Q 休憩の代わりに割増賃金を支払うことはできるでしょうか?

【質問】

 

当社では、始業時刻が午前9時で終業時刻が午後6時、休憩時間が午後12時から午後1時までの1時間となっております。

 

業務の都合上、休憩時間の来客がある場合も多く、対応した社員には休憩時間を午後1時以降1時間に満たない時間、休憩を延長してもらっていました。

 

休憩を延長した分、午後の労働時間を短くできれば、終業時刻は変わらないのですが、社員によっては、どうしても午後は午後で所定労働時間の4時間働く必要がある社員もいて、その場合には、帰社時刻が終業時刻を超えてしまいます。

 

そのため、ある社員から、休憩時間の延長分を割増賃金で支払って欲しい、との申し出がありました。

 

休憩時間を短くして、その代わりに割増賃金を支払うことは可能でしょうか?

 

 

【回答】

 

労働基準法で定められている休憩時間は、必ず労働者に与える必要があり、割増賃金の支払いに変えることはできません。

 

 

【解説】

 

労働基準法では、使用者は労働者に、労働時間が6時間超え8時間までの時には少なくとも45分、労働時間が8時間を超える時には少なくとも1時間の休憩時間を与える必要があります。

 

休憩の目的は、労働時間が長時間にわたると、労働者の身心に疲労をもたらすうえ、労働災害発生の確率が高まったり、労働効率が低下したりする恐れがあるため、疲労回復のために与えられるものです。

 

 

この休憩時間に関する規定は、労働基準法上、強制的効力を持っているものと解されています。

 

つまり、どんな事情があれ必要な休憩時間を使用者は労働者に与えなければならないのです。

 

ですから、休憩時間の代わりに割増賃金を支払うことは許されないこととなり、たとえ、労働者との間に合意があったとしても、その合意は無効となります。

 

従って、ご質問のように、例えば、午後12時30分に来客があって、30分間対応したため、来客対応をした30分間に対して割増賃金を支払うことにより、休憩時間を30分とすることは許されません。

 

逆に言えば、労働者から申し出があったとしても、応じる必要はありません。

 

従って、午後1時から30分間休憩時間を延長することにより、終業時刻が遅くなってしまったとしても、それは仕方がないこととなります。

 

 

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【ここがポイント】

 

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ここでは、質問とは少し離れますが、休憩時間と労働時間との関係について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

 

先程ご説明したように、労働基準法では労働時間が6時間を超え8時間のまでの場合には、少なくとも45分休憩を与える必要があります。

 

ところで、1日の労働の上限である法定労働時間は、8時間とされています。

 

従って、多くの会社では1日の勤務時間(所定労働時間)を8時間といます。

 

ですから、所定労働時間が1日8時間の場合には、本来は、休憩時間は45分で法律の規定を満たすこととなります。

 

 

しかし、多くの会社では、休憩時間を1時間としています。

 

実際、私も休憩時間1時間をお勧めしています。

 

というのは、先程も書きましたが、労働時間が8時間を超える場合には、休憩時間は1時間必要なります。

 

従って、1日の所定労働時間が8時間で休憩時間を45分としていると、1分でも時間外労働をすると、労働時間が8時間を超えるため、さらに、15分間の休憩が必要なります。

 

 

ところで、休憩時間は、労働基準法により労働と労働の間に与えることが義務付けられています。

 

つまり、先程の例で言えば、1分間時間外労働する場合には、まず、15分間休憩を取って、それから1分間の時間外労働をしなければならないこととなります。

 

このようなことは、労働者にとっても決してありがたいことではありません。

 

 

ところで、労働基準法では、休憩時間は、労働時間が8時間を超えた場合には、少なくとも1時間与えなければならないとされていますが、それ以上の規定は定められていません。

 

つまり、法律上、労働時間が何時間に及んでも、最初から最低でも1時間の休憩を与えていれば、法律の基準を満たすこととなります。

 

 

もちろん、労働時間が長時間に及ぶ場合には、法律とは別に安全配慮の必要がありますが、休憩に関する法律の観点から見れば、最初から1時間の休憩時間を与える労働条件にすれば、法律違反は起こらないこととなります。

 

 

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