最低賃金について ~最低賃金の確認方法について~
【説明】
最低賃金額の確認は、賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金(時間額)と比較します。
【ここがポイント!】
支払われている賃金が、最低賃金を上回っているかを確認する場合には、対象となる賃金を時間当たりの金額に換算します。
従って、賃金が時給のみで支払われている場合には、割増賃金や家族手当等の最低賃金の対象とならない賃金を除いた額が、最低賃金を上回る必要があります。
日給の場合は、日給の額(最低賃金の対象とならない額を除く)を1日の所定労働時間で割った額が、最低賃金を上回る必要があります。
月給の場合は、月給の額(最低賃金の対象とならない額を除く)を1ヶ月の平均労働時間で割った額が最低賃金を上回る必要があります。
例えば、基本給が月給15万円、家族手当が月給1万円、資格手当が月給2万円で、1日の所定労働時間が8時間、年間の労働日数が255日で、東京都の飲食業で考えてみたいと思います。
まず、家族手当は、最低賃金の対象とはならないため、総額から除きます。
ですから、最低賃金の対象となる賃金の合計額は、基本給と資格手当との合計額の17万円です。
また、1ヶ月の平均労働時間は、年間労働日数が255日なので、1年間の総労働時間は、255日×8時間=2,040時間となります。
従って、1ヶ月間の平均労働時間は、2,040時間÷12ヶ月=170時間となります。
従って、この場合の時間当たりの金額に換算した額は、17万円÷170時間=1,000円となります。
この額が、最低賃金の額を上回っていれば良く、東京都の地域別最低賃金の985円(平成31年3月1日現在)を上回っているので、このケースは、法律の基準を満していることとなります。
次に、複数の賃金形態で、給与が支払われている場合で、月給と時間給の場合の最低賃金の確認方法をお話します。
例えば、東京都の飲食業で、時給800円、通勤手当1日50円、資格手当として月給で2,000円、支払われていて、1日の所定労働時間が8時間で、年間労働日数が255日の場合で考えて見ます。
資格手当が、月給で支払われているので、この部分を先程お話したような方法で、時間当たりの金額に換算します。
1ヶ月間の平均労働時間は、255日×8時間÷12ヶ月=170時間となりますので、資格手当2,000円の時間当りの金額は、2,000円÷170時間=11.76円となります。
また、通勤手当は、最低賃金の対象とはなりませんので、最低賃金の対象となる賃金の合計は、基本給の800円と資格手当の時間当たりの金額の合計で、811.76円となり、東京都の地域別最低賃金の金額、985円(平成31年3月1日現在)を下回ることとなってしまいます。
ちなみに、歩合給の場合の最低賃金については少し複雑なので、こちらをご参照になさって下さい。
>>最低賃金額以上かどうかを確認する方法(厚生労働省)
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら