損害賠償請求について
【説明】
使用者は、労働者の過失による損害に対して全額補償する等の旨の覚書等を交わす事は、労働基準法違反となります。
【ここがポイント!】
事故の原因が労働者の過失にある場合、会社が労働者に損害賠償を求めること事態は違法行為とはなりません。
例えば、労働者の過失により交通事故を発生させ社有車に損害を与えた場合、使用者は、損害に対して労働者に賠償請求する事は法律上問題ありません。
ただし、ここで注意しなければならないのは、請求する額です。
使用者としては、労働者の過失によるものであるため、全額を労働者に請求したくなります。
しかし、会社は労働者の働きによって利益を上げているわけですから、逆にマイナス面に関しても一定のリスクを負うべきだと考えられます。
ですから、飲酒運転等労働者の重大な過失等の場合を除いて、損害額の全額を労働者に請求することは、できないと考えられます。
しかし、損害賠償は、双方が合意すれば、基本的に法律が関与しない面もあります。
従って、労働者との間で、「労働者の過失等より会社に損害を与えた場合には、労働者はその全額を補償する」等の覚書等を交わしたらどうか、という考えも考えられます。(実際このような相談をよく受けます)
しかし、このような覚書等は、「賠償予定の禁止」に該当するため、労働基準法違反となります。
つまり、このような覚書等を労働者に書かせることは、労働基準法違反となってしまいますのでご注意下さい。
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