割増賃金 ~時間外割増賃金の計算③~
【説明】
割増基礎単価を算出する際には、その月に支払われた賃金の額を1ヶ月の平均労働時間で除します。
【ここがポイント!】
割増基礎単価を算出する場合には、その月に支払われた賃金の額を1ヶ月の平均労働時間で除します。
従って、基本給だけでなく、各手当が支払われている場合は、それらの額も加算する必要があります。
例えば、基本給150,000円で資格手当10,000円、業務手当5,000円で、1ヶ月の平均労働時間が173時間の場合の割増基礎単価は、(150,000円+10,000円+5,000円)÷173時間=954円(小数点以下切上)となります。
ただし、手当等で以下のものについては、割増基礎単価を算出する際に、賃金の額から控除することができます。
1 家族手当
2 通勤手当
3 別居手当
4 子女教育手当
5 住宅手当
6 臨時に支払われた賃金
7 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
ですから、例えば、基本給150,000円、家族手当5,000円、資格手当10,000円の賃金の場合で割増基礎単価を算出する時は、家族手当の5,000円は計算単価に入れずに基本給と資格手当との合計160,000円を1ヶ月の平均労働時間で除します。
ところで、家族手当、通勤手当、住宅手当につきましては、多くの事業主様が誤った認識を持っているようです。
今、お話ししましたように、割増基礎単価を算出する際に、家族手当や住宅手当、通勤手当等は、割増基礎単価を計算する際の基礎となる賃金には算入されません。
しかし、これらの手当を割増基礎単価計算の際に算入しない為には、条件があります。
家族手当は、家族数に応じて支給されている必要があります。
通勤手当については、通勤距離や実際の通勤費用等に応じて支給されている必要があります。
住宅手当については、家賃や住宅ローンの額等に応じて支給されている必要があります。
つまり、家族数や通勤距離、実際の通勤費、家賃等に関係なく一律に家族手当や通勤手当、住宅手当が支給されている場合には、割増基礎単価を計算する際に、基礎となる賃金に算入する必要があります。
従って、いくら家族手当、通勤手当や住宅手当といった名称だけ付けても、実態が伴っていない場合には、割増賃金を支払う際に、これらの手当の額も算入して計算しなければなりません。
残業代の負担を減らそうと、名目だけで家族手当や通勤手当、住宅手当を支給していると、割増賃金の一部不払いが発生してしまうこととなってしまいます。
この点は、誤って認識されている事業主の方が多いようですので、是非正しくご理解下さい。
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら