Q 就業規則に試用期間を定めたいのですが?
【質問】
就業規則を作成にするにあたり、試用期間を定めたいと思うのですが、試用期間の長さや試用期間中の給与について、どのようなに規定したら良いのでしょうか?
また、試用期間終了時に能力等が不足していたら、正社員に登用しないことはできるのでしょうか?
【回答】
試用期間については、法的な規定はありませんので、基本的に自由にその内容を決めることができますが、試用期間が、あまりに長いのは問題があります。
また、正社員へ登用しない場合には、合理的な理由が必要となります。
【解説】
試用期間は、入社後、労働者の能力や技術、適正性を見極めるために、正社員として本採用する前に一定期間の評価判断するために用いられています。
試用期間は、多くの会社で用いられていますが、実は、非常に誤解されている制度でもあります。
まず、試用期間は、法律で特別な規定があるわけではないので、試用期間の長さや試用期間中の給与については、会社が任意に決めることができます。
ただし、試用期間中は、労働者にとって不安定な身分が続くため、あまりに長い試用期間は、無効という裁判例もあります。
ですから、3ヶ月から6ヶ月位の期間が一般的で、最長でも1年以内とすべきでしょう。
また、試用期間中の給与についても、法的な定めが無いので、最低賃金を上回っていれば、どのように決めても基本的に問題ありません。
例えば、試用期間中は、時間給制で手当も一切支給しなくても、また試用期間中であっても、正社員と同じ給与体系でも構いません。
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら
【ここがポイント】
ところで、試用期間について最も誤解されていて、正しく理解していただきたいのは、試用期間終了後に正社員へ本採用しない場合です。
先程、試用期間は、「入社後、労働者の能力や技術、適正性を見極めるために、正社員として本採用する前に一定期間の評価判断するために用いられています。」と書きましたが、この文章を読んで、「では、能力や技術、適正に欠ければ、正社員にしなくても問題ない。」と思われる方もいるかと思います。
実際、顧問先から「試用期間だから、試用期間が終わった時に辞めさせても大丈夫ですよね。」と相談されたことが何度もあります。
しかし、これは大きな誤解です。
試用期間終了後に、正社員へ本採用しないことは、法的には「解雇」となります。
試用期間中でもあっても、労働者とは、雇用契約を結んでいるわけですから、当然、厳しい解雇の制約を受けます。
つまり、正社員へ本採用しない場合には、それ相当な合理的理由が、必要となります。
ですから、「試用期間だから」といった理由で、本採用を拒否できるわけでは、決してないのです。
ただ、試用期間は、「労働者の能力や技術、適正性を見極めるため」という性質がありますので、その点は考慮され、試用期間中の解雇は、通常の解雇よりは、認められやすいところはあります。
しかし、通常の解雇と比べて認められやすいだけであって、試用期間中の解雇が、裁判等で認められるには、想像以上にハードルが高いものです。
ですから、「とりあえず雇用してみよう。」という感覚で労働者を雇用することは、非常に危険なことですので、是非、ご注意下さい。
なお、試用期間につきましては、こちらのブログに詳しく書いてありますので、是非、お読み下さい。
(オフィスまつもとブログ 経営者応援.com)
▼就業規則の見直しをご検討の方はこちら
【関連記事】 >>Q 就業規則に正社員への転換制度を規定したいのですが・・・?