多くの会社に不足している就業規則の項目とは?
社会保険労務士として、これまで様々な就業規則を見る機会がありました。
その中でよく見る「足りていない点」、「不備のある点」などをご紹介します。
時代の変化についていっていない就業規則も多々お見受けするので、ぜひ見直していただきたいポイントとして捉えていただけたらと思います。
就業規則は、時代の変化に合わせる必要があります
就業規則の見直しの依頼を受けて、就業規則の内容を確認する時に、抜けているなと感じるポイントがいくつかあります
まず、休職制度です。
休職制度は、従業員が怪我を負ったり病気になったりした場合に、一定期間従業員しての身分を保証する制度です
休職制度自体は法律に規定が無いので、会社が休職制度を設ける必要ありません。
しかし、いざ、病気になってしまった場合にすぐ解雇されるとなると従業員にとっても非常に不安ですので、一定期間、従業員としての身分を保証することは、福利厚生にも繋がりますので、休職制度は、昔から多くの会社で取り入れられています。
しかし、近年、休職制度に関して従来ではなかった、うつ病とか精神的な病で休職される従業員が非常に多くなってきています。
従来は、内臓の病気や怪我とかで休職するケースがほとんどでしたので、ある程度、完治というものが分かりやすかったのですが、うつ病や精神的な疾患の場合外見からでは完治の度合いが分かりづらいところがあります。
ですから、従来の休職制度では、対応ができないところがあります。
このように、多くの就業規則が、休職制度に関して、基本的な事項しか記載されていないことが多いと言えます。
ですから、休職制度は、就業規則を見直す際の重要なポイントと言えます。
また、就業規則を見て、不足しているな、と感じる事項に試用期間があります。
試用期間は、従業員の能力や資質を判断するために、3ヶ月から6か月、一定期間置かれることが多いのですが、多くの経営者が、この試用期間について誤解しているところがあります。
試用期間は、お試し的な感覚があり、実際に従業員を雇用してみて、少し能力が足りなかったら試用期間が終われば、無条件で雇用を終わらせることができる、と思われている感があります。
しかし、試用期間と言っても元々、無期雇用が前提で設けられているので、試用期間であっても従業員との雇用を終わらせるのは、解雇となります。
ですから、試用期間であっても解雇できるハードルは非常に高いです
正従業員を解雇するより若干解雇が認められやすい位の感覚です。
ただし、多少でも解雇が認められる可能性を高くするために、試用期間終了後に正従業員へ登用しない場合を具体的に記載するが重要となってきます。
もちろん、就業規則に正従業員へ登用しない事項を具体的に記載したからといって、全ての場合で正従業員不登用が認められるわけではありませんが、現在の裁判等では、就業規則での解雇の根拠が重要視されているのは、事実です。
ですから、具体的な理由が記載されていないと、争うための土俵にすら上がれないこととなってしまいます。
試用期間終了後、正社員への不登用に関して、内容が希薄な記載となっている就業規則が非常に多いので、就業規則を見直す際には、必ず試用期間についても検討されると良いかと思います。
【関連記事】 >>会社を守る就業規則 7つのポイントとは・・・?
◆就業規則作成&変更チャンネルとは◆
就業規則は、作ることだけが目的となってしまいがちです。
しかし本当に大切なことは、 実際にどのように運用していくのか、 法改正・会社の実情などにどのように合わせていくのか、 ということです。
作成しただけできちんと運用していなかったり、 法律や実情に対応していないまま放置していると、 労働基準監督署からの指導が入る恐れがあるだけでなく、 社員から多額の賠償金・残業代請求などがされ 経営が危うくなる可能性があるのです。
会社を守り、 社員の雇用を守るためにも、 正しく適正な運用をしていただきたい・・・
その一助になれればとこのチャンネルをはじめました。
◆チャンネル登録はこちら
◆就業規則の作成・変更を依頼したい、運用のサポートをしてほしい、という方は、ぜひホームページもご覧ください。