賃金からの損害賠償額控除について

【説明】


損害賠償額を賃金から控除することは、労働基準法違反となります。

 


【ここがポイント!】


労働者の過失等による損害に対して、使用者は、使用者が負うべきリスクに相当する金額を差し引いた額を労働者に請求する事は、法律上問題ありません。


ところで、実際このような事態が発生した場合、使用者としては、その賠償額を賃金から控除する方法を取りたくなります。


しかし、労働基準法では、使用者は、労働者に賃金の全額を支払わなければならないと定めています。(賃金の全額払いの原則)

 

 

ところで、この賃金の全額払いの原則には、例外があり、社会保険料等法令に別段の定めがある場合と、労使の書面協定がある場合があります。


つまり、労使の書面による協定で定められたものは、賃金から控除する事ができます。


ただし、控除できるものは、組合費、購買代金、寮費等事理明白なものに限られ、損害賠償額は事理明白なものには該当しません。

 


ですから、たとえ労使により、損害賠償額を控除できる旨の協定を書面で締結しても、それ自体が無効であるので、損害賠償額を賃金から控除することは出来ません。


この点は多くの使用者の方が誤って認識されていると思われるので、是非正しくご理解下さい。

 

 

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