就業規則と各手当について 家族手当、住宅手当、通勤手当は要注意!
労働者に給与を支給する場合、基本給以外に何らかの手当を支給するケースは多々あるかと思います。
手当においては、家族手当、住宅手当、通勤手当などいくつかの手当てを支給する場合には、支給内容と就業規則への記載に注意する必要があります。
本ブログでは、家族手当、住宅手当等の注意点と手当についての概要をわかりやすく解説してあります。
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手当の法律的な意味
就業規則の絶対的必要記載事項の中に賃金に関する事項があります。
給与に基本給以外に何らかの手当を支給している場合には、その手当について、就業規則(賃金規程)に記載する必要があります。
ところで、意外に知られていないのですが、手当の名称や支給額、支給方法についての法律はありません。
つまり、どのような手当てをどのような名称でいくら支給するかは、経営者の全くの自由なのです。
ですから、同じ家族手当でも、対象となる家族、支給額が違うことは当然ありますし、同じ名前の職務手当も、会社によっては、支給する目的が全く異なる場合もあり得ます。
欠勤等における手当の控除について
手当について、経営者の方から、「欠勤した場合には、手当を控除しても良いのでしょうか?」といった質問を受けます。
先程、お話ししたように、手当の支給額や支給方法についての法律はありませんので、欠勤等した場合における手当の取り扱いについても明確な規定はありません。
ただ、私個人としては、2通りの考え方があると思っています。
例えば、家族手当の場合、扶養家族を有している事実に対して支給するのであれば、欠勤等した場合に控除するのは不合理となってしまいます。
同じように資格手当も、資格を有している事実に対して支給しているのであれば、同じような考え方になります。
しかし、家族手当を家族を有しながら1ヶ月間働いてもらうことを前提に支給するのであれば、欠勤等した場合には、控除しても合理性があります。
同じように資格手当も、その資格を使って1ヶ月間働いてもらうことに対して支給しているのであれば、欠勤等すれば当然控除できると考えられます。
つまり、控除するかしないかは、経営者の考え方によることとなります。
ですから、例えば、「家族手当は控除しないが、資格手当は控除する。」といった取り扱いをすることも可能です。
ただ、重要なことは、控除するか否かを就業規則で明確なルール化しておくことです。
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割増単価と家族手当、住宅手当、通勤手当等について
労働者に法定労働時間を超えて労働させた場合や、休日又は深夜に労働させた場合には、一定の割増賃金を支払わなければなりません。
割増賃金を算出するための割増単価は、基本給の他に手当も含んで計算しなければなりません。
しかし、労働基準法では、割増単価を計算する際に、除外できる手当を定めています。
それが、家族手当、住宅手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当です。
ちなみに、労働基準法では、上記の手当の他に、臨時に支払われた賃金(見舞金、退職金等)と1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与、1か月超える期間を対象とした精勤手当等)も除外できる賃金としています。
ただし、割増賃金の計算から除外できる家族手当、住宅手当等ですが、注意すべき点があります。
それは、割増賃金の計算から除外するには、例えば、家族手当でしたら、家族の人数に応じて支給される性質である必要があります。
ですから、たとえ、家族手当という名称で支給していたとしても、家族の人数に関係なく一律に支給されている場合は、割増賃金の計算から除外することはできません。
住宅手当や通勤手当も同じような考えで、住宅手当でしたら、家賃や住宅ローンの残高等、通勤手当でしたら通勤距離や手段等に応じて支給される必要があります。
割増賃金の計算から除外できる手当について誤った取り扱いをしてしまうと、残業代の不足が生じてしまうので、注意が必要です。
さらに、就業規則に支給基準や支給額等を規定しておくことも、当然必要となります。
最低賃金との関係について
最後に最低賃金との関係についてお話したいと思います。
最低賃金法により、国が給与の最低額を決め、経営者は、その最低額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金と手当との関係で注意しなければならないのは、家族手当と通勤手当は、最低賃金の対象とならないことです。
>> 最低賃金 対象となる賃金は?(厚生労働省)
ですから、支給している給与が、最低賃金を上回っているかを判断する場合には、もし、家族手当、通勤手当が支給されていたら、その額を除いて計算する必要があります。
なお、最低賃金のチェック方法については、こちらをご参照下さい。
>> 最低賃金のチェック方法は?(厚生労働省)
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まとめ
今回のブログでお話ししたように、手当の支給額や支給方法等については、法律の規定がないため、経営者が自由に決めることができます。
しかし、割増賃金の計算時や最低賃金法においては、家族手当、通勤手当等の一部の手当が関係してきますので、法律等の内容を正しく理解することが大切となってきます。
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