Q 食事を取りながらの電話当番は労働時間ですか?

【質問】

 

当社では、事務職員を3名雇用しています。

 

昼休憩は1時間で、昼食は各自の机で食べてもらっているのですが、昼食を食べながら電話当番を交代で行ってもらっています。

 

昼食時に電話がかかってくることは稀で、食事もしっかり食べてもらうことが出来ていたので、特別問題視していなかったのですが、先日、ある社員の退社に伴い、新入社員を雇用したのですが、その社員が、「食事を取りながらの電話当番は労働時間となるので、これでは休憩時間が取れないので労働基準法違反となり、時間外割増賃金も支払って欲しい。」と言ってきました。

 

本当に食事を取りながらの電話当番は労働基準法違反となり、時間外割増賃金の支払いも必要となるのでしょうか?

 

 

【回答】

 

労働基準法で規定する休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることが保障されている時間であり、労働者が自由に利用できる時間と解されているので、食事を取りながらの電話当番は、労働から離れているとは言えないので、労働時間に該当すると言えます。

 

 

【解説】

 

回答にも書きましたが、休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることが保障されていて、自由に利用できる時間である必要があります。

 

従って、ご質問にあります、食事を取りながらの電話当番は、電話がかかってきたらいつでも取れるように準備している必要があります。

 

電話をいつでも取れる準備をしているということは、労働から完全に離れることが保障されている状況ではありません。

 

また、必ず自分の席に座っていなければならないわけですから、席を立つ自由もないこととなります。

 

従って、結果的には電話がかかってくることが稀であっても、電話当番は、明らかに労働時間となります。

 

 

そのため、今回のご質問のケースでは、昼休憩の全ての時間を電話当番する場合には、休憩時間が与えられていないこととなるため、6時間以上労働している場合には、労働基準法違反となります。

 

また、昼休憩の1時間が労働時間となったことにより、所定労働時間を超えれば、その時間に対する給料の支払いが必要になり、法定労働時間を超えるならば、当然、時間外割増賃金の支払いが必要となります。

 

従って、今回のご質問のケースのような場合には、3人同時に昼休憩を取るのではなく、電話当番とそうでない従業員と交代で昼休憩を取る必要があります。

 

 

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【ここがポイント】

 

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ところで、休憩時間は、自由利用できる時間である必要がありますが、完全な自由理由を認めてしまうと、業務に支障が出る場合があります。

 

例えば、たとえ、休憩時間であってもパチンコ店や遊技場等に出入りするのは、問題があると言えます。

 

また、休憩時間に緊急事態が発生した場合に、外出中の行先が不明の場合には、連絡が取れない恐れもあります。

 

従って、休憩時間中の外出を届出制にしたり、パチンコ店等の店舗等への出入りを禁止するなどの一定の制限を設けることは妥当性があると解されています。

 

 

しかし、ここで注意していただきたいのですが、一定の制限を設けるということは、あくまで自由利用が前提の上での制限であって、会社からの指示命令とは違います。

 

今回のご質問にある電話当番は、「電話がかかってきたら取らなければならない」という会社からの指示命令となるため、今お話しした休憩時間の自由利用の一定制限とは本質が異なりますのでご注意下さい。

 

 

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