割増賃金 ~深夜割増賃金~
【説明】
深夜労働は、午後10時から午前5時までとなります。
【ここがポイント!】
深夜に労働させた場合には、割増賃金が必要となります。
深夜とは午後10時から午前5時までを言います。深夜に労働させた場合の割増率は、2割5分以上となります。
深夜労働で注意すべき点は、所定労働時間を超えているか否かに関らず、午後10時から午前5時の間に労働させた場合には、割増賃金が必要となります。
具体的な例を挙げて説明していきたいと思います。
所定労働時間が8時間で、始業時刻が午前9時、終業時刻が午後6時とします。
この場合で、時間外労働が午後11時まで及んだとします。
仮に、割増基礎単価を1,000円とすると、午後6時から10時までの4時間については、通常の時間外割増の2割5分増しの割増賃金が必要となりすす。
しかし、午後10時から午後11時までの1時間については、深夜労働となるため、時間外割増に深夜割増が必要となります。
つまり、それぞれの割増率の合計である5割の割増賃金が必要なります。
従って、場合の割増賃金の額は、午後6時から午後10時までは、1,000円×1.25×4時間=5,000円。
午後10時から午後11時までについては、1,000円×1.5×1時間=1,500円となり、合計で6,500円が必要となります。
時間外労働時間が深夜に及んだ場合には、時間外労働の割増率の深夜労働の割増率を合計して計算します。
ところで、業種によっては、通常の勤務時間つまり所定労働時間そのものが深夜に及ぶ場合があります。
例えば、工場等の交代制や飲食店等では、所定労働時間そのものが深夜に及び場合があります。
所定労働時間は8時間であっても、始業時刻が午後8時で終業時刻が、午前5時といった場合です。
この場合、始業、終業時刻通りに労働すれば、当然時間外割増は必要ありません。
しかし、ここが重要な点ですが、深夜割増は、所定労働時間を超えているか否かに関らず、深夜に労働させたことに対して割増賃金が必要となります。
従って、先程の例で、時給1,000円、休憩を午後11時から午前12時までの1時間で、所定労働時間を8時間とすると、午後8時から午後10時までは、通常の賃金で良いので、1,000円×2時間=2,000円となります。
しかし、午後10時から午前5時までの(休憩1時間が入ります)6時間については、深夜労働となるため、1,000円×1.25×6時間=7,500円となり、合計で9,500円の賃金が必要となります。
なお、所定労働時間が8時間なので、8時間×1,000円=8,000円で、そのうち6時間が深夜割増が必要となるので、1,000円×0.25×6時間=1,500円で、合計9,500円という考えもできます。
従って、例えば24時間営業のコンビニ等で、通常、日中5時間勤務の労働者が何らかの理由で特別に深夜に5時間労働した場合には、同じ5時間労働ですが、通常の賃金のみを支払うだけですと労働基準法違反となってしまうということです。
ところで、よく、「深夜割増は5割増」と言われる方がいるのですが、今回お話ししたように、これは誤りで確かに、時間外労働が深夜に及んだ場合は、5割増しになりますが、深夜労働をさせるのは、必ずしも時間外労働中とは限りませんので、この点は是非ご理解いただければと思います。
今回の内容は、誤って認識されている方が多いので、是非正しくご理解下さい。
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