就業規則と労働基準法⑦ ~賃金からの控除について~

就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。

 

主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。

 

これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。

 

そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。

 

今回は、労働基準法に定められている賃金控除と就業規則との関係について解説します。

修理金や損害賠償金を賃金から控除することはできません

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就業規則と労働基準法⑥~損害賠償金について- でお話しした、損害賠償金との関連で賃金からの控除についてお話ししたいと思います。

 

従業員に賃金を支払う時には、各種保険料や税金等様々なものを差し引いて支給します。

 

ところで、労働基準法では、賃金については、全額支払うことが原則となっています。

 

従って、本来は、賃金から保険料や税金といったものも控除することはできないのです。

 

しかし、この法律をあまりに厳格に適用してしまうと、業務に支障が出るだけでなく、従業員にとっても不便な点が多いため、いくつかの例外を認めています。

 

 

まず、健康保険、雇用保険の各保険料や所得税等の税金は、法律により賃金から控除することが認められています。

 

税金や保険料の場合は、何の手続きも要せずに、賃金から控除できます。

 

 

また、実際においては、保険料や税金以外にも賃金から控除する方が、会社だけでなく従業員にとっても利便性が高いものも考えられます。

 

例えば、組合費や給食代、物品購買費等が挙がられます。

 

ただし、このような賃金から控除する方が、利便性が高いと思われるものでも、無条件に控除することは法律上認められていません。

 

保険料や税金等の法律によって賃金からの控除が認められているもの以外のものを控除する場合には、2つの大きな条件があります。

 

 

まず、従業員代表との間で、組合費や給食代等を賃金から控除する旨の書面を交わすことが必要となります。

 

ですから、就業規則に、組合費や給食代等を賃金から控除できる、といった規定を定めても、

 

就業規則に定めただけでは、それらを賃金から控除することは出来ないのです。

 

 

さらに、もう1つ重要なポイントがあります。

 

それは、たとえ、従業員代表との間で書面を交わしても、控除できるのは、あくまでその内容が明白なもの(事理明白と言います)に限られます。

 

ここで是非、覚えておいていただきたいのですが、冒頭に書きましたが、従業員が会社の設備等を破損して支払うべき修理金や損害賠償金は、事理明白なものには該当しないのです。

 

 

ですから、たとえ、従業員代表との間で、修理金や損害賠償金を控除できる書面を交わしても、それらを控除することは法律上認められないこととなります。

 

ましてや、就業規則に記載しただけで、安易に控除してしまうと、明らかな労働基準法違反となってしまいますので、ご注意下さい。

 

 

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