労務管理用語シリーズ④ テレワークと在宅勤務

今回のブログでは、テレワークと在宅勤務についてお話したいと思います。

このブログを書いているのは、令和3年4月で、新型コロナウイルスの感染が始まってちょうど1年程経過していて、まだまだ 感染拡大が大きな問題となっています。

新型コロナウイルス感染の影響で、多くの企業がテレワークを余儀なくされている状況です。

今度、新型コロナウイルスの感染が、どのようになっていくか、今の段階ではわかりませんが、テレワークは社会的価値観の変化によって、今後 労務管理において重要なポイントとなってくるかと思います。

ところで テレワークの話題をマスコミ等が報道する時に、必ずと言っていいほど「在宅勤務」という言葉も出てきます。

そのため経営者の中には、テレワークと在宅勤務の違いがよく分からなくて、少し混同されている方も多いかと思います。

今回のブログでは、テレワークと在宅勤務の違いについて分かりやすく解説していきたいと思います。

また、後半では、テレワーク 在宅勤務を行う時に、必ず経営者の方が知っておかなければいけない点についてもお話していきたいと思います。

テレワークは総称

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テレワークとは、英語の「tele」と「work」、2つの言葉が組み合わさって出来た言葉です。

「tele」は、「離れた場所」という意味を持っています。

そして、「work」は、普通に使われるworkで、「働く」という意味です。

つまり、テレワークとは、「離れた場所で働く」という意味になります。

では、どこから離れた場所なのか?

それは、会社です。

テレワークとは、「会社から離れた場所で働く」「会社ではない場所で働く」というような意味を持っています。

つまり、テレワークというのは、会社以外で働く形態の総称を言います。

それに対して、在宅勤務は、文字通り自宅で仕事をするという意味です。

在宅勤務は、テレワークの内の1つの種類となります。

つまり、テレワークというのは、会社以外で働く形態の総称であって、在宅勤務はテレワークの1つの種類、このような位置関係となります。

なお、テレワークには、他にサテライトオフィス勤務、モバイルワークがあります。

サテライトオフィス勤務は、自宅ではなくて、自宅近くの会議室や事務所を借りて、そこで働く形態を言い、モバイルワークは、移動中にタブレットを使って働いたり、あと顧客の所で同じように端末を使って働いたりする形態と言います。

ちなみに、今は想像がつかないのですが、もしかしたら、テレワークの種類として、今後 新たな働き方の形態が出てくるかもしれないです。

テレワークでも法律の適用に区別はありません

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先程も言いましたが、テレワークは、今後 労務管理において重要な位置付けになってくることが考えられます。

ここでは、テレワークを行う場合に必ず覚えておいていただきたい点がありますので、それについてお話したいと思います。

テレワークというのは、確かに新しい働き方で、特殊な働き方となります。

ですから、「テレワークには、何か特別な法律の決まりがある」このように思われる経営者の方も多いかと思います。

しかし 結論から言いますと、テレワークであったとしても、通常に会社に勤務する労働者と法律の適用に関しては、全く変わりありません。

例えば、労働基準法の中で労働者に適用される代表的な法律として、法定労働時間、休日、休憩時間、割増賃金等があります。

このような規定に関しては、仮にテレワークで業務をする場合であったとしても、通常の労働者と全く同じように法律の適用となります。

例えば、法定労働時間については、労働基準法で、原則として1日8時間、1週間40時間と規定されています。

ですから、たとえ テレワークであったとしても、1日の所定労働時間は、必ず法定労働時間内に収めなければいけないこととなり、もし 法定労働時間を超えて労働させる場合には、36協定(時間外 休日労働に関する協定届)を必ず労働基準監督署に提出する必要があります。

さらに、特にテレワークの場合に気を付けていただきたいのが、休憩時間と割増賃金です。

経営者の方からすると、自宅等の会社以外で仕事をするというのは、会社で仕事をする場合より制約が少ないため、「別に休憩時間を与える必要はないだろう」と思われるかもしれません。

しかし、たとえテレワークであったとしても、労働時間が6時間を超えた場合には最低でも45分間、労働時間が8時間を超えた場合には最低でも1時間の休憩時間を与えなければいけない、という労働基準法の規定は、当然適用されます。

また、法定労働時間を超えて労働させた場合には、一定率以上の割増賃金を支払う必要がありますが、これも先程と少し似ていますが、経営者の方からすると「やはり、自宅で仕事をしていると、生産性からみて、通常に会社に出社して働く場合より劣る」と思われがちなところがあり、「テレワークの場合には別に割増賃金はいらないだろう」というように思われる経営者の方も実際いますが、テレワークであったとしても、法定労働時間を超えて労働させた場合には、当然割増賃金の支払いが必要となります。

つまり、テレワークというのは新しい言葉ですが、働く場所が、ただ単に会社でないだけであって、労働基準法等の法律の適用に関しては、通常の労働者と全く同じとなります。

この点は、非常に重要なポイントとなりますので、是非、正しくご理解下さい。

テレワークでも労災保険は適用となります

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ここではテレワークと労災保険との関係についてお話したいと思います。

先程お話しましたように、テレワークであったとしても、通常の労働者と全く変わりがないわけですから、当然、テレワーク中であっても、当然、労災保険の適用となります。

ですから、自宅で業務をしている間に、例えば、台に乗って業務で使う通信器具の配線作業を行っている時に、誤って台から落ちてしまって、負傷すれば、負傷した場所が自宅だから、労災事故ではないように思われるかもしれませんけど、そのような場合でも、当然 業務中ですから、労災保険の給付対象となります。

まとめ

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今回お話ししたように、基本的に全ての法律がテレワークだからといって、通常の労働者と区別していることはありませんので、まずその点を正しく理解していただければと思います。

ただ、テレワーク自体は、新しい働き方で、これまでの働き方とは違うため、例えば、仕事を始めた時や終わった時の時間の管理の方法とか、業務で使う通信器具やその通信回線は、労働者個人のものを使うケースも考えられますので、その場合の費用負担をどうするか、あと業務報告の方法等、やはり、新しい働き方ですので、新しくルールを作る必要はありますので、その辺りもご注意いただければと思います。

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