雇用保険 ~育児休業給付金②~

【説明】

 

育児休業給付は、育児休業期間中の賃金が、休業開始時期の賃金月額に比べて、80%未満に低下している場合に支給されます。

 

 

【ここがポイント!】


育児休業給付についても、育児休業期間中の賃金額についての要件が定められています。


具体的には、育児休業期間中の賃金が、休業開始時期の賃金月額に比べて、80%未満に低下している必要があります。


ここで問題となってくるのは、「休業開始時期の賃金月額」です。


これは育児休業開始前6ヶ月間を平均した額となります。

 

 

しかし、女性労働者の場合は、産前・産後休業を取得した場合、育児休業の開始が、産後休業終了後となります。


産前・産後休業中は、一般的には賃金が支払われない場合が多いので、純粋に育児休業開始前6ヶ月とすると、休業開始時期の賃金月額が、著しく低下してしまうので、産前・産後休業を取得した場合には、原則として産前・産後休業開始前6ヶ月間の賃金を基に計算されます。


ただ、育児休業給付の場合は、高年齢雇用継続給付と違い、休業中ですので通常、賃金が支払われることは無い場合が多いので、「休業開始時期の賃金月額に比べて、80%未満に低下」という要件は、通常は問題ないかと思います。

 

 

ただし、ここで1つ覚えておいて欲しいのですが、あくまで育児休業給付の要件は、「休業開始時期の賃金月額に比べて、80%未満に低下」ですので、「休業開始時期の賃金月額」を登録する必要があります。


つまり、育児休業給付の事務手続きの大きなポイントとして「育児休業が開始された時点でその時点の賃金を登録すること」が挙げられます。


実際には、必ずしも育児休業を開始した時点でなく、一定期間後でも問題無いのですが、時間が経過してしまうと、手続き自体を忘れてしまう可能性もあるので、「育児休業を開始した時点で賃金を登録する」と覚えておいた方が良いでしょう。

 

 

育児休業給付のもう1つ大きな要件として、就業日数の要件があります。


これは、支給申請期間において、就業していると認められる日が10日以下である必要があります。

 

 

ここで、是非覚えておいておいていただきたいのですが、この「10日」の意味を誤って理解してしまう事業主の方がいます。


育児休業給付は、あくまで育児休業を取得しているのが前提ですから、休業期間中に就業するということは、あくまで臨時的な場合に限られます。

 

 

ですから、たとえ、就業する日が、10日以下であっても、それが継続的となる場合には、復帰したとみなされます。


例えば、1週間に1日しか就労しなければ、1ヶ月の就業日数は、4日程度ですが、継続的に毎週1日就労するという労働条件であれば、その時点で、復帰したとみなされ、育児休業給付は、その時点で支給が終了することとなります。

 

 

また、職場復帰後、同一の子について再度育児休業を取得した場合でも、原則として、育児休業給付の対象とはならなくなりますのでご注意下さい。

 

 

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