健康保険 ~強制適用事業所~

【説明】

 

健康保険は、法人の事業所の場合は、強制適用事業所となります。それに対して、個人事業の場合、農林水産業、理容業・美容業、料理店等の一定の業種以外で従業員が常時5人以上雇用する場合に、強制適用事業所となります。

 


【ここがポイント!】

 

ここでは、健康保険の適用事業所についてお話ししたいと思います。


最初にお断りさせていただきますが、こちらでお話ししましたように社会保険は、健康保険と厚生年金保険との総称です。

 

社会保険の場合、労働保険と違い基本的に健康保険と厚生年金保険とのセットで加入することとなります。

 

 

ですから、今回、健康保険の適用事業所と書きましたが、これは厚生年金保険でも同じ適用をします。

 

そのため、本来は、「社会保険の適用事業所」と書いた方が正しいのかもしれませんが、用語が少し複雑となってしまいますので、ここでは健康保険として書きますが、あくまで健康保険と厚生年金保険とは一体で加入する必要があり、これからお話しする適用事業所や被保険者等の制度全体にるいては、厚生年金保険にも該当するものとお考え下さい。


健康保険のみについての制度の場合は、その都度記載させていただきます。

 

 

さて、健康保険の適用事業所ですが、適用事業所とは、雇用保険でも出てきましたが、健康保険に加入する事業所のことを言います。


雇用保険の場合は、雇用保険の被保険者となるべき労働者を1人でも雇用していれば、法人であっても個人事業主であっても強制的に適用事業所にならなくてはなりませんでしたが、健康保険の場合は、少し制度が違います。


健康保険の場合、法律で強制的に健康保険が適用される「強制適用事業所」と本来は、健康保険は適用されないが、任意的に健康保険に加入する「任意適用事業所」とに分かれます。


現在、健康保険に加入しているほとんどの事業所が、強制適用事業所と言えますので、まず強制適用事業所についてお話しします。

 

 

強制適用事業所ですが、実は、ここも雇用保険と違うのですが、法人と個人事業主とでは、取扱いが違います。


まず、法人について説明したいと思います。


事業所が法人の場合は、業種に関係なく常時労働者を雇用する場合は、強制適用事業所となります。


また、ここも雇用保険と違うところですが、雇用保険の場合は、代表取締役は、雇用保険の被保険者となることはありませんでしたが、健康保険の場合には、代表取締役も労働者と考えます。

 

 

もちろん、健康保険にも加入する労働者の条件はありますが、代表取締役の場合、まず加入条件を満たすこととなります。


つまり、法人の事業所の場合、たとえ、労働者がいなくて、代表取締役1人の法人であっても、その法人は、強制的に健康保険に加入しなければならないこととなります。

 

 

それに対して、個人事業の強制適用事業は、少し複雑で、従業員数と業種によって判断されます。


従業員数ですが、これは純粋な労働者と言う意味ではなく、後述しますが、健康保険の被保険者となるべき労働者の数です。

 

 

まず、個人事業の場合、強制適用事業となるには、健康保険の被保険者となるべき従業員が、常時5人以上いることが必要です。


逆に言えば、健康保険の被保険者となるべき労働者が、5人未満であれば、業種に関わらず、健康保険の強制適用事業所とはなりません。

 

つまり、健康保険に加入しなくても法律上問題はありません。

 

 

次に、健康保険の被保険者となるべき労働者が、5人以上となった場合ですが、農林水産業、理容業・美容業、料理店等サービス業や宗教業等の一定の業種は、5人以上となった場合でも強制適用事業所とはなりません。


つまり、農林水産業、理容業・美容業、料理店等のサービス業や宗教業等の一定の業種では、個人事業主でいる限り、従業員数が何名になっても、法律的に健康保険に加入する義務は生じないこととなります。


従って、個人事業で健康保険に加入の義務が生じるのは、農林水産業、理容業・美容業、料理店等のサービス業や宗教業等の一定の業種以外で、健康保険の被保険者となるべき労働者を常時5人以上雇用する場合となります。

 

 

ただし、ここで注意していただきたいのですが、今回はあくまで個人事業の場合ですので、先程、お話ししましたように、法人の場合は、業種に関係無く強制適用事業所となりますので、農林水産業、理容業・美容業、料理店等のサービス業や宗教業等であっても法人の場合には、当然、強制適用事業所となります。


また、個人事業の場合の個人事業主は、法人の場合の代表取締役と違い、健康保険でも労働者とはみなさないため、強制適用事業所であっても、個人事業主は健康保険に加入することはできません。

 

 

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