退職金制度と中退共との関係について 

退職金制度は、企業にとっては、重要な事項の1つと言えます。

 

今回は、少し別の角度から退職金制度を考えてみたいと思います。

 

 

 

退職金制度を導入する場合、重要となってくるのがその積立方法です。

 

今回は、退職金の積立で最も広くりようされている、中退共(中小企業退職金共済制度)についてお話ししてみたいと思います。

 

 

中退共は、利用した方が良い?利用しない方が良い?

 

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「先生、先生のブログを読んで、退職金は、いろいろと事前に考える必要があることがわかりました。それで、とりあえず、ある程度の規程を作り、準備金をどうしようか考えています。

 

以前、ある方から、『中退共は、懲戒解雇でも本人のところに直接退職金が支払われてしまうので、絶対に良くない』と言われました。でも、中退共は、多くの会社で利用しているみたいだし、そんない良くない制度なら、どの企業も利用しないのではないかと思うのですが、どうなんでしょう?」

 

 

 

このようなご相談でした。

 

多くの企業が、退職金目的のために中退共を利用しています。

 

中退共は、中小企業の退職金制度のために作られ、正式には、中小企業退職金共済と言います。

 

 

 

ところで、多くの方が、中退共は、国の制度である思われているようですが、中退共は、共済制度ですの、国自体が運営しているわけではありません。

 

制度の実際の運営は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が行っています。

 

ただし、国が掛金の一部を助成金していて、それをHPやパンフレットに記載されている等の理由で、中退共は、「国の制度だから絶対に安心」と思われるている方が多いと思います。

 

しかし、万一、中退共が、破綻すれば、何らかの国が何らかの措置を取る可能性は、あるでしょうが、「国の制度だから絶対に破綻しない」と考えるのは、本来は、間違いと言えるかと思います。

 

 

 

ところで、ご相談の「中退共は、懲戒解雇でも退職金が、直接本人のところに支払われてしまうから良くない」についてですが、実は、これは、よく聞く文言です。

 

確かに、中退共の場合、懲戒解雇でも退職金が、直接本人のところに支払われてしまいます。

 

これは、中退共の大きなデメリットかと言えます。

 

実際に、この理由で中退共を脱退する企業も多くいることは否定できないと思います。

 

 

 

しかし、私は、「中退共は、懲戒解雇でも退職金が、直接本人のところに支払われてしまうから良くない」というような考え方をることは決して良くないと思います。

 

ですから、今回のご相談に対しても「確かに、中退共には、そのような面がありますが、でも、一概に中退共が良くない、
と考えるのは間違いですよ。」とお答えしました。

 

 

 

中小企業の退職金制度と言えば、必ず「中退共」が、絡んできます。

 

そして、「中退共」と言えば、必ず、「懲戒解雇の場合の、直接本人払い」の問題が出てきます。

 

では、この問題について、どのように考えるべきなのでしょうか?

 

 

中退共にも多くのメリットがあります

 

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「先生、中退共は、懲戒解雇した労働者に直接退職金が支払われるんですよね?それって、経営者にとっては、大きなデメリットですよね。それなのに、どうして、中退共は良くない、と考えては駄目なんですか?」

 

「確かに、その点は中退共の大きなマイナスポイントと言えます。しかし、マイナスがあればプラスもあるんですよ。」

 

「プラスですか・・・?」

 

 

 

『はい、「中退共は、懲戒解雇した労働者に直接退職金が支払われるから良くない」という考え方は、中退共のマイナスの面ばかりを強調して、特定の原資に誘導しているように思われるんです。」

 

「確かに、マイナスの面だけ考えるのはおかしいですね。」

 

「そうなんです。どのような退職金の原資を準備する手段を用いてもプラスとマイナスの面があります。例えば、中退共のプラス面は、掛金を全額、損金出処理することができます。中退共は保険ではないので、確かに現在は、利率が低いですが、元本は、保証されてます。さらに、国による掛金助成も大きなプラスと言えます。」

 

「なるほど、中退共にもプラス面がいくつもあるんですね。」

 

 

 

「はい、逆に懲戒解雇の問題もそうですが、中退共の場合、積立金を会社は、たとえ資金繰りが苦しくてもどうすることもできません。保険商品なら、いつでも解約できるし、貸付金制度もあります。」

 

「なるほど。積立金を自由に使えるかどうかなんか考えたこともありませんでした。」

 

 

退職金の原資の選択は客観的な視点で検討することが重要です

 

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「退職金の手段としては、中退共や保険商品、銀行積立などがあります。どの制度にも、一長一短があります。大切なことは、どの長所に重点を置くのか、あるいはどの短所に重点を置くかです。そこの部分は、経営者によっても考え方が違うし、会社の事情によっても違うと思うんす。」

 

「なるほど。退職金の原資を何にするのかは、それぞれのメリット・デメリットをよく理解した上で考えるべきなんですね。」

 

 

 

「そうなんですよ。それぞれのメリット・デメリットを客観的に判断し、その上で、『やっぱり、懲戒解雇の問題は、どうしても嫌だ』と思われるなら、それはそれで良いと思いますよ。』

 

「わかりました。となると、退職金の原資の相談は、客観的にアドバイスしてくれる人に相談することが重要なのかもしれませんね。先生、どうもありがとうございました。」

 

 

 

退職金制度を導入すると、原資の準備方法は重要なポイントとなります。

 

しかし、どの準備方法も、長所があれば必ず短所もあります。

 

その点をしっかり検討しないと、後になって「こんなはずではなかった・・・」となってしまいまします。

 

 

 

私は、退職金制度を導入する際に最も重要なポイントは、

 

①原資の準備方法より先に退職金規程の作成

 

②原資の準備方法の客観的検討

 

 

であると考えています。

 

是非、今後のご参考にしていただければと思います。

 

 

まとめ

 

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退職金制度の導入において、最も重要なのは原資の準備方法です。

 

中小企業で広く利用されている「中小企業退職金共済制度(中退共)」には、掛金を全額損金算入でき、元本が保証され、国の助成があるというメリットがあります。

 

一方で、懲戒解雇の場合でも退職金が本人に直接支払われるなどのデメリットもあります。

 

 

 

退職金の原資には、中退共のほか、保険商品や銀行積立などの選択肢があり、それぞれ長所と短所があります。

 

そのため、まず退職金規程を作成し、そのうえで各制度のメリット・デメリットを客観的に検討することが重要です。

 

安易に判断せず、適切な相談先を選びながら慎重に決めることをおすすめします。