就業規則と労働基準法⑥ ~損害賠償金について~

就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。

 

主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。

 

これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。

 

そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。

 

今回は、損害賠償金の規定について解説してあります。

就業規則で、予め損害金の額を決めておくことはできません

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従業員が、仕事中に会社の設備や車に損害を与えてしまう事は、ごく普通に考えられることです。

 

特に運送業のように車両を頻繁に使う業種では、事故も他の業種に比べて起こる可能性は、高くなってきます。

 

従業員が、仕事中に会社の設備や車両の損害を与えてしまった場合のために、就業規則等に損害賠償金等についての規定を定めることがあります。

 

もちろん、従業員に損害賠償金や修理金を請求すること自体は、法律に反することでは無いのですが、これには、注意が必要となります。

 

と言うのは、労働基準法では、予め賠償金の額を定めることを禁止しているのです。

 

 

例えば、運送業等で、従業員が、事故を起こした時に、従業員に自動車保険の自己負担分(一般的に免責金額と呼ばれています。)を負担させるような規定を設けているケースがありますが、これは明らかな、労働基準法違反となります。

 

つまり、予め「免責金額分」と賠償額を予定しているからです。

 

他にも、「修理金額10%を支払う」といった規定も法律違反となってしまいます。

 

 

もちろん、従業員の過失等に応じた金額を請求することは、差し支えないので、例えば、「過失に応じた金額を支払う事」といった規定の仕方であれば、問題ありませんので、ご参考になさって下さい。

 

 

余談ですが、「従業員の過失に応じた損害額」について、少しお話ししたいと思います。

 

事故等で会社の設備や車両に損害を与えてしまった場合、従業員が単独でその事故を起こしてしまった場合には、修理金額の全額を従業員に請求しても良いように思えます。

 

 

しかし、会社は、従業員が働くことによって利益を得るわけですから、そこには会社が負うべき一定の責任があります。

 

ですから、たとえ、事故を起こしたのが、従業員自身であっても、その事故に対しては、会社は、一定の責任を負う必要があります。

 

つまり、従業員が、飲酒運転等の重大な故意過失が無い限り、修理費用の全額を従業員に負担させることは基本的にはできないので、もし、従業員が裁判等で訴えを起こした場合には、会社は従業員に負担させた修理費用の一定額を返還しなければならなくなる場合もありますのでご注意下さい。

 

 

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