雇用保険 ~失業等給付 受給資格について②~
【説明】
基本手当を受給するには、原則として離職日以前2年間に一定期間以上の被保険者期間が必要で、さらに各月11日以上の賃金支払い基礎日数が必要となります。
【ここがポイント!】
基本手当を受給できる受給資格を得るには、原則として離職日以前2年間に受給資格者の場合は12ヶ月以上、倒産、解雇等で離職を余儀なくされた特定受給資格者の場合には、6ケ月以上の被保険者期間が必要となってきます。
ここで注意が必要なのは、単純に必要な被保険者期間があれば受給資格を得るのではなく、各月11日以上の賃金の支払基礎日数が必要となります。
賃金の支払い基礎日数は多少正確性には欠けますが、分かりやすく言えば出勤日した日や有給休暇を取得した日となります。
ですから、例えば、ある月の出勤日数が3日の場合は、賃金の支払い基礎日数が11日以上ではないので、そのような月は、受給資格取得に必要な被保険者期間には算入しないこととなります。
もう少し分かりやすく具体的にご説明します。
ある労働者が、4月1日に雇用保険に加入して、翌年の4月30日に本人の都合で離職したとします。雇用保険の被保険者期間は13ヶ月あります。
この場合、13ヶ月間欠勤も無く全ての月の賃金の支払い日数が11日あれば問題無く受給資格を得ることができます。
しかし、例えば、5月、6月に体調を崩し欠勤してしまい、5月、6月の賃金の支払い基礎日数がゼロであった場合に、雇用保険の被保険者期間は、13ヶ月で12ヶ月以上ありますが、賃金の支払い基礎日数11日以上を満たしている期間は10ヶ月しかありませんの、このような場合には、受給資格を得ることができなくなります。
少し複雑ですが、基本手当の受給資格の判断は、このように行われます。
ところで、受給資格を得るための被保険者期間を計算できる期間は、原則として離職日以前2年間となります。この2年間を算定対象期間と言います。
つまり、離職日2年間に賃金の支払い基礎日数が11日以上ある月が6ケ月あるいは12ヶ月以上無いと基本手当の受給資格を得ることができません。
しかし、労働者が負傷や出産等の理由で、やむを得ず休業せざる得ない状況の場合もあります。
このような場合のために、法律では算定対象期間の緩和の制度を設けています。
算定対象期間の緩和を受けることができる事由は以下の場合です。
1 疾病又は負傷(業務上外を問いません)
2 事業所の休業(事業主の責めに帰すべき理由の場合は除かれます)
3 本人の出産
4 事業主の命による外国における勤務
5 上記に準ずる理由で管轄公共職業安定所長が認めたもの
さらに、上記理由で30日以上賃金の支払いを受けていないことが要件となります。
つまり、例えば、疾病又は負傷で欠勤したが、賃金の支払いを受けていない期間が20日間の場合は、対象にはならなくなります。
また、2の事業所の休業ですが、「事業主の責めに帰すべき理由による休業」は除かれています。
これは、「事業主の責めに帰すべき理由による休業」の場合には、事業主は休業手当を労働者に支払う必要があります。
雇用保険では、休業手当は、賃金としてみなされるため、「賃金の支払いを受けない」には該当しないため除外されています。
「算定対象期間の緩和」の具体例につきましては、引き続きこちらをお読み下さい。
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