労働時間 ~事業場外におけるみなし労働時間制~

【説明】


事業場外で労働する場合で、使用者の指揮命令が及ばないため労働時間を算定し難い時は、みなし労働時間制により労働時間を算定できます。

 


【ここがポイント!】


営業職のように事業場外で労働する場合は、労働時間を算定し難い場合が考えられます。このような時には、みなし労働時間制により労働時間を算定す

ることができます。


みなし労働時間制による労働時間の算定の仕方は、まず原則が、所定労働時間労働したとみまします。


つまり、所定労働時間が8時間であれば、事業外で1日労働して正確な労働時間を算定し難い場合には、8時間労働したとみなします。

 

 

また、午前中は事業場内にいて、午後から事業場外で労働した場合も、事業場内での労働も含めて8時間労働したとみまします。


みなし労働時間制は、所定労働時間労働したとみなすのが原則となります。


ところで、この制度は、誤って認識される場合があります。おおきなポイントが2つあります。

 

 

みなし労働時間制において、まず気を付けなければならない点は、この制度を利用できるのは、使用者の指揮命令が及ばない時に限ります。


例えば、事業場外で労働しているが、随時使用者の指揮命令を受けている場合や、当日の行動スケジュールが具体的に決められていて、帰社時間も予め決められている場合には、使用者の指揮命令が及ばないとは言えないので、みなし労働時間制を適用することはできません。


現代は携帯電話等の普及により、事業場外でも容易に使用者の指揮命令を受けることが可能なので、以前に比べこの制度の適用は難しくなってきていると言えます。


いずれにしても、事業場外で労働さえすれば、みなし労働時間制の適用を受けれるわけではない点にまずはご注意下さい。

 

 

もう1つ注意しなければならない点は、割増賃金です。


みなし労働時間制の原則は、所定労働時間労働したとみなす、です。


とすると、みなし労働時間制を適用すれば、一切割増賃金が不要になるように思われます。

 

しかし、これは誤った認識となりますのでご注意下さい。

 

 

ここで、その業務を遂行にするのに必要とされる時間を考える必要があります。つまり、事業場外での業務を遂行するのに、一体何時間必要となるのかを考える必要があるのです。


事業場外での業務を遂行するのに、所定労働時間あれば遂行できるのであれば、事業場外でのみなし労働時間を、所定労働時間とみなしても問題ありません。

 

この場合、会社の終業時刻を過ぎて帰社した場合でも、割増賃金の支払いは必要ありません。

 

 

しかし、事業場外での業務遂行に必要な時間が、所定労働時間を超えた時間が、必要となる場合も考えられます。


このような場合には、事業場外での業務遂行に必要な時間労働したとみなされます。


例えば、事業場外での業務遂行に9時間必要場合には、みなし労働時間は、9時間としなければなりません。

 

つまり、1時間の割増賃金が必要となります。

 

このような場合で、みなし労働時間を8時間と定めることは、割増賃金の不払いが発生して違法となってしまいます。

 

 

みなし労働時間は、事業場外での業務遂行に必要な時間が、所定労働時間を超える場合には、その業務遂行に必要な時間をみなし労働時間として定める必要があります。


繰り返しになりますが、事業場外におけるみなし労働時間制は、残業が恒常化している場合で、この制度を導入すれば法律的に割増賃金を支払う必要がないように思えるかもしれませんが、決してそうではなく、通常の1日の労働が、所定労働時間を超えているのが恒常化しているのであれば、その現状を踏まえて1日の労働時間を設定する必要がありますので、ご注意下さい。

 

 

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