雇用保険 ~失業等給付 基本手当について⑤~

【説明】

 

妊娠、育児、負傷等で30日以上職業に就くことができない場合には、受給期間の延長の申請をすることができます。

 


【ここがポイント!】


こちらのブログでお話ししましたように基本手当は、原則として離職日の翌日から1年間に受給し終えなければなりません。


ところで、基本手当を受給するためには、「失業」の状態であることが前提です。

 

 

「失業」の定義のポイントとして「離職している」「労働の意思及び能力を有する」「職業に就くことができない状態」の3つがありました。

 

なお、失業の定義についてはこちらのブログをお読み下さい。

 

>>雇用保険 ~失業等給付 失業の定義~

 

 

妊娠、育児、負傷等の状態は、「労働の意思及び能力を有する」に該当しないとみなされてしまうため、基本手当を受給資格の要件に該当しなくなってしまいます。


例えば、労働者が、何らかの負傷や疾病が原因で離職して、その状態が1年以上続いてしまうと、この労働者は、基本手当を全く受給できないこととなってしまいます。

 

 

このような事態を防ぐために、妊娠、育児、負傷等で30日以上職業に就くことができない場合には、職業に就くことが出来ない期間、受給期間の延長を申し出ることができます。


例えば、妊娠、負傷等で1年間職業に就くことが出来ない場合には、本来の受給期間1年間に、延長期間である1年間を加算することができ、結果的に2年間で基本手当を受給すれば良いこととなります。

 

 

ただし、加算できる期間は最大で3年間までとなります。


つまり、基本手当を受給できる期間は、妊娠、負傷等の事情があったとしても、本来の受給期間の1年と延長できる最大期間3年、合計で最大4年間までとなります。

 

 

ところで、受給期間の延長の申請にはいくつか注意点があります。

 

まず、繰り返しになりますが、妊娠、育児、負傷等で受給期間の延長の申請する場合には、まず30日以上職業に就くことができないことが条件になります。


ですから、職業に就くことができない状態が25日では、受給期間の延長を申請することができません。

 

 

そして、受給期間延長の申請期限ですが、これは離職後において、妊娠、育児、負傷等で職業に就くことができない状態が、30日を経過した日の翌日から起算して1ヶ月以内に申請する必要があります。


つまり、妊娠、育児、負傷等で30日以上職業に就くことができない状態で自動的に受給期間が延長されるのではなく、申請手続きをして初めて延長されるわけです。

 

 

ですから、労働者が、在職中に妊娠、育児、負傷等で休業してしていて、そのまま離職するケースもあります。


例えば、妊娠、育児、負傷等で休業している状態のまま、3月31日に離職した場合には、5月1日から1ヶ月以内に延長の手続きを取る必要があります。


もし、労働者が、妊娠、育児、負傷等で休業している状態のまま離職する場合には、受給期間延長のアドバイスをしてあげると良いでしょう。

 

 


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