正社員等の定義と就業規則の適用範囲について

就業規則を作成した場合、その就業規則が、どの労働者に適用されるのかを考える必要あります。

 

もし、特別の定めをしなければ、雇用している全ての労働者に就業規則の内容が適用されることとなります。

 

正社員しか雇用していない会社であれば、それでも問題ないのかもしれませんが、パートタイマーやアルバイト等を雇用している会社であれば、正社員と正社員以外の労働者と賞与や福利厚生等で異なった取り扱いをしたい場合も考えられます。

 

そのような場合には、労働者の区分を明確にして、就業規則がどの労働者に適用するのをはっきりさせておく必要があります。

 

本ブログでは、労働者を区分するための定義についてと、就業規則の適用範囲についてわかりやすく解説していきます。

 

 

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正社員、パートタイマー等の意味するものは?

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私達は、日常、ごくごく普通に「正社員」や「パートタイマー」「アルバイト」といった用語を使っています。

 

多くの方が意外に思われるかもしれませんが、正社員やパートタイマーといった用語は、実は、法律用語ではありません。

 

実は、労働基準法には、正社員やパートタイマーといった用語は出てきません。

 

労働基準法で使われている用語は、「労働者」だけです。

 

 

つまり、法律上は、パートタイマーやアルバイトも法律上は、正社員と同じ労働者なのです。

 

ですから、労働基準法で規定されている、有給休暇や割増賃金とは、当然、パートタイマー、アルバイトと呼ばれている労働者にも権利と発生します。

 

 

何故、正社員やパートタイマー、アルバイトといった呼称が使われるようになったかですが、正社員とパートタイマーやアルバイトでは、労働時間や労働日数、業務に対する責任等様々な面で異なるため、便宜上区分を設ける必要が出てきて、それぞれに付けた呼称が、正社員、パートタイマー、アルバイト等であったわけです。

 

そして、労働者を区分するには、それそれの労働者(正社員、パートタイマー、アルバイト等)を定義付けをする必要があります。

 

 

ところで、先程お話ししましたように、正社員やパートタイマーといった用語は、法律用語ではなく、労働者を区分するために便宜的に使用されているわけですので、例えば、正社員をどのように定義付けするかは、本来は、それぞれの会社が自由に定義付けできます。

 

ですから、「給料が月給で支払われる労働者を正社員である」といった言われ方をしますが、これは全くの誤りで、会社が、給料の支払い形態に関わらず、所定労働時間をフルタイムで働く労働者を正社員と定義付けることも何の問題もありません。

 

就業規則の適用範囲について

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では、次に労働者の区分と就業規則の適用範囲についてお話ししたいと思います。

 

就業規則を作成した場合、その就業規則が、どの労働者に適用されるのかを考える必要があります。

 

もし、特別定めがない場合には、全労働者に適用されることとなります。

 

 

正社員以外にパートタイマー、アルバイト等を雇用している会社であっても、就業規則の内容が、正社員以外の労働者にも適用しても構わないのであれば、労働者を区分する必要はなく、適用範囲も考える必要はないと言えます。

 

しかし、多くの会社では、賞与や退職金、慶弔休暇等において、正社員と正社員以外では異なった取り扱いをしています。

 

有給休暇や割増賃金といった法律で規定されている事項以外については、労働者によって異なった取り扱いをすることは可能です。

 

 

しかし、異なった取り扱いをするのであれば、どの条文が、どの労働者に適用するのか、あるいは適用しないのか明確にする必要が出てきます。

 

例えば、「賞与、退職金は正社員のみに支給する。」「慶弔休暇は、正社員以外の労働者には適用しない。」といった規定を定める必要があります。

 

就業規則の適用範囲についてお分かりいただけましたでしょうか?

 

 

ここで問題となってくるのが、労働者の区分によって就業規則の内容を異なった取り扱いをするのであれば、各労働者の区分を明確にする、つまり、「正社員は、こういう社員です。」というような定義付けする必要があります。

 

でないと、各労働者は、自分がどの区分に属しているか、把握できないからです。

 

では、次に、労働者の区分、労働者の定義付けについてもう少し詳しくお話ししていきたいと思います。

 

 

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正規労働者と非正規労働者とは?

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まず、最初に正規労働者と非正規労働者についてお話ししたいと思います。

 

昨今、格差問題で正規労働者、非正規労働者という言葉が、頻繁に使われていますが、正規労働者と非正規労働者とを区分するものを何でしょう?

 

結論から言いますと、正規労働者と非正規労働者は、基本時には雇用期間の定めの有無によって区分されます。

 

 

雇用期間に定めがなければ、解雇等の特別な事情がなければ、定年まで勤務できることが保障されるわけですので、身分が安定し、長期的な視野で人生設計が可能になりますが、雇用期間の定めがあれば、当然、雇用契約が打ち切られてしまう可能性があるので、労働者からみれば非常に不安定な状態となってしまいます。

 

そのため、結婚、出産、住宅購入等の計画も立てづらくなってしまい、その結果、正規労働者との格差が広がってしまうと言えます。

 

 

ところで、正社員より労働時間が短い又は労働日数が少ない労働者であっても、雇用期間の定めが無い労働者もいます。

 

雇用期間の定めが無いであれば、正規労働者か非正規労働者かと言われれば、正規労働者となります。

 

しかし、労働時間や労働日数が、正社員より少ないわけですので、正社員とはまた身分は違います。

 

逆に、労働時間や労働日数は正社員と同じでも、雇用期間の定めがあれば、非正規労働者となります。

 

このように、正規労働者と非正規労働者との区分は、現在の日本における社会問題を論じる上で使用されているため、就業規則の適用範囲という視点で考えた場合には、雇用期間の定めの有無以外の要因も考慮していく必要があります。

 

正社員、パートタイマーの定義とは?

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では、ここで正社員やパートタイマー等、労働者の定義についてお話ししていきたいと思います。

 

一般的に労働者を区分する場合、雇用期間の定めの有無、労働時間や労働日数の多少、給料の支払い形態等によって区分します。

 

しかし、繰り返しになりますが、そもそも労働者の区分を表す、正社員やパートタイマーといった用語は、法律用語ではなく、便宜上使用されているに過ぎません。

 

 

ですから、正社員やパートタイマーをどのように定義付けするかは、各会社の自由であって、同じ正社員でも、会社によって正社員の定義が異なることがあり得ます。

 

例えば、ある会社は、労働時間や労働日数に関わらず、給料が月給で支給されている労働者を正社員と定義付けたり、ある会社では、給料の支払い形態に関わらず、勤務時間をフルに働くことができる労働者を正社員と定義付けたりしても何の問題はないのです。

 

また、区分する基準も上記以外のもので区分することも可能です。

 

ですから、これからお話しする各労働者の定義は、あくまで1つの例に過ぎませんので、その点はご了承下さい。

 

 

イメージしやすいように、勤務時間を8時間で週の勤務日が5日の会社を例にご説明していきたいと思います。

 

この会社の場合、仮に正社員の定義をフルに働くことができる、つまり、1日8時間、週に5日勤務することができ、雇用期間の定めがない労働者とします。

 

次に勤務時間及び労働日数は、正社員と同じですが、雇用期間の定めがある労働者も想定されます。

 

このような労働者を契約社員と区分します。

 

 

では、勤務時間または労働日数が、正社員より少なくて、雇用期間の定めがある労働者の場合、通常は、パートタイマー、アルバイトと区分します。

 

となると、パートタイマーとアルバイトの違いは?という疑問が出てきます。

 

 

もし、パートタイマーとアルバイトを区分する場合、雇用期間の定めの有無、労働時間及び労働日数の多少、給与の支払い形態以外の基準、例えば、従事する業務の責任等で区分することとなります。

 

しかし、就業規則の適用範囲の視点から考えた場合、パートタイマーとアルバイトとで異なった取り扱いをするならば、パートタイマーとアルバイトを区分する必要がありますが、通常は、パートタイマーとアルバイトで異なった取り扱いをするケースは稀と言えます。

 

そうであれば、就業規則の適用範囲においては、パートタイマーとアルバイトをあえて区分する必要は無いと言えます。

 

もし、敢えて区分するなら、各会社で何らかの基準を設ければ良いこととなります。

 

 

では、もう少し労働者の定義付けについて考えてみたいと思います。

 

これまでの区分を整理してみると、雇用期間の定めが無い労働者の区分は正社員で雇用期間の定めが有る労働者の区分は、契約社員、パートタイマー、アルバイトとなります。

 

 

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無期雇用社員について

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次に、雇用期間の定めが無い労働者についてもう少しお話ししたいと思います。

 

雇用期間の定めの無い労働者の中には、正社員だけでなく、正社員と同じ1日8時間、週に5日働く労働者であっても、業務に対する責任等の違いにより、賞与や退職金等を適用しない労働者の存在も考えられます。

 

このような労働者は、正社員とは違うため、何らかの区分が必要です。

 

一般的には、このような労働者を無期雇用社員と称されています。

 

 

また、雇用期間の定めは無いし、労働時間及び労働日数も正社員より短く無期雇用労働者と同じく賞与、退職金等が適用されない労働者も考えられます。

 

呼称を付けるとすれば、短時間無期雇用社員でしょうか。

 

さらに、労働時間又は労働日数は、正社員より少ないけれど、業務の責任は正社員と同等で賞与も退職金等も適用される、いわゆる短時間正社員という労働者も近年注目されています。

 

 

ところで、正社員と無期雇用社員とを区別する場合、確かに業務の責任の度合いや、賞与や退職金が支給されるか否かで区分することも可能です。

 

しかし、「業務の責任の度合い」は、判断基準が非常に曖昧です。

 

また、賞与や退職金は、制度そのものが無い場合もあります。

 

 

ですから、私個人としては、正社員と無期雇用社員とを区別する場合には、別の基準で区分した方が良いのではないかと思います。

 

例えば、「給料が、月給(完全月給又は日給月給)で支給される労働者を正社員と定義し、給料が日給又は時間給で支給される労働者を無期雇用社員とする。」といった区分の方が、わかりやすいのではないかと考えます。

 

正社員、パートタイマー等の区分例

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話が少し複雑になってしまった感がありますので、これまでお話しした各労働者の定義をまとめると以下のようになります。

 

①正社員    

雇用期間を定めずに正規に採用され、常に所定労働時間就労でき、賃金が月給又は日給月給で支払われる者

 

②短時間正社員

雇用期間を定めずに採用され、1週間の所定労働時間が正社員より短い者であって、時間当たりの基本給及び賞与等の算定方法等が正規従業員と同等の者

 

③無期雇用社員

雇用期間を定めずに雇用され、常に所定労働時間就労でき、賃金が時間給又は日給で支払われる者

 

④短時間無期雇用社員

雇用期間を定めずに雇用される者で、1週間の所定労働時間が正社員より短く、賃金が時間給又は日給で支払われる者

 

⑤契約社員   

常に所定労働時間を就労できる者で、雇用期間を定めて雇用される者

 

⑥パ-トタイマ- アルバイト   

雇用期間を定めて雇用される者で、1週間または1日の所定労働時間が正社員より短い者 

 

 

なお、正規労働者、非正規労働者の区分で考えますと、正規労働者に該当するのは、①正社員、②無期雇用社員、③短時間無期雇用社員で、非正規労働者に該当するのは、⑤契約社員、⑥パートタイマー、アルバイトとなります。

 

呼称、定義は、あくまで自由です

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ところで、繰り返しになりますが、正社員やパートタイマーといった用語は、法律用語ではなく、便宜上、労働者を区分するために使用されている呼称に過ぎません。

 

ですから、「何をもって労働者を区分するのか」「区分された労働者をどのように呼称するか」については、法律的な制限は、全くありません。

 

 

先にご紹介した区分も、あくまで事例の1つで、どのような基準で労働者を区分するかは、各会社が、任意に決めればよく、また呼称も、どのような呼称を使用しても構いません。

 

ですから、必ずしも正社員という呼称でなくても、正従業員、正規社員、正職員等でも問題ありません。

 

ただ、重要なことは、労働者を定義付けることにより、それぞれが、どの労働者として区分されるのかが明確にわかることです。

 

 

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キャリアアップ助成金について

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現在、助成金の1つとして、キャリアアップ助成金があります。

 

この助成金には、いくつかのコースがあるのですが、その中の1つの正社員化コースは、非正規労働者を正規労働者に転換した場合等に助成金が支給されます。

 

 

この助成金は、非常に使い勝手が良いのですが、この助成金は、非正規労働者から正規労働者へ転換する必要があるため、各労働者の定義付けが重要となってきます。

 

キャリアアップ助成金につきましてはこちらをご参照下さい。

 

>> キャリアアップ助成金(厚生労働省)

 

まとめ

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最後にまとめとして、何故、労働者の定義付けが必要であるかをもう一度確認したいと思います。

 

雇用する労働者の数が増えれれば、当然、労働者の種類も増えてきます。

 

また、就業規則は、特段の定めがなければ全労働者に適用されます。

 

ですから、労働者の種類によっては、就業規則の内容を適用させない場合には、適用させない労働者の定義付けが必要となってきます。

 

 

定義が明確でなければ、各労働者は、自分が就業規則の内容が適用されるのかどうかが、不明瞭となってしまい、会社に対して不信感を抱く原因となります。

 

従って、雇用している各労働者を定義付け、区分を明確にすることは非常に重要なことなのです。

 

是非、ご参考になさって下さい。

 

 

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