賃金:全額払いの原則  ~賃金からの控除には注意~

【説明】

 

賃金は、その全額を労働者に支払わなければなりません。

 


【ここがポイント!】


賃金は、全額労働者に支払わなければならないので、本来は、賃金から何らかのものを控除することは一切できないのが原則です。


ただし、全く控除できないと、様々な不都合が生じてしまいため、例外がいくつか認められています。


賃金から控除できる場合は、主に2つのケースがあり、「法令に別段の定めがある場合」と「労使の書面協定がある場合」です。

 

 

まず、「法令に別段の定めがある場合」ですが、例えば、所得税や社会保険料については、所得税法や健康保険法、厚生年金保険法で賃金から控除(源泉徴収)できる旨がしっかりと定められているため、これらのものは何ら手続きせずに、賃金から控除することできます。


逆にいえば、「法令に別段の定めが無い場合」には、何らかの手続きが必要となってきます。


その手続きが「労使の書面協定」となってきます。

 

 

たとえば、賃金から、購買代金、社宅、寮等福利厚生費や組合費などを賃金から控除する事は、労働者にとっても便宜上必要な場合があります。


ただし、このようなものであっても、会社等が、当然に控除出来るのではなく、労使協定(労働者代表との書面による協定)を締結して、初めて控除する事ができます。


つまり、労使協定を締結して初めて、購買代金や組合費等を賃金から控除できるようになるのです。

 

 

しかし、ここで注意しなければならない点は、労使協定を締結すれば、何でも賃金から控除できるのではなく、、控除することができるのは、あくまで上記のような事理明白なものに限られます。


例えば、労働者が、設備等を破損してしまい、労働者にその実損額に応じた額を負担させる場合等の損害負担については、事理明白なものには該当しません。


従って、たとえ、労使協定を締結したとしても、上記のような損害負担分を賃金から控除することは、労働基準法違反となりますのでご注意下さい。

 

 

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