就業規則は、使用者を守る唯一のものです

就業規則は、労働トラブルを防止し、秩序ある職場環境を維持するためには欠かすことができないものです。
今回は、就業規則の重要性について少し違った角度からお話したいと思います。
就業規則は、使用者自身の手で作ることができます
就業規則は、正しい労務管理を行う上で欠かすことができない、重要なものですので、1人多くの事業主の方にその重要性をご理解していただければと思います。
まず、就業規則について、まずお伝えしたいのが、就業規則は、「使用者を守る唯一のもの」であるということです。
この世の中には、労働者を守る法律は、数多くあります。
真っ先に挙げられるのが、労働基準法です。
それ以外にも、最低賃金法、労働者災害補償保険法(いわゆる労災保険法です)、男女雇用機会均等法、雇用保険法等本当に数多くあります。
最近では、労働契約法という法律も制定されました。
それでは、使用者つまり事業主、会社を守る法律は?と聞かれれば・・・。
残念ながら、使用者を保護する目的で制定されている法律は、存在しないのです。
つまり、使用者というものは、全く法律で保護されていない状態で、かたや法律で手厚く保護されている労働者と対峙しているわけです。
それだけ使用者が、労働者に対して優位な立場にいるからなのですが、あまりに不条理な面もあるような気がします。
しかし、法律では無いのですが、使用者を保護するものが、1つだけあるのです。
それが、「就業規則」なのです。
就業規則は、労働者を保護するものでは?と思われる方もいるかと思います。
確かに、就業規則には、有給休暇や割増賃金等労働者の権利を記載します。
しかし、会社内で守るべきるルール(服務規程)や懲戒規定も記載するのです。
労働者が、何か問題を起こした時に、その解決の根拠となるのが、服務規程や懲戒規定になるのです。
また、服務規程や懲戒規定などがあるから労働者に対して抑止力が働くとも言えます。
つまり、就業規則は、労働者の権利を明確にする面もありますが、それ以上に使用者を保護する意味合いの方が強いのです。
このように使用者にとって就業規則とは、使用者自身を守る唯一の法律なのです。
ところで、先程労働者を保護する法律は、多々あると書きました。
しかし、それらの法律は、労働者自身がつくることは出来ないですよね。(法律を作るのは、国会議員です。)
しかし、就業規則は誰が作成するでしょうか?
そうなんです。
就業規則は、使用者自身の手で作ることができるんです。
これは、使用者にとって唯一の、そして非常に大きな優位な点なのです。
この点は、是非覚えておいて欲しいのです。
私は、よくセミナーでこんな例え話をします。
使用者が、使用者自身を守る就業規則を作成しないということは、戦場で武器や弾薬が使用者自身の近くにあり、それを使用することを許されているにも関わらず、それらを使わずに素手で戦場に飛び込んでいくようなものなんです。
それ位使用者にとって就業規則は、重要なものなんです。
就業規則は、「就業規則が、使用者を守る唯一のもの」であるということをご理解いただければと思います。
まとめ
就業規則は、職場の秩序を保ち、労働トラブルを防ぐために欠かせない重要なものです。
多くの法律が労働者を保護する一方で、使用者を守る法律は、ありません。
そんな中、使用者を守る唯一の手段が就業規則です。
服務規程や懲戒規定を定めることで、労働者への抑止力となり、トラブル時の対応の根拠にもなります。
しかも、この就業規則は使用者自身が作成できるという大きな利点があります。だからこそ、就業規則は経営者にとって必須なのです。