就業規則と労働基準法① ~労働時間について~
就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。
主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。
これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。
そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。
ここでは、労働時間について解説していきたいと思います。
労働時間については法定労働時間が定められています
まず、労働時間についてですが、労働基準法において「法定労働時間」という時間が定められており、会社は、従業員に対して法定労働時間を超えて労働させることはできないとされています。
具体的に法定労働時間とは、1日8時間、1週間で40時間と規定されています。
ただ、実際に、労働基準監督署に書類(36協定)を出すことによって、法定労働時間を超えての労働が認められるようにはなります。
なお、36協定につきましては、こちらの記事をご参照下さい。
しかし、就業規則の規定においては、この法定労働時間内で、所定労働時間(所定労働時間とは、始業時刻から終業時刻まで実際に従業員が働く時間を言います。)を定める必要があります。
ですから、たとえ、従業員との間で合意があったとしても、例えば、1日9時間、あるいは1日8時間労働で1週6日勤務というような内容で就業規則を定める
ことはできないこととなります。
そのような内容で就業規則を定めても、法律の基準に達しない場合には無効となってしまい、法律の基準が適用されることとなります。
ちなみに、法定労働時間に関して特例が設けられていて、従業員数が常時10人未満で、
・商業:卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業等
・映画・演劇業:映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画製作・ビデオ製作の事業を除く。)
・保健衛生業:病院、診療所、保育園、老人ホーム等の社会福祉施設等
・接客娯楽業:旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地等
を営む事業場については1週で44時間まで従業員に労働させることが認められています。
このような事業場を特例措置対象事業場と言います。
なお、特例措置対象事業場について1つ注意すべき点があります。
44時間の法定労働時間が適用される特例措置は、あくまで従業員数が常時10人未満の事業場に限られます。
従って、従業員数が常時10人になった時点で、本来の法定労働時間である1週40時間が適用されることとなります。
そのため、1週間の労働時間を44時間から40時間へ変更するには、労務管理上大きな混乱を招く可能性もあります。
また、場合によっては、1週間の労働時間を40時間への変更が出来ずに、労働基準法違反の状態となってしまう場合もあり得ます。
ですから、将来的に従業員数が10人以上となる可能性がある事業場は、1週間の労働時間44時間の特例措置を適用する場合は、十分注意する必要があります。
ところで、法定労働時間が、難しいのは、労働時間だけの問題ではなく休日と密接に関係してくる点にあります。
ですから、休日についての定めも正しく理解する必要がありますので、引き続きこちらのブログもお読み下さい。
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