就業規則と労働基準法⑤ ~有給休暇について-2-~
就業規則を作成す場合、労働基準法等の法律の制限を受ける項目がいくつかあります。
主なものとしては、労働時間、休憩、休日、有給休暇等が挙げられます。
これらの項目について就業規則に定める場合には、当然、法律の基準に沿った内容にする必要があります。
そのため、就業規則を適正なものとするには、これらの法律の規定について正しく理解する必要があります。
今回は、有給休暇の申請時期等について解説してあります。
有給休暇の申請時期には、ご注意下さい
就業規則において、有給休暇について規定を定める場合に、就業規則と労働基準法④~有給休暇についてー1- でお話しした以外にも注意すべき点があります。
まず、有給休暇の申請の時期についてですが、法律的には、有給休暇は、前日までに申請すれば良いこととされています。
しかし、現実問題として、前の日の終業時刻間近に有給休暇を申請されれば、業務に支障が出てしまう場合も考えられます。
ですから、就業規則においては、1週間程度前に申請するような規定にすれば良いでしょう。
ただ、ここで覚えておいていただきたいのは、もし、有給休暇の申請が、1週間前までにできなくても、有給休暇を与えなくても良いか?というとそうではありません。
あくまで法律上は、前日までに申請すれば良いこととなっているので、就業規則に記載されている申請時期は、あくまで業務に支障をきたさないためのルールとして、従業員に協力してもらうための意味合いとして、と考えていただきたいと思います。
このように、有給休暇は、法律上は、前日までに申請する必要があります。
となると、見方を変えれば、前日までに申請しなかった場合には、従業員は、有給休暇を取得することができない、こととなります。
つまり、有給休暇は、事後に取得の申請があった場合には、会社はそれを認める必要はありません。
ただし、事故や急病等でやむを得ない場合も考えられますので、就業規則には、「有給休暇は、事後の申請を認めない」としっかりと書いて、「ただし、事故や急病等でやむ得ない場合には、事後の申請でも、認める場合がある」と書いておくと良いでしょう。
また、有給休暇は、従業員に与えられた権利ですので、取得する理由も基本的には自由とされています。
ですから、有給休暇を申請する際に、その理由まで申請させ、その理由によって、有給休暇の取得を認める、認めないを判断するのは、法律に反することとなりますのでご注意下さい。
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