労働保険料の納付手続きについて
【説明】
労働保険料は、見込みで保険料を納め、後で保険料の精算を業務を行います。
【ここがポイント!】
ここでは、労働保険料の納付手続きについてお話ししたいと思います。
労働保険料は、従業員に支払った1年間の賃金総額に労災保険と雇用保険のそれぞれの保険料率を乗じて算出します。
まず、1年間についてですが、これは4月1日から翌年の3月31日までを言います。
実際の保険料の納付方法ですが、まず保険料を見込みで支払います。
これを概算保険料と言います。
わかりやすく説明するために、4月1日に新規に労災保険と雇用保険に加入した場合を例に説明したいと思います。
4月1日の加入の時点で、これから翌年の3月31日まで支払うであろう予想の賃金総額を算出します。
もちろん、あくまで予想の金額で構いません。
その予想金額に労災保険料率及び雇用保険料率を乗じて概算保険料を納めます。
そして、翌年の3月31日を過ぎれば、実際に支払った賃金総額が決定されます。
ここで、再度、各保険料料率を乗じて保険料を算出します。
これを確定保険料と言います。
そして、既に納めてある概算保険料との過不足を計算します。
この業務を、「年度更新」と呼びます。
概算保険料より確定保険料の方が多ければ、見込み賃金が少なかったこととなりますので、不足が生じ、不足の保険料を支払います。
しかし、事業は継続されるので、次年度の概算保険料も必要となります。
例えば、10万円の概算保険料を支払い確定保険料が12万円だった場合、2万円の不足が出ます。
さらに、翌年度の概算保険料も支払う必要もあります。
2年目以降の概算保険料は、通常は、前年度の賃金総額を基に計算されるので、この場合は、12万円となります(保険料率が変わらない前提です)。
ですから、この場合、確定保険料の不足分2万円と翌年度の概算保険料12万円の合計14万円の保険料を支払うこととなります。
次に確定保険料より概算保険料の方が多い場合について説明したいと思います。
概算保険料が、確定保険料より多いということは、見込み賃金額より実際に支給した賃金額の方が少ないこととなります。
例えば、概算保険料が10万円で、確定保険料が8万円とします。
差額の2万円は、払い過ぎとなりますので、本来で言えば、還付される金額でとなります。
しかし、先程お話ししましたように、事業は、継続するため次年度の概算保険料が必要となります。
先程お話ししましたが、次年度の概算保険料は、通常は、前年の賃金総額を基に計算しますので、保険料率が変わらなければ、確定保険料と同額なります。
ですから、上記の例で言えば、次年度の概算保険料は、本来で言えば、8万円支払う必要があります、
しかし、前年度の概算保険料の払い過ぎの2万円がありますので、これは、次年度の概算保険料に充当されることとなります。
ですから、次年度の概算保険料は、あくまで8万円ですが、実際に支払う金額は、6万円となります。
このように、労働保険料は、見込みで概算保険料を支払い、年度が変わる時に確定保険料との過不足金を計算する、という業務を繰返していくこととなります。
なお、その年度で事業を廃止等する場合は、概算保険料の払い過ぎた分は、還付されます。
反対に、概算保険料が確定保険料より不足していた場合は、不足額だけを支払って業務終了となります。