Q 短時間正社員とはどのような社員なのでしょうか?

【質問】

 

先日、出産予定の正社員から、育児休業終了後職場に復帰したいが、その時には短時間正社員にして欲しい、という申し出がありました。

 

短時間正社員という言葉は初めて聞くのですが、短時間正社員とはどのような社員なのでしょうか?

 

また、短時間正社員のメリットやデメリットについて教えて下さい。

 

 

【回答】

 

「短時間正社員とは、正社員同様に業務に対する責任を持ち、時間当たりの基本給が正社員と同じで、賞与、退職金の算定方法が正社員と同様に行われ、1週間の所定労働時間が、正社員より短い社員のことを言います。

 

短時間正社員は、社員のモチベーションを向上させ、生産性を高めるメリットがありますが、運用を間違ってしまうと、社内での混乱が生じてしまう可能性があるので、社内における協力が必要となってきます。

 

 

【解説】

 

短時間正社員とは、近年注目されている新たな雇用形態の1つ言えます。

 

厚生労働省のHPで短時間正社員の定義を、フルタイムで働く正社員と比べて1週間の所定労働時間が短く、次のいずれにも該当する社員としています。

 

1.期間の定めのない労働契約(無期労働契約) を締結している

2.時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等

 

なお、HPではあえて記載されていませんが、時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が正社員と同等ということは、当然、業務に対する責任も正社員と同程度と考えられます。

 

 

短時間正社員が注目されている背景には、正社員と同等以上の意欲や能力があるにもかかわらず、出産・育児や介護等の理由で、フルタイムで働くことができない人材が増加していることがあります。

 

これまで、出産育児後に職場に復帰する場合に、フルタイムで働くことが出来ない場合には、パートタイマーやアルバイトとして勤務を続けるケースがほとんどでした。

 

パートタイマーやアルバイトとなれば、業務に対する責任も正社員と比べれば低くなり、それに伴い、基本給や賞与、退職金で正社員と差が生じてしまうこととなります。

 

そのため、社員のモチベーションが下がってしまい、労働力が流失してしまうリスクがありました。

 

 

しかし、短時間正社員であれば、業務に対する責任もこれまでと同程度であるため、基本給や賞与、退職金も算定方法も正社員と同じで行われるため、社員にとっては働く意欲が失われず、モチベーションを維持することができます。

 

それによって生産性も下がらないため、会社にもメリットがある制度と言えます。

 

 

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【ここがポイント】

 

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ただし、短時間正社員は運用を誤ってしまうと、大きなデメリットが生じてしまう可能性が考えられます。

 

個人的には、ここが短時間正社員おける課題と考えています。

 

正社員の場合、通常の業務を遂行するにあたり、時間外労働者や休日労働が必要となる場合があります。

 

 

しかし、短時間正社員の場合、元々、正社員と同じ時間労働すること自体が困難である、という前提がありますので、時間外労働や休日労働を行うことは到底無理と言えます。

 

となると、業務に対する責任を短時間正社員が正社員と同じだけ果たすことができるのか、疑問が生じてきます。

 

 

もし、ここで経営者が「いくら短時間でも正社員なんだから」という概念を持った場合に、それに対して短時間正社員が「短時間で働く約束をしたのだから」と考えたら、経営者と短時間正社員との間にギャップが生じてしまう可能性があります。

 

また、これは経営者と短時間正社員だけでなく、通常の正社員との間にも同じことが言えます。

 

このギャップを上手に無くすことができないと、短時間正社員制度は、職場に混乱を招く結果となりかねません。

 

つまり、短時間正社員制度は、経営者や通常の正社員等の社内での理解や協力があって初めて効果が出る制度と言えます。

 

しかし、短時間正社員制度を上手に活用できれば、企業として大きく発展できる可能性を含んだ制度とも言えます。

 

 

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