労働条件の明示 ~労働契約には書面が必要~
【説明】
従業員を雇用し、労働契約を締結する際に、賃金等一定の労働条件については、必ず労働者に明示する必要があります。
さらに、賃金及び労働時間等一定の事項に関しては書面を交付する事によって明示しなければなりません。
また、賞与や退職金等については、定めがある場合には明示が必要となります。
【ここがポイント!】
労働契約を締結する際に、一定の労働条件については必ず労働者に明示しなければなりません。
必ず明示しなければならない事項を「絶対的明示事項」と言います。
必ず明示しなければならない事項(絶対的明示事項)は以下となります。
1 労働契約の期間
2 就業の場所及び従事する業務内容
3 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働(残業や休日労働です)の有無、休憩時間、休日、休暇等に関する事項
4 賃金(退職金、賞与等は除く)の決定、計算及び支払い方法、賃金の締切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
5 退職に関する事項
上記の内、4の昇給に関する事項以外は、書面交付によって労働者に明示する必要があります。
つまり、昇給に関する事項は、口頭で明示しても良いのですが、それ以外の事項については書面での明示が必要となります。
ところで、労働契約の締結の際には、「定めがある場合には」明示しなければならない事項もあります。
これを「相対的明示事項」と言います。
相対的明示事項の主な事項は、以下となります。
1 退職手当に関する事項(適用範囲、計算方法、支払い時期等)
2 賞与及びこれに準ずる賃金並びに最低賃金に関する事項
3 安全及び衛生に関する事項
4 表彰及び制裁に関する事項
5 休職に関する事項 等
上記の事項は定めがあれば明示する必要があります。
つまり、定めが無い場合には、当然ですが明示する必要はありません。
ですから、退職金や賞与について、定めが無ければ明示する必要ないという事は、退職金や賞与は、法律的に使用者に課せられた義務では無い事となります。
つまり、賞与や退職金を支払わなくても法律的には、問題無いということとなります。
ただし、元々使用者の義務でなかった、賞与や退職金も一旦制度を設けてしまうと、それ以降は使用者の義務となります。
ちなみに、相対的明示事項は、口頭での明示で足り、書面の交付は要しません。
しかし、トラブル防止等の観点から、相対的明示事項であっても書面で交付することをお勧めします。
ところで、労働条件の書面での明示は、法律うんぬんより、労務トラブルを防ぐ上でも最も重要な点の1つです。
ですから、労働条件の明示については、是非正しくご理解下さい。
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