就業規則と労働基準法⑧ ~休日割増賃金について~
就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。
主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。
これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。
そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。
今回は、ここでは、労働基準法での休日割増賃金についての考え方と、就業規則への記載の注意点について解説してあります。
休日割増賃金は、労働基準法の休日に働かせた場合に必要となります
労働基準法では、いくつかの割増賃金についての規定が定められています。
法定労働時間を超えて働いた場合に支払う、時間外割増賃金。休日に労働した場合に支払う、休日割増賃金。
そして、深夜(午後10時から翌午前5時)に働いた場合の深夜割増があります。
ここでは、休日割増の注意点についてお話ししたいと思います。
就業規則と労働基準法② ~休日について~ でご説明しましたが、労働基準法では、最低でも1週間に1日(又は4週間に4日)は、従業員に休日を与えなければならない、と定められています。
この1週間に1日(又は4週間に4日)与えなければならない休日を法定休日と呼びます。
ところで、労働基準法では、休日に働かせた場合には、3割5分増以上の割増賃金が必要と規定されています。
ここは、多くの経営者の方が、誤って認識しているところなんですが、労働基準法で3割5分増以上の休日割増の支払いが必要な場合は、あくまで、法定休日に労働させた場合なのです。
休日は、法定労働時間との関係で、1週間に2日以上必要となる場合があります。(法定休日以外の休日を法定外休日と呼びます。)
このような場合、例えば、土曜、日曜が休日の週休2日制の会社で、土曜日のみに出勤している場合には、労働基準法の休日の定めである、1週間に1日の休日の
基準は満たしているので、3割5分以上の割増賃金の支払いは、必要ないのです。
通常の時間外割増分の2割5分増以上の賃金を支払えば足ります。
しかし、就業規則に「休日割増賃金に対しては、3割5分以上の割増賃金を支払う」と規定してしまうと、本来、3割5分増以上の休日割増賃金が不必要な休日に
対しても3割5分増以上の割増賃金の支払いが必要となってきます。
もちろん、法律基準以上の取扱いとなるので、それ自体は、問題ないのですが、一度、就業規則に定めてしまうと、従業員の同意が無いと変更出来なくなってしまうので、労働基準法における休日割増が必要な休日(法定休日と言います)と、そうでない休日(法定外休日と言います)との割増賃金の規定の仕方には十分ご注意下さい。
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