就業規則 ~制裁規定について~

【説明】


就業規則で、労働者に対して減給の制裁の規定を定める場合において、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金期間における賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。

 


【ここがポイント!】


「減給の制裁」とは、使用者が、職場の規律等に違反した労働者から、制裁として、賃金から一定額を差し引くことをです。


この差し引く額に関して労働基準法では、一定の制限を設けています。


まず、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない」についてですが、これは一回の制裁事案について、減給できる額が、平均賃金の1日分の半額以下ある必要があります。

 

 

例えば、平均賃金の1日の額が、8,000円なら1回の事案について、減給できる額が4,000円までとなります。


ここでご注意いただきたいのが、1回の事案について、減給できるのはあくまで1回限りです。

 

つまり、1回の事案について、平均賃金の1日の額の半分を何回も減給できるというわけではありません。

 

 

次に「総額が一賃金期間における賃金総額の10分の1を超えてはならない」についてですが、一賃金支払期(月給制の場合は、1ヶ月間)に、複数の減給の制裁事案が発生し場合に、それぞれの減給の総額が、当該賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えることはできません。

 

 

例えば、月給制の労働者が、一賃金支払期、つまり1ヶ月間で3回の減給の制裁に該当する事案を起こしたとします。


この労働者の平均賃金の1日の額を16,000円とし、この1ヶ月間に支払われる賃金総額が250,000円とします。


先程、お話しましたように、1回の事案に対する減給の限度額は、平均賃金の1日の額の半額となりますので、1回の減給の額を限度額の8,000円とします。


一賃金支払期に減給の制裁に該当する事案が3回なので、減給の総額は、3回×8,000円=24,000円となります。


また、1ヶ月間に支払われる賃金総額が250,000円なので、減給の総額がこの10分の1以下、つまり25,000円になる必要があるので、減給の総額が24,000円であれば10分の1以下、つまり25,000円以下なので法律の基準内となります。

 

 

しかし、仮に、さらに同じ賃金支払期内にもう一度給の制裁に該当する事案を起こしても、減給できるのは、1,000円までとなりますし、それ以上事案を発生させても減給の制裁は、全く出来ないこととなります。

 

 

▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら

>> オフィスまつもと 就業規則変更・作成サービス