではないかと思います。
さて、冒頭にも書きましたが、「労働基準法違反」という言葉をよく聞きます。
では、労働基準法に違反したらどうのようになるのでしょうか?
実は、あまり知られていないのですが、労働基準法には、各規定に違反した場合の、罰則規定が定められています。
その罰則も、罰金から懲役刑まで定められています。
ちなみに、労働基準法で最も重い罰則は、労働基準法第5条の強制労働に禁止に違反した場合には、1年以上10年未満の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金とされています。
ところで、労働基準法の場合、道路交通法とは違って、違反、即罰則とは、通常はなりません。
例えば、スピード違反をした場合、違反の事実を消すことはできませんが、労働基準法の場合には、溯って、違反の事実を修正することができます。
例えば、時間外割増賃金の未払いがなった場合には、未払い自体は、違法行為ですが、溯って、未払い分を支払うことで、罰則の規定が適用されなくなります。
いわゆる是正勧告です。
また、36協定の未提出や帳票類の整備等、違反行為ではありますが、いきなり罰則を適用するのではなく、改善を促す指導が行われるのが通常です。
割増賃金不払は非常にリスクが大きいのです
しかし、是正や指導の勧告に従わなければ、当然に、罰則の規定を受けることとなります。(正式は、労働基準監督署が検察に送検をして、罪が決まることとなります。)
ところで、時間外割増賃金の不払いは、明らかな労働基準法違反となります。
もし、従業員が、労働基準監督署に割増賃金の不払いを申告すれば、労働基準監督署は必ず調査します。
割増賃金不払いは、賃金台帳や出勤簿等を調査すれば、容易に発見することができます。
となれは、今回、お話ししたように、労働基準監督署は、是正勧告を行います。
そして、もし、従わなければ、送検することとなります。
つまり、割増賃金の不払いは、事業主の自身は、「会社のために」と思っているかもしれませんが、実は、会社にとって、非常にリスクが高いことなのです。
ちなみに、割増賃金の不払いの罰則は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。
労働基準法の罰則規定は、想像以上に重いものなんです。
是非、今後のご参考になさって下さい。
まとめ
労働基準法に違反するとどうなるのか、という疑問を持たれる方が多くいらっしゃいます。
実際、労働基準法には違反に対する罰則が定められており、場合によっては懲役刑が科されることもあります。
従業員を一人でも雇えば、その時点から労働基準法などの法律に従う義務が生じます。
違反があっても、すぐに罰則が科されるわけではなく、まずは労働基準監督署による是正勧告や指導が行われます。
是正勧告に従わなければ送検され、正式に罰則が科される可能性があります。
とくに割増賃金の不払いは発覚しやすく、労働基準監督署も必ず調査を行います。
これにより、事業主は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されることがあります。
このように、労働基準法の罰則は思っている以上に重いため、事業主としてはその重要性を理解し、法令を遵守することが大切です。