Q 退職者の有給休暇の取扱いについて教えて下さい

【質問】

 

先日退職した社員から有給休暇を全て取得できないで退職したので、取得できなかった分の有給休暇を買取って欲しいと連絡がありました。

 

その社員は、退職する際に有給休暇については、特別何も言っていなかったのですが、本当に買取らなければならないのでしょうか?

 

【回答】

 

在職中に取得できなかった有給休暇は、退職によって、その権利が消滅してしまうので、買取に応じる必要はありません。

 

【解説】

 

労働者が、自身の持っている有給休暇の権利を全て行使しないまま退職するケースがあります。

 

ところで、有給休暇の取得に関してあまり意識されることがないのですが、有給休暇を取得した日は、有給であるにも関わらず労働が免除された日であるわけですから、有給休暇の取得を希望する日は、労働日であることが前提となります。

 

ですから、例えば、月曜日、水曜日、金曜日が出勤日である労働者が、火曜日に有給休暇を取得することはできないこととなります。

 

 

となれば、既に退職している労働者にとって、退職した会社で今後労働することはあり得ません。

 

労働日が無い以上、有給休暇の権利を行使する余地は全く無いこととなります。

 

つまり、未消化の有給休暇があったとしても、一旦、退職すればその権利は消滅してしまうこととなります。

 

ですから、有給休暇の権利自体が無いわけですから、買取りの議論をする余地自体が全く無いと言えます。

 

 

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【ここがポイント】

 

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ところで、有給休暇の買取りは、その目的を阻害するため禁止されています。

 

有給休暇の買取りについてはこちら記事をお読み下さい。

 

>>Q 就業規則の有給休暇買取り規定は違法ですか?

 

この記事にもありますが、退職時には、有給休暇の買取りをしても差し支えないとされています。

 

 

例えば、現時点で未消化の有給休暇の日数が20日有り、退職日までの労働日が16日間の場合、全ての労働日に有給休暇を取得しても、4日未消化となります。

 

この4日間について、買取りができます。

 

 

しかし、退職時の有給休暇の買取りは、「買取りをしても差し支えない」とされているだけですので、必ず買取りに応じる必要はありません。

 

ですので、先程のケースで買取りに応じない結果、有給休暇が4日未消化のまま退職し、権利が消滅してしまっても、法的に問題はないこととなります。

 

 

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