就業規則と労働基準法⑨ ~深夜割増賃金について~

就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。

 

主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。

 

これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。

 

そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。

 

ここでは、労働基準法における深夜割増賃金の考え方についてわかりやすく解説してあります。

深夜割増賃金は、通常の勤務時間でも必要な場合があります

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深夜割増賃金については、誤って理解されている方が多いようです。

 

まず、深夜の定義ですが、労働基準法で深夜とは、午後10時から午前5時を言います。

 

この時間帯に、従業員を働かせた場合には、2割5分増以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

 

多くの方が、誤解してしまう理由ですが、深夜労働は、時間外労働と共に行われる場合と、そうで無い場合があるためです。

 

わかりやすく、時給1,000円の場合で説明してみたいと思います。

 

 

ご存知のように法定労働時間を超えて労働させた場合には、2割5分増以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

従って、時給1,000円の従業員が、時間外労働が深夜に及んだ場合には、時間外労働の割増分と深夜労働の割増分の合計で5割増以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

つまり、1,000円×1.5=1,500円となります。

 

ですから、多くの方が、深夜割増は、「5割増」と勘違いされています。

 

 

しかし、深夜労働は、必ずしも時間外労働とセットで行われるとは限りません。

 

例えば、工場の交替制や飲食店等では、そもそもの労働の時間が、深夜の時間帯ということがあります。

 

深夜割増賃金とは、深夜に労働したという事実に対して支払われるものですから、極端な例で言えば、午後10時から午後11時まで1時間しか働かない場合でも、深夜割増賃金が必要となってきます。

 

時給1,000円の場合では、1,250円の賃金が必要となってきます。

 

 

通常は、深夜労働は、時間外労働と共に行われる場合が多いので、深夜の割増率を時間外労働と深夜割増との合計と思ってしまいますが、深夜労働は、必ずしも時間外労働と共に行われるわけではなく、通常に勤務時間においても行われる場合があるので、その旨を、正しく理解し、就業規則に定める必要があります。

 

 

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