助成金を活用のための就業規則③ 現行基準の就業規則
助成金は、雇用保険制度の一環として行われていますが、経営者にとって非常に魅力的な制度と言えます。
ところで、助成金を活用する場合、就業規則が必要となってくる場合が多々あります。
ここでは、助成金を受給するために就業規則のどのような点を注意すべきかをお話ししていきたい思います。
就業規則は、現在の法律基準で作成することがポイントです
助成金を活用のための就業規則① 法律の基準を満たした就業規則 でもご説明しましたように、就業規則は、現在の法律の基準を満たしている必要があります。
ところで、これは、逆の見方をすれば、現在の法律の基準を満たしていれば、法律の基準を上回っている内容で規定しても全く問題ありません。
むしろ、労働基準法等で定められている規定は、最低限の基準ですので、それを上回ることは、労働者にとって有利な条件となるので、むしろ歓迎されるべきものと言えます。
しかし、助成金を活用する場合には、実は、ここが大きなポイントなります。
助成金は、法律の基準を上回る規定を新たに導入した場合に支給される傾向があります。
例えば、現在、会社は、65歳まで労働者を雇用することを法律で求められています。
しかし、以前は、会社の雇用義務が、65歳ではなく60歳の時代がありました。
その時代には、65歳まで雇用を保障する制度を新たに導入した企業に助成金が支給されました。(現在では、この助成金は、廃止されています。)
しかし、就業規則が、既に法律の基準を上回って65歳まで雇用を保障するような規定内容になっていた場合に、その助成金をもらうことができませんでした。
もちろん、助成金とは関係なく、会社として65歳まで雇用を保障することを経営判断で決められていたなら、それはそれで良いのですが、多くの場合は、あまり
意味なく、就業規則の定めを、65歳までの雇用保障にしていたのが現状でした。
実は、多くの会社がこの理由で、助成金をもらうことができなかったのです。
このように助成金を活用する場合には、就業規則は、現在の法律の基準で作成することがポイントとなるのです。
最後に、少し余談となりますが、法律の基準を上回っていても、一度、就業規則に定めてしまうと、労働者の既得権となってしまいます。
ですから、たとえ、現在の法律の基準に戻そうとしても、それは不利益な変更になるため、労働者の同意が必要となってきますので、ご注意下さい。
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