振替休日と代休の給与について
【説明】
「代休」の場合には、割増賃金の支払いが必要となります。
【ここがポイント!】
日曜日が法定休日として、予め日曜日と労働日である月曜日を入替えるのが、「振替休日」となります。
それに対し「代休」は、日曜日に労働させたことの代償として、月曜日に休日を与える、というものです。
この場合、結果的には「振替休日」と「代休」のどちらも、日曜日に労働し月曜日が休日となっています。
しかし、賃金を計算するにあたり「振替休日」と「代休」とでは異なった計算をします。
「振替休日」の場合は、予め休日(日曜日)と労働日(月曜日)を入替えているので、月曜日が法定休日として取扱われ、割増賃金は発生しません。
しかし、「代休」の場合は、たとえ月曜日に休日を与えたとしても、法定休日である日曜日に労働させた事実はなくならないのです。
つまり、結果的には「振替休日」と同じなのですが、「代休」の場合は、休日割増賃金の支払いが必要となってきます。
振替休日を指定せず、法定休日に労動をさせ、その後「代休」を与えても、法定休日に労働させた事実は残ります。
例えば、1日の所定労働時間が8時間で、1日の賃金単価が、10,000円とします。
この場合、法定休日に8時間労働させた場合には、休日割増賃金として、10,000円×1.35=13,500円の支払いが必要となります。
そして、その日以後に「代休」を与えたとします。
ところで、代休は恩恵的なものですので必ずしも与える必要はありません。
仮に「代休」を与えないとすると、法定休日に労働した事案は、休日割増賃金を支払って終了しています。
従って、「代休」を与えるということは、休日が1日余分に増えたこととなります。
つまり、1日分を賃金から控除することができることとなります。
この場合では、1日の単価である10,000円を控除することとなります。
ですから、結果的には休日割増分である0.35、つまり3,500円の支払いが必要となります。
「代休」時の賃金計算は、このような考え方で計算されます。
予め休日と労働日を入替える「振替休日」は、単に休日と労働日が入替っただけですので、休日割増賃金は必要ありませんが、「代休」の場合は、割増賃金の支払いが必要となってきます。
ところで、「振替休日」の場合でも、割増賃金が必要となる場合があります。
例えば、1日の所定労働時間が8時間で、1週間の起算日を月曜日として、土曜日、日曜日が休日で、日曜日が法定休日とします。
この場合、日曜日と同じ週の労働日(月曜日から金曜日)を予め入替えれる時は、当然割増賃金は発生しません。
しかし、日曜日を、例えば、翌週の月曜日と入替えたとします。
この場合も、休日労働割増賃金は発生しません。
しかし、日曜日に労働した結果、1週間の法定労働時間である40時間を超えてしまっています。
このような場合は、たとえ予め休日と労働日を入替えていても、1週間の法定労働時間を超えたという事実はなくならず、時間外割増賃金が必要となってきます。
具体的な計算ですが、トータルでの労働時間数は、変わらないので、仮に1日の単価が10,000円とすると、時間外割増分の0.25、10,000円×0.25=2,500円の時間外割増賃金が必要となります。
このように「振替休日」でも割増賃金の必要がありますのでご注意下さい。
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